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【本編】一章 bule drop(2年次10月頃~過去有)
bule drop -2-
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「“bule drop”の保管場所は、広尾にある沢城邸、個人美術館。ここからすぐだな。
一般の展示は火曜日から日曜日の午前10時から午後6時まで。
月曜日は休館日。美術館自体のロックが3つ、“bule drop”保管部屋のロックが5つ、 別個に“bule drop”保管ケースのロックが3つ」
タブレット端末の資料を淡々と読み上げる久我。
その内容にうんざりした様子でソファに沈み込む姫坂である。
「これまた随分頑丈だね。警備は?」
「美術館内の通常警備員の数は通常6人。
けど“bule drop”がきてから は2倍の12人体制だ。
盗みに行くとわかった時点でこの人数はさらに増えだろうからあんまり目安にはならないな」
「500万以上の出費をみたほうがいい、か」
「さすがに今ある物だけじゃ無理だろ、開発班へ調達が必要だな」
開発班。
武器、道具、薬品、組織のあらゆる物の開発と調達依頼を受け持っている。
法にふれるものの取り扱いも勿論行っている。
例えば拳銃に関しても、より軽く衝撃が少ないサイレンサー付きに改造したりしている。
銃の他にも、特殊レーザーを使用したナイフ、暗視ゴーグル、盗聴器を始めとし、催涙ガス、催眠ガス、毒薬などの研究も幅広く行われている。
ちなみに久我と姫坂が常備している開発班作のものは、暗視ゴーグル、超衝撃吸収型ブーツ、盗聴器、超薄型伸縮性防弾スーツ、催涙弾&催眠ガス、それを遮断するマスク、極細強力ワイヤー等である。
超衝撃吸収型ブーツはビルの5階くらいから地上に飛び降りることも可能なブーツである。
勿論コツが必要であり、使い方を誤れば大怪我、下手すると死に至る可能性も 十分あるものだが、そこは久我と姫坂、2人ともすぐに慣れ、 今では必要不可欠なものの1つである。
ちなみにこのブーツ、購入当初で一足1000万した代物。
今は研究資金が多くなり、組織内での需要が高まったため一足600万で落ち着いている。
「催涙弾と睡眠ガス、残りわずかだから補充しないと」
戸棚の鍵をあけて確認した姫坂に久我が頷く。
「とりあえず、先に決行日時を決めてカード製作だな。
その後、館内のデータ収集、データに基づく当日の行動3パターンを計画、 開発班への調達はその後だ」
「期限の2週間ぎりぎりをみたほうがいいね」
「そうだな、前々回のように風の方向考えずグライダーを使用し、広場にある教会の十字架にささるなんて間抜けな姿は二度と見たくないもんな」
「根に持ってるね、君…」
前々回の大仕事は、とある資産家の保持していた装飾品1点だった。
予想以上の風の強さと、風向きが変わったため当初から計画していたグライダーの使用はやめたほうがいいと言い出した久我に対し、他の手段が思いつかないとの理由で姫坂は1人グライダーを強行使用したのだ。
単に1度グライダーを使ってみたいという好奇心からなのだが、リーダーはともかく、久我はそのくらいお見通しであった。
そのため久我は、リーダーへ引渡しの場所の変更をすると共に、バイクで風に流れる姫坂のグライダーを追い(なんせ装飾品は姫坂が手にしていた) 十字に突き刺さった彼を助けるという手間がかかったのだ。
その上、グライダー破損、引渡し場所と時間の変更等の理由で減俸を食らうという損な役にまわってしまった。
「そっか?」
「そうだよ!確かにあれは僕のせいだった。
だから減俸分は僕の持分から全部引いてって言ったじゃないか。
なのに君が折半でいいと言うから―――――」
もし減俸理由が久我にあるのだとしたら、自分は折半になんか絶対しないという自信が姫坂にはあった。
あったというのは、前々回のこともあって、今後は折半にせざるをえない状況だからだ。
勿論、久我が今後において折半を強要したわけではないのだが、姫坂にも一般的な人間の心はある。
「けど、開発班の新商品カタログをお前に見せたのは俺だったからな」
そういいながらカード作成に取り掛かった久我である。
律儀なその答えに半ば姫坂があきれてしまったのはしかたないことだといえよう。
特殊な機械に通したこのカードは、汚れも傷も指紋すらも一切ない。
「沢城邸にカード届けてくる」
「オーケイ、館内データは任せてよ」
