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45 格闘女子たちの戯れ
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決勝戦のゴングが鳴った。
観客の歓声が一瞬で遠のく。耳に残るのは、私と千早の荒い息遣いだけ。
千早が先に動いた。いつもの低い姿勢から、床を蹴る乾いた音と一緒に、一直線に踏み込んでくる。
わかってる入り方なのに、距離を詰められた瞬間、心臓が一段階ギアを上げたみたいに跳ねた。
私は左足を引いて、受けの構えに体をひねる。視界の端で、千早の腰がぐっと回る。
右ミドルが肋骨をえぐりにくる軌道で飛んできて、めり込む寸前、私は肘をぶつけるようにして払い落とした。
衝撃が前腕から肩まで一気に駆け上がる。
「っ……!」
息が勝手に押し出される。でも、ここで隙を見せたら終わりだ。本当に、毎回タイミングのいい攻撃してくるんだから。
痛みをごまかすみたいに、私はすぐに左ストレートを突き出した。
拳の先が千早の頬をかすめた感触が、じんと指先に残る。黒い髪がばさっと跳ねて、ポニーテールがライトの下で大きく弧を描いた。
千早は笑っていた。追撃を入れる前に、黒い瞳が細くなる。
うそでしょ。あれをかわすの。さすがチャンプ。
「いいパンチね」
息を弾ませながら千早が笑う。褒めてるのか、からかってるのか、その中間みたいな声。
その余裕面めっちゃむかつく!
返事の代わりに、私は右ローを蹴り込んだ。踏み込んだ足から一気にひねりを入れる。
でもすぐに、千早の蹴りが今度は私の太ももを横からはじいた。鈍い音がして、足が一瞬ふわっと浮く。着地した途端、じんとした痛みが太ももの奥まで広がった。
着地と同時に、千早が距離を詰めてくる。肘や膝、手のひらの打ち込みが、間を空けずに次々飛んでくる。
私は後ろに下がりながら全部を受ける。ガードはしてるのに、衝撃だけはじわじわと骨まで染みてくる。
「……まだ本気じゃないでしょ?」
千早の声が近い。頬にかかる息のあたたかさで、どれだけ詰められてるかがわかる。
こっちはもう本気なのに、その余裕が命取りになるって教えてあげるわ。
私は歯を食いしばって、右フックを振り抜いた。拳が頬に当たって、千早の頭がのけぞる。
黒髪が乱れて、ライトの下で汗の粒がぱっと宙に散った。
今だ!勝機。私は前に出る。左ジャブで視界を揺らして、そのまま右アッパーを突き上げる。千早の顎が跳ね上がる手応えに、胸の鼓動がさらに早くなる。
続けて左フックを振ろうとしたのに、腕は空を切った。右アッパーを食らって動けるの?
