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5章 グランベルグ解放
54話 鎖と焼印
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この話には、性的強制、妊娠・出産の強制描写、人間の監視・繁殖・加工、人肉関連の残酷描写、精神制御による支配などの重い・不快な内容が含まれます。
苦手な方は閲覧をお控えください。
(R15指定作品のため、15歳未満の方は閲覧禁止です)
グランベルグの街に潜入を成功させた俺は、作戦通りに手のひらサイズの粗末な陶器瓶を10か所に設置していった。
夜の闇に溶け込むように、路地から路地へ、まるで影そのものとなって移動する。
石畳に靴底が触れるたび、かすかな「コツ……コツ……」という音だけが、自分の存在を主張していた。
瓶はわざと表面を荒く焼き、ひび割れや煤けた跡を意図的に残してある。
一見すれば、ただの古びた水がめの欠片か、捨てられた粗末な壺にしか見えない。
中には、拳大の灰色がかったゴツゴツした「石」が一つだけ転がっている——ように見える。
だがその「石」こそが、俺達が3か月かけて命を削るように作り上げた固体二酸化炭素——ドライアイスそのものだ。
表面をわざと汚し、泥や煤を擦り付けて偽装してあるから、この世界の誰が見てもただの石ころとしか思わない。
実際、魔術師たちに初めて見せたときも、「なんだこの変な石……?」って顔で触ってたくらいだ。
瓶の中に熱湯を注げば、一瞬で昇華して濃密な白煙を吐き出す。
しかも二酸化炭素は重いから、地面近くに這うように広がって逃げ場を塞ぐ。
本来は、完璧な煙幕兵器になるはずだが、街の奪還のための、火事に見せかけたフェイクにも使えると思ったからだった。。
設置中はただの「粗末な壺に石が入ってるだけ」のゴミに見える。
これ以上ないカモフラージュだ。置くたびに俺は瓶の中の「石」を一瞥して、ちょっと苦笑した。それからが俺にとっては地獄だった。
温度計も科学的概念もない世界で、「マイナス79度」という感覚を体で覚え込ませるのは骨が折れた。
何度も何度も風魔法でCO₂を集め、氷魔法で限界まで冷やし、概念を知らないことを教えるのは大変だと理解したぐらいだった。。
現代人でやり方を知っていれば「ドライアイスを作れ」って一言で済むのに、
この世界には「二酸化炭素を固体にする」って概念がなかったから、骨が折れた。
でも、出来た瞬間、俺は思った。
それで出来たのは、たった10個だけだった。
石ころに見える偽装も完璧。割られても「ただの石が出てきただけ」で済む。
最後の設置場所に置いた時、声が聞こえてきた。
俺は何事かと思い、立派な石造りの邸宅に向かった。
窓の隙間から漏れる明かりと、湿った吐息のような音が耳に届いた。
「……んっ……あ……」
低く、粘つくような女の声。男の荒い息遣い。
ベッドの木枠が軋む規則的なリズム。
汗と体液と、微かに鉄錆のような血の匂いが混じった空気が、窓の隙間から流れ出してくる。
俺は息を殺して覗き込んだ。
20代の男女が裸で絡み合っていた。
汗と吐息が部屋にこもり、ベッドの軋む音が響く。
男の背中には、赤黒い焼印が刻まれていた。
鎖の模様のような、魔物の紋章。女の腰にも、同じ焼印。
首には細い鎖が巻かれ、鎖の先は壁に固定されている。
女の目は虚ろで、ただ機械的に体を動かしているだけに見えた。
部屋の隅に、監視役の鞭をもった人間が立っていた。
その男の首には首輪が付けられていた。
目を逸らすこともない。その目は冷たく、誇らしげで、同じ人間を見下しているように見えた。
首輪をつけた人間が、焼き印を押された人間を管理している。
なぜこんな目をしている?精神制御されてるようにも見えなかった。何がおきているのか、俺はそのまま陰に紛れて二階に向かった。
上の階に上がると、個室に妊婦が寝かされていた。
腹が大きく膨らみ、鎖で手足がベッドに繋がれている。
腰と腹の横に赤黒い焼き印。傍らには監視役の人間が立っていて、機械的に腹を撫でている。
その監視役の首にも首輪が付けられていた。
自ら進んで管理している。別の部屋では男女に分かれた赤ん坊の部屋があった。
小さなベッドがずらりと並び、泣き声が漏れる。乳母のような人間が、無表情で赤ん坊に乳を飲ませている。
乳母の首にも首輪が付けられていた。
赤ん坊たちにも小さな鎖が首に巻かれ、タグ付けされているのが一目でわかった。
別の建物に移動すると、そこはもっと酷かった。鉄の匂いと、生ゴミのような腐臭。人肉を解体・加工する作業場だった。
血の溜まった石の溝。壁に掛けられたフックに吊るされた、剥ぎ取られた皮膚。
隣の広い部屋では、数十人の女性が鎖で繋がれ、機械的に乳を絞り出されていた。
搾乳器の「シュッ、シュッ」という音と、滴る白い液体の音だけが響く。誰も一言も発しない。
この施設全体が、人間牧場だった。
首輪をつけた人間が、焼き印を押された人間を家畜として扱う。
自発的に、喜んで、支配側に立っていた。
精神制御がかかっていないのに、なぜこんな目をしている?