「ハッキングだけはお前のほうが得意だもんな」
「1言多いよ!」
むっとして送り出す姫坂に対し、面白そうに口端を持ち上げる久我。
仲がよさそうに見える彼らだが、どんな過去があるのか、何故組織に入ったのか、互いにそんなことは知らなかった。
一般の展示は火曜日から日曜日の午前10時から午後6時まで。
月曜日は休館日。美術館自体のロックが3つ、“bule drop”保管部屋のロックが5つ、 別個に“bule drop”保管ケースのロックが3つ」
タブレット端末の資料を淡々と読み上げる久我。
その内容にうんざりした様子でソファに沈み込む姫坂である。
「これまた随分頑丈だね。警備は?」
「美術館内の通常警備員の数は通常6人。
けど“bule drop”がきてから は2倍の12人体制だ。
盗みに行くとわかった時点でこの人数はさらに増えだろうからあんまり目安にはならないな」
「500万以上の出費をみたほうがいい、か」
「さすがに今ある物だけじゃ無理だろ、開発班へ調達が必要だな」
開発班。
武器、道具、薬品、組織のあらゆる物の開発と調達依頼を受け持っている。
法にふれるものの取り扱いも勿論行っている。
例えば拳銃に関しても、より軽く衝撃が少ないサイレンサー付きに改造したりしている。
銃の他にも、特殊レーザーを使用したナイフ、暗視ゴーグル、盗聴器を始めとし、催涙ガス、催眠ガス、毒薬などの研究も幅広く行われている。
ちなみに久我と姫坂が常備している開発班作のものは、暗視ゴーグル、超衝撃吸収型ブーツ、盗聴器、超薄型伸縮性防弾スーツ、催涙弾&催眠ガス、それを遮断するマスク、極細強力ワイヤー等である。
超衝撃吸収型ブーツはビルの5階くらいから地上に飛び降りることも可能なブーツである。
勿論コツが必要であり、使い方を誤れば大怪我、下手すると死に至る可能性も 十分あるものだが、そこは久我と姫坂、2人ともすぐに慣れ、 今では必要不可欠なものの1つである。
ちなみにこのブーツ、購入当初で一足1000万した代物。
今は研究資金が多くなり、組織内での需要が高まったため一足600万で落ち着いている。
「催涙弾と睡眠ガス、残りわずかだから補充しないと」
戸棚の鍵をあけて確認した姫坂に久我が頷く。
「とりあえず、先に決行日時を決めてカード製作だな。
その後、館内のデータ収集、データに基づく当日の行動3パターンを計画、 開発班への調達はその後だ」
「期限の2週間ぎりぎりをみたほうがいいね」
「そうだな、前々回のように風の方向考えずグライダーを使用し、広場にある教会の十字架にささるなんて間抜けな姿は二度と見たくないもんな」
「根に持ってるね、君…」
前々回の大仕事は、とある資産家の保持していた装飾品1点だった。
予想以上の風の強さと、風向きが変わったため当初から計画していたグライダーの使用はやめたほうがいいと言い出した久我に対し、他の手段が思いつかないとの理由で姫坂は1人グライダーを強行使用したのだ。
単に1度グライダーを使ってみたいという好奇心からなのだが、リーダーはともかく、久我はそのくらいお見通しであった。
そのため久我は、リーダーへ引渡しの場所の変更をすると共に、バイクで風に流れる姫坂のグライダーを追い(なんせ装飾品は姫坂が手にしていた) 十字に突き刺さった彼を助けるという手間がかかったのだ。
その上、グライダー破損、引渡し場所と時間の変更等の理由で減俸を食らうという損な役にまわってしまった。
「そっか?」
「そうだよ!確かにあれは僕のせいだった。
だから減俸分は僕の持分から全部引いてって言ったじゃないか。
なのに君が折半でいいと言うから―――――」
もし減俸理由が久我にあるのだとしたら、自分は折半になんか絶対しないという自信が姫坂にはあった。
あったというのは、前々回のこともあって、今後は折半にせざるをえない状況だからだ。
勿論、久我が今後において折半を強要したわけではないのだが、姫坂にも一般的な人間の心はある。
「けど、開発班の新商品カタログをお前に見せたのは俺だったからな」
そういいながらカード作成に取り掛かった久我である。
律儀なその答えに半ば姫坂があきれてしまったのはしかたないことだといえよう。
特殊な機械に通したこのカードは、汚れも傷も指紋すらも一切ない。
「沢城邸にカード届けてくる」
「オーケイ、館内データは任せてよ」
「ハッキングだけはお前のほうが得意だもんな」
「1言多いよ!」
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