千早のカウンターの膝蹴りが、私の鳩尾をえぐった。
肺の中の空気を、まとめて絞り出されたみたいだった。
世界が一瞬、真っ白になる。
息ができない。声も出ない。膝から力が抜けて、そのまま崩れ落ちそうになる。
た…立ち上がるの…動けない…意識が…
マットに落ちる前に、千早の腕が私の背中を掴んでいた。
引き寄せられて、そのまま千早の胸に抱き止められる。
「……決まりね」
掠れた声が、耳元で小さく震える。
視界の端でレフェリーが飛び込んでくる。試合終了のゴングが鳴り響き、途切れていた歓声が一気に戻ってきた。
でも、私の耳に残っているのは、千早の心臓の音だけだった。
それから三時間後。場所は千早の部屋。
試合後のシャワーもアイシングも終わって、私はソファにぐったり沈んでいる。肋のあたりにはひんやりした湿布。その上から、千早が慎重にテープを巻いてくれていた。
「……痛い?」
横から落ちてきた声は、さっきまでリングにいた人と同じとは思えないくらい柔らかい。
「死ぬほど、恋人に顔面が変わるほどに攻撃するなんて」
正直に言うと、千早が苦笑いする。
「ごめん。最後、ちょっと本気出しすぎた」
「ちょっとじゃないでしょ。あれで肋骨一本折れててもおかしくなかったんだし」
文句を言いながら睨み上げると、千早は空いてる方の手で、私の髪を指先で梳いた。
さっきまでグローブつけてた手なのに、びっくりするくらい優しい。
「綾のこと、信じてたから、それに負けてあげたら怒るじゃない」
「だって…」
「本気でやっても怒って、わざと負けても怒るんだもん。どうすればいいの」
「だって悔しいんだもん。それに顎に当たってあんなに動けるなんて卑怯」
指が、私の銀髪をゆっくりなぞる。私は赤い目でその横顔を見上げる。千早は少しだけ視線をそらして、照れくさそうに笑った。
「……私、綾と戦うときだけ、本気でやれるし、楽しいの。綾は?」
「その言い方反則。うん、始まれば恋人だって忘れちゃうかも」
「そういうところも好きよ」
静かで、でもまっすぐな声だった。リングの上で聞く勝負の言葉より、ずっと近くて、ずるいくらい胸に刺さる。
私は黙って、千早の膝に頭を載せた。ゆっくり体重を預けると、太ももの弾力と、ほんのり残ってるシャワーの匂いが鼻をくすぐる。
千早が一瞬だけ固まって、驚いたみたいに瞬きをしたのがわかった。
それでも、すぐに片手がそっと動き出す。指先が、遠慮がちに私の頭を撫で始めた。
「今日もっとなでなでして」
「……子供か」
「負けた子供は甘えていいって世界の常識を知らないの?」
自分で言ってて、ちょっとだけ情けない。でも今くらい、甘えさせてほしい。
「そんな常識綾にしか存在しないわよ」千早がくすくす笑う。
笑い声に合わせて、指の動きがさっきよりもゆっくりになって、髪の流れをなぞるみたいに優しくなる。
しばらく、言葉はなくて、音もしなかった。
聞こえるのはエアコンの低い音と、湿布の冷たさがじんわり伝わってくる肋のあたりと、千早の手の温かさだけ。
その温度差が、妙に心地よくて、まぶたが少し重くなる。
「……千早」
自分でもびっくりするくらい、かすれた声が出た。
「ん?」
頭の上から、いつも通りの落ち着いた声が降ってくる。
「今日、私、ほんとに悔しかった」
言った瞬間、胸の奥がぎゅっと縮んだ。声が震えて、千早の手がぴたりと止まる。
「最後の膝蹴り、読めてたのに。体が動かなかった。動けて、さばいて、後一撃当ててたら私の勝利で、千早を抱きしめてたのに」
言葉にした途端、こらえてたものが決壊したみたいに、視界がにじむ。
涙が頬を伝って、千早のジャージにぽたぽた落ちていくのがわかって、恥ずかしくなって顔を隠そうとした。
けど、その前に千早の両手が動いた。