とてもきつい物を見てしまった。間違ってもエレナには言えないし見せれないとも思った。
それにしても俺自身精神防御がかかっていて本当に良かったと思う。
そうでなかったら、俺はあの惨状を見て、発狂していたか、動揺して潜入がばれてたに違いない。
目の前の光景が、頭の中でぐるぐる回る。吐
また違う施設では、子供たちの首に首輪が付けられていて、人間の大人たちが世話をしていた。
大人たちは裸に近い服を着ていて、子供たちは立派な服を着ていた。
子供の目が、虚ろに俺の方を見ている気がした。俺は息を殺してその場を離れた。
夜明けが近づく頃。
町の広場近くに戻った俺は、凍りついた。数十のさらし首。
杭に刺され、腐臭を放ちながら風に揺れている。
その中に、エレナが命懸けで助けたはずの母娘の首もあった。
首輪が深く食い込み、乾いた血が黒くこびりついている。
木の看板には、赤黒い文字でこう書かれていた。
『先日の騒ぎに与した愚か者共の末路』
無力感が胸を抉る。今はそれを怒りに変えて作戦に集中しようとしたときに、町のあちこちから煙が立ち上がった。
白い煙が、夜明けの空にゆっくりと広がっていく。瓶の仕込みが、一斉に発動した。町のあちこちから魔物と人間の叫び声が聞こえ始めた。
混乱が広がる音が、次第に大きくなっていった。
魔物の咆哮、人間の叫び声、金属がぶつかり合う甲高い響き。
たくさんの足音が、地面を震わせながら四方から迫ってくる。
俺が動き出した瞬間、町の周囲から人が雪崩のように押し寄せてきた。
炎の民のメンバーたちだ。
ヒルダの赤い髪が、朝焼けに燃えるように見える。
イヴァンが剣を抜き、叫ぶ。「今だ! 突入!」
俺の役目は城に行きボスを倒すこと。城に潜入を始めた。石壁の隙間を縫うように、影を伝って進む。
心臓の鼓動が耳に響く。
怒りが、俺の剣を握る手に力を込める。あの親娘の首が、頭から離れない。
作戦は始まっている。俺は息を殺して、城の中へ踏み込んだ。
苦手な方は閲覧をお控えください。
(R15指定作品のため、15歳未満の方は閲覧禁止です)
グランベルグの街に潜入を成功させた俺は、作戦通りに手のひらサイズの粗末な陶器瓶を10か所に設置していった。
夜の闇に溶け込むように、路地から路地へ、まるで影そのものとなって移動する。
石畳に靴底が触れるたび、かすかな「コツ……コツ……」という音だけが、自分の存在を主張していた。
瓶はわざと表面を荒く焼き、ひび割れや煤けた跡を意図的に残してある。
一見すれば、ただの古びた水がめの欠片か、捨てられた粗末な壺にしか見えない。
中には、拳大の灰色がかったゴツゴツした「石」が一つだけ転がっている——ように見える。
だがその「石」こそが、俺達が3か月かけて命を削るように作り上げた固体二酸化炭素——ドライアイスそのものだ。
表面をわざと汚し、泥や煤を擦り付けて偽装してあるから、この世界の誰が見てもただの石ころとしか思わない。
実際、魔術師たちに初めて見せたときも、「なんだこの変な石……?」って顔で触ってたくらいだ。
瓶の中に熱湯を注げば、一瞬で昇華して濃密な白煙を吐き出す。
しかも二酸化炭素は重いから、地面近くに這うように広がって逃げ場を塞ぐ。
本来は、完璧な煙幕兵器になるはずだが、街の奪還のための、火事に見せかけたフェイクにも使えると思ったからだった。。
設置中はただの「粗末な壺に石が入ってるだけ」のゴミに見える。
これ以上ないカモフラージュだ。置くたびに俺は瓶の中の「石」を一瞥して、ちょっと苦笑した。それからが俺にとっては地獄だった。
温度計も科学的概念もない世界で、「マイナス79度」という感覚を体で覚え込ませるのは骨が折れた。
何度も何度も風魔法でCO₂を集め、氷魔法で限界まで冷やし、概念を知らないことを教えるのは大変だと理解したぐらいだった。。
現代人でやり方を知っていれば「ドライアイスを作れ」って一言で済むのに、
この世界には「二酸化炭素を固体にする」って概念がなかったから、骨が折れた。
でも、出来た瞬間、俺は思った。
それで出来たのは、たった10個だけだった。
石ころに見える偽装も完璧。割られても「ただの石が出てきただけ」で済む。
最後の設置場所に置いた時、声が聞こえてきた。
俺は何事かと思い、立派な石造りの邸宅に向かった。