そっと私の頬を包み込む。指先が涙の筋をなぞるみたいに触れて、逃げ場をふさがれた私は、ただ千早の方を見るしかなかった。
「綾」
名前を呼ばれて、顔を上げる。
千早の黒い瞳が、涙でぐちゃぐちゃな私の顔を、まっすぐ見ていた。逃げ場がないくらい真正面から。
「な・・・なに?」
「今日は私が勝ったけど、明日からはまた綾が強くなるんでしょ?」
一拍置いてから、喉の奥がひりつくのを誤魔化すみたいに、私は小さくうなずいた。
「もちろんでしょ。すぐに追い越してあげるんだから」
「だったら、いいじゃん」
千早がふっと微笑む。
さっきまでリングの上で向き合ってたチャンピオンになって負けなしの絶対王者じゃなくて、ずっと隣にいてくれた千早の顔。
「今日は私が綾を抱きしめて、明日は綾が私を抱きしめて。その次はまた私が、ってさ。ずっと、ずっと、そうやって」
そこまで聞いたところで、胸の奥が限界を迎えた。
私は千早の首に腕を回して、そのまま勢いよくぎゅっと抱きついた。
「……ずるい。千早、ほんとずるい…ばかぁ」耳元で自分の声が震える。
「綾が可愛いから」
すぐさま、いつもの調子でそんなことを言うから、余計にずるい。
「もう!」
文句を言いながら、私は顔を上げて、そのまま千早の唇に自分の唇を重ねた。
千早が一瞬、目を丸くする気配が伝わる。すぐに目を閉じて、今度はぎゅっと抱き返してきた。
キスは長く続いた。
汗の匂いと、湿布の薬っぽい匂いと、千早の肌の匂いが全部混ざって、頭の中がふわふわしてくる。
唇を離したとき、千早が小さな声で囁いた。
「……綾の負け顔も、すごく好きだよ」
「この変態、次は絶対勝つから」
負け惜しみじゃなくて、本気でそう言う。
千早は、嬉しそうに、でもちょっとだけ甘やかすみたいな声で返してきた。
「うん。楽しみにしてる。夜の方でも負けないけどね」
「ば……ばかぁ」
私はもう一度、千早の胸に顔を埋めた。
肋骨はまだずきずき痛むし、試合を思い出すたびに悔しさでなきたくもあるけど。
それでも、この人の腕の中にいられるなら、負けるのも悪くないかも、なんて。そんなことを、ほんの少しだけ思ってしまう。
「でも、次こそは絶対、私が千早を抱きしめ慰めてあげるんだから」
私がそう言うと、頭の上から小さな笑い声が落ちてきた。
「約束よ」
千早の指が、私の髪をくしゃっと撫でてから、キスを落とすみたいにそっと触れる。
窓の外では、夜がゆっくりと深くなっていく。
今日も、明日も、明後日も、ずっと。この人と拳を交わして、終わったら抱きしめ合って、同じ時間を生きていけたら。
それだけで十分すぎるって、心の底から思えた。
観客の歓声が一瞬で遠のく。耳に残るのは、私と千早の荒い息遣いだけ。
千早が先に動いた。いつもの低い姿勢から、床を蹴る乾いた音と一緒に、一直線に踏み込んでくる。
わかってる入り方なのに、距離を詰められた瞬間、心臓が一段階ギアを上げたみたいに跳ねた。
私は左足を引いて、受けの構えに体をひねる。視界の端で、千早の腰がぐっと回る。
右ミドルが肋骨をえぐりにくる軌道で飛んできて、めり込む寸前、私は肘をぶつけるようにして払い落とした。
衝撃が前腕から肩まで一気に駆け上がる。
「っ……!」
息が勝手に押し出される。でも、ここで隙を見せたら終わりだ。本当に、毎回タイミングのいい攻撃してくるんだから。
痛みをごまかすみたいに、私はすぐに左ストレートを突き出した。
拳の先が千早の頬をかすめた感触が、じんと指先に残る。黒い髪がばさっと跳ねて、ポニーテールがライトの下で大きく弧を描いた。
千早は笑っていた。追撃を入れる前に、黒い瞳が細くなる。
うそでしょ。あれをかわすの。さすがチャンプ。
「いいパンチね」
息を弾ませながら千早が笑う。褒めてるのか、からかってるのか、その中間みたいな声。
その余裕面めっちゃむかつく!
返事の代わりに、私は右ローを蹴り込んだ。踏み込んだ足から一気にひねりを入れる。
でもすぐに、千早の蹴りが今度は私の太ももを横からはじいた。鈍い音がして、足が一瞬ふわっと浮く。着地した途端、じんとした痛みが太ももの奥まで広がった。
着地と同時に、千早が距離を詰めてくる。肘や膝、手のひらの打ち込みが、間を空けずに次々飛んでくる。
私は後ろに下がりながら全部を受ける。ガードはしてるのに、衝撃だけはじわじわと骨まで染みてくる。
「……まだ本気じゃないでしょ?」
千早の声が近い。頬にかかる息のあたたかさで、どれだけ詰められてるかがわかる。
こっちはもう本気なのに、その余裕が命取りになるって教えてあげるわ。
私は歯を食いしばって、右フックを振り抜いた。拳が頬に当たって、千早の頭がのけぞる。
黒髪が乱れて、ライトの下で汗の粒がぱっと宙に散った。
今だ!勝機。私は前に出る。左ジャブで視界を揺らして、そのまま右アッパーを突き上げる。千早の顎が跳ね上がる手応えに、胸の鼓動がさらに早くなる。
続けて左フックを振ろうとしたのに、腕は空を切った。右アッパーを食らって動けるの?
千早のカウンターの膝蹴りが、私の鳩尾をえぐった。
肺の中の空気を、まとめて絞り出されたみたいだった。
世界が一瞬、真っ白になる。
息ができない。声も出ない。膝から力が抜けて、そのまま崩れ落ちそうになる。
た…立ち上がるの…動けない…意識が…
マットに落ちる前に、千早の腕が私の背中を掴んでいた。
引き寄せられて、そのまま千早の胸に抱き止められる。
「……決まりね」
掠れた声が、耳元で小さく震える。
視界の端でレフェリーが飛び込んでくる。試合終了のゴングが鳴り響き、途切れていた歓声が一気に戻ってきた。
でも、私の耳に残っているのは、千早の心臓の音だけだった。
それから三時間後。場所は千早の部屋。
試合後のシャワーもアイシングも終わって、私はソファにぐったり沈んでいる。肋のあたりにはひんやりした湿布。その上から、千早が慎重にテープを巻いてくれていた。
「……痛い?」
横から落ちてきた声は、さっきまでリングにいた人と同じとは思えないくらい柔らかい。
「死ぬほど、恋人に顔面が変わるほどに攻撃するなんて」
正直に言うと、千早が苦笑いする。
「ごめん。最後、ちょっと本気出しすぎた」
「ちょっとじゃないでしょ。あれで肋骨一本折れててもおかしくなかったんだし」
文句を言いながら睨み上げると、千早は空いてる方の手で、私の髪を指先で梳いた。
さっきまでグローブつけてた手なのに、びっくりするくらい優しい。
「綾のこと、信じてたから、それに負けてあげたら怒るじゃない」
「だって…」
「本気でやっても怒って、わざと負けても怒るんだもん。どうすればいいの」
「だって悔しいんだもん。それに顎に当たってあんなに動けるなんて卑怯」
指が、私の銀髪をゆっくりなぞる。私は赤い目でその横顔を見上げる。千早は少しだけ視線をそらして、照れくさそうに笑った。
「……私、綾と戦うときだけ、本気でやれるし、楽しいの。綾は?」
「その言い方反則。うん、始まれば恋人だって忘れちゃうかも」
「そういうところも好きよ」
静かで、でもまっすぐな声だった。リングの上で聞く勝負の言葉より、ずっと近くて、ずるいくらい胸に刺さる。
私は黙って、千早の膝に頭を載せた。ゆっくり体重を預けると、太ももの弾力と、ほんのり残ってるシャワーの匂いが鼻をくすぐる。
千早が一瞬だけ固まって、驚いたみたいに瞬きをしたのがわかった。
それでも、すぐに片手がそっと動き出す。指先が、遠慮がちに私の頭を撫で始めた。
「今日もっとなでなでして」
「……子供か」
「負けた子供は甘えていいって世界の常識を知らないの?」
自分で言ってて、ちょっとだけ情けない。でも今くらい、甘えさせてほしい。