窓の隙間から漏れる明かりと、湿った吐息のような音が耳に届いた。
「……んっ……あ……」
低く、粘つくような女の声。男の荒い息遣い。
ベッドの木枠が軋む規則的なリズム。
汗と体液と、微かに鉄錆のような血の匂いが混じった空気が、窓の隙間から流れ出してくる。
俺は息を殺して覗き込んだ。
20代の男女が裸で絡み合っていた。
汗と吐息が部屋にこもり、ベッドの軋む音が響く。
男の背中には、赤黒い焼印が刻まれていた。
鎖の模様のような、魔物の紋章。女の腰にも、同じ焼印。
首には細い鎖が巻かれ、鎖の先は壁に固定されている。
女の目は虚ろで、ただ機械的に体を動かしているだけに見えた。
部屋の隅に、監視役の鞭をもった人間が立っていた。
その男の首には首輪が付けられていた。
目を逸らすこともない。その目は冷たく、誇らしげで、同じ人間を見下しているように見えた。
首輪をつけた人間が、焼き印を押された人間を管理している。
なぜこんな目をしている?精神制御されてるようにも見えなかった。何がおきているのか、俺はそのまま陰に紛れて二階に向かった。
上の階に上がると、個室に妊婦が寝かされていた。
腹が大きく膨らみ、鎖で手足がベッドに繋がれている。
腰と腹の横に赤黒い焼き印。傍らには監視役の人間が立っていて、機械的に腹を撫でている。
その監視役の首にも首輪が付けられていた。
自ら進んで管理している。別の部屋では男女に分かれた赤ん坊の部屋があった。
小さなベッドがずらりと並び、泣き声が漏れる。乳母のような人間が、無表情で赤ん坊に乳を飲ませている。
乳母の首にも首輪が付けられていた。
赤ん坊たちにも小さな鎖が首に巻かれ、タグ付けされているのが一目でわかった。
別の建物に移動すると、そこはもっと酷かった。鉄の匂いと、生ゴミのような腐臭。人肉を解体・加工する作業場だった。
血の溜まった石の溝。壁に掛けられたフックに吊るされた、剥ぎ取られた皮膚。
隣の広い部屋では、数十人の女性が鎖で繋がれ、機械的に乳を絞り出されていた。
搾乳器の「シュッ、シュッ」という音と、滴る白い液体の音だけが響く。誰も一言も発しない。
この施設全体が、人間牧場だった。
首輪をつけた人間が、焼き印を押された人間を家畜として扱う。
自発的に、喜んで、支配側に立っていた。
精神制御がかかっていないのに、なぜこんな目をしている?
とてもきつい物を見てしまった。間違ってもエレナには言えないし見せれないとも思った。
それにしても俺自身精神防御がかかっていて本当に良かったと思う。
そうでなかったら、俺はあの惨状を見て、発狂していたか、動揺して潜入がばれてたに違いない。
目の前の光景が、頭の中でぐるぐる回る。吐
また違う施設では、子供たちの首に首輪が付けられていて、人間の大人たちが世話をしていた。
大人たちは裸に近い服を着ていて、子供たちは立派な服を着ていた。
子供の目が、虚ろに俺の方を見ている気がした。俺は息を殺してその場を離れた。
夜明けが近づく頃。
町の広場近くに戻った俺は、凍りついた。数十のさらし首。
杭に刺され、腐臭を放ちながら風に揺れている。
その中に、エレナが命懸けで助けたはずの母娘の首もあった。
首輪が深く食い込み、乾いた血が黒くこびりついている。
木の看板には、赤黒い文字でこう書かれていた。
『先日の騒ぎに与した愚か者共の末路』
無力感が胸を抉る。今はそれを怒りに変えて作戦に集中しようとしたときに、町のあちこちから煙が立ち上がった。
白い煙が、夜明けの空にゆっくりと広がっていく。瓶の仕込みが、一斉に発動した。町のあちこちから魔物と人間の叫び声が聞こえ始めた。
混乱が広がる音が、次第に大きくなっていった。
魔物の咆哮、人間の叫び声、金属がぶつかり合う甲高い響き。
たくさんの足音が、地面を震わせながら四方から迫ってくる。
俺が動き出した瞬間、町の周囲から人が雪崩のように押し寄せてきた。
炎の民のメンバーたちだ。
ヒルダの赤い髪が、朝焼けに燃えるように見える。
イヴァンが剣を抜き、叫ぶ。「今だ! 突入!」
俺の役目は城に行きボスを倒すこと。城に潜入を始めた。石壁の隙間を縫うように、影を伝って進む。
心臓の鼓動が耳に響く。
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