「そんな常識綾にしか存在しないわよ」千早がくすくす笑う。
笑い声に合わせて、指の動きがさっきよりもゆっくりになって、髪の流れをなぞるみたいに優しくなる。
しばらく、言葉はなくて、音もしなかった。
聞こえるのはエアコンの低い音と、湿布の冷たさがじんわり伝わってくる肋のあたりと、千早の手の温かさだけ。
その温度差が、妙に心地よくて、まぶたが少し重くなる。
「……千早」
自分でもびっくりするくらい、かすれた声が出た。
「ん?」
頭の上から、いつも通りの落ち着いた声が降ってくる。
「今日、私、ほんとに悔しかった」
言った瞬間、胸の奥がぎゅっと縮んだ。声が震えて、千早の手がぴたりと止まる。
「最後の膝蹴り、読めてたのに。体が動かなかった。動けて、さばいて、後一撃当ててたら私の勝利で、千早を抱きしめてたのに」
言葉にした途端、こらえてたものが決壊したみたいに、視界がにじむ。
涙が頬を伝って、千早のジャージにぽたぽた落ちていくのがわかって、恥ずかしくなって顔を隠そうとした。
けど、その前に千早の両手が動いた。
そっと私の頬を包み込む。指先が涙の筋をなぞるみたいに触れて、逃げ場をふさがれた私は、ただ千早の方を見るしかなかった。
「綾」
名前を呼ばれて、顔を上げる。
千早の黒い瞳が、涙でぐちゃぐちゃな私の顔を、まっすぐ見ていた。逃げ場がないくらい真正面から。
「な・・・なに?」
「今日は私が勝ったけど、明日からはまた綾が強くなるんでしょ?」
一拍置いてから、喉の奥がひりつくのを誤魔化すみたいに、私は小さくうなずいた。
「もちろんでしょ。すぐに追い越してあげるんだから」
「だったら、いいじゃん」
千早がふっと微笑む。
さっきまでリングの上で向き合ってたチャンピオンになって負けなしの絶対王者じゃなくて、ずっと隣にいてくれた千早の顔。
「今日は私が綾を抱きしめて、明日は綾が私を抱きしめて。その次はまた私が、ってさ。ずっと、ずっと、そうやって」
そこまで聞いたところで、胸の奥が限界を迎えた。
私は千早の首に腕を回して、そのまま勢いよくぎゅっと抱きついた。
「……ずるい。千早、ほんとずるい…ばかぁ」耳元で自分の声が震える。
「綾が可愛いから」
すぐさま、いつもの調子でそんなことを言うから、余計にずるい。
「もう!」
文句を言いながら、私は顔を上げて、そのまま千早の唇に自分の唇を重ねた。
千早が一瞬、目を丸くする気配が伝わる。すぐに目を閉じて、今度はぎゅっと抱き返してきた。
キスは長く続いた。
汗の匂いと、湿布の薬っぽい匂いと、千早の肌の匂いが全部混ざって、頭の中がふわふわしてくる。
唇を離したとき、千早が小さな声で囁いた。
「……綾の負け顔も、すごく好きだよ」
「この変態、次は絶対勝つから」
負け惜しみじゃなくて、本気でそう言う。
千早は、嬉しそうに、でもちょっとだけ甘やかすみたいな声で返してきた。
「うん。楽しみにしてる。夜の方でも負けないけどね」
「ば……ばかぁ」
私はもう一度、千早の胸に顔を埋めた。
肋骨はまだずきずき痛むし、試合を思い出すたびに悔しさでなきたくもあるけど。
それでも、この人の腕の中にいられるなら、負けるのも悪くないかも、なんて。そんなことを、ほんの少しだけ思ってしまう。
「でも、次こそは絶対、私が千早を抱きしめ慰めてあげるんだから」
私がそう言うと、頭の上から小さな笑い声が落ちてきた。
「約束よ」
千早の指が、私の髪をくしゃっと撫でてから、キスを落とすみたいにそっと触れる。
窓の外では、夜がゆっくりと深くなっていく。
今日も、明日も、明後日も、ずっと。この人と拳を交わして、終わったら抱きしめ合って、同じ時間を生きていけたら。
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