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本編
-50- 貞操具、残骸の鑑定 オリバー視点
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「イエスマンだったお前がそんなだとはな、やー笑わせてもらった。
ーーーアサヒがいいやつで良かったな、オリバー」
コンサバトリーからアサヒ、レン君、おはぎが出ていくと、アレックスはとても穏やかな表情を私に向けてきました。
先ほどから思っていましたが、私だけではなく、アレックスもレン君との出会いが彼自身を変えたのだろうと思うのです。
目じりがきつく、更に瞳が澄んでいるからでしょうか。
懐が大きく友人思いの優しい彼ですが、眼差しが鋭く、どうしても人に厳しい印象を与える彼です。
しかし、レン君に向けられていた表情は、今まで見たことのないほど、甘やかで穏やかな彼でした。
「あなたにも良い出会いがあってよかったです、アレックス。ところで、イエスマンとは?」
「だって、お前、いつも同じ理由で振られてただろ?振られても、そうですか、ええ、じゃあそうしましょう、みたいにあっさり受け入れてたし」
「みんな私の外見だけが好きだったんですよ、きっと。もしくは、その私に好かれている自分が好き、だったのだと思います」
「全員が全員そうじゃなかったとは思うけどな、流石に」
「そうでしょうか?私なりに大切にしてたつもりですが、『つまらない、僕の召使と変わらない』なんていう理由で…ああ、召使じゃなくて、奴隷だったこともありますが。大体、皆私に夢を見すぎなんですよ。
この顔、どれだけ相手の理想を上げるんですかね?
私は薬師で、人を面白おかしく笑わせる術も楽しませる術も持ち合わせていません」
全ては顔のせい、とまではいきませんが、父上に似ていたらそうはならなかったと思うんですよ。
変な期待もされなくて、もう少し日々穏やかな暮らしが出来たのかもしれません。
「拗らせてんなあ。
まあ、良すぎるのも大変だよな。俺は普通に帝都歩いてるだけで子供に泣かれる顔だし、俺が侯爵家だとわかったら青い顔されてたし。
今じゃ闇属性が浸透して俺の周囲微妙に空くからな、コナーやユージーンは俺と行くと歩きやすいから便利っていう理由で未だに街中引っ張って歩くが」
「あのお二人は、私以上に図太い神経をしていますから。侯爵であるあなたを、貴族街に限らず市民街まで、そう易々と連れて歩こうとはなかなか思えないですよ」
共通の友人二人を思い浮かべます。
とても良い方々なんですよ?
私のことも、最初から普通に接してくれましたしね。
ただ、まあ、そう、図太いんですよ、神経がね、御二方とも。
心臓に毛が生えているんじゃないかと思うくらいに。
周囲の視線や噂を物ともせず、平然と、むしろ気持ちがいいほどに笑顔で歩ける方々です。
そういう方々だからこそ、私とアレックス共通の友人、なのかもしれませんが。
ですが、これだけは言えますね、あのお二人を本気で怒らせてはいけません、絶対に。
「まあな。……っと、オリバー、レンとアサヒの2人が来ない間に、お前に見てもらいたいものがある」
急に、アレックスの表情が厳しいものに変わりました。
私に、ということは植物に関するもので、アサヒとレン君二人には見せたくないものとくれば、おおよそ察しがつきます。
アレックスが、白いハンカチーフの包みを取り出し、テーブルの上に置いたそれをそっと広げました。
予想外の大きさですね、貞操具かと思っていましたがそうではないようです。
ぱっと見は、ボロボロの枝くずと使い古されたより紐のように見えますが。
「これは?」
「言わなくても分かるだろ、レンの貞操具の残骸だ」
貞操具は外したとは聞きましたが、これは外したなんてものではなく、破壊した、ということでしょう。
私もかなり危ない橋を渡ったと思っていましたが。
「アレックス、随分無茶をなさったのでは?返しがあったでしょう?まさか」
「あー、多少しくじった」
「全部受けたのですか?なんて無謀な…正直あなたでなければ無事じゃなかったと思いますよ」
「単純な魔力勝負にならいけると思ったんだ」
「本当にあなたが無事でよかったです。こちらの、枝くずに見えるのは、繋ぎにつかわれていた連環の素材でしたね。ですが、こちらは?」
私はアサヒの貞操具には見覚えがなかった使い古された紐のようなものを鑑定しました。
鑑定するまでもなく、嫌な予感は当たりましたが……本当にこんなものが使われていたのかと疑いたくなります。
「使われていなかったか?」
「ええ。…本当に、レン君の貞操具に使われていたのですか?茎だけでしたか?どのように使われていました?」
「茎なのか?…だけってなんだ。どのようにって…、腹の中に埋まってた。このくらいの長さの玉がいくつか連なってるアナルプラグの先に続いていた」
「アナルプラグはアサヒのと同じようですね。その先に?」
「ああ。紐、茎なんだっけか?その茎が…多分これくらいの長さだ。その茎の先端に、俺の拳よりは小さいが、手首以上はある太さの気色悪い塊がついてたな」
「その塊は?どうされましたか?」
「なんだか呼吸してるみたいでキモかったが…どうされたって、わからん、手元に残ったのがこれだけだ。
貞操具を破壊したと同時俺自身吹っ飛んだし、窓ガラスも砕け散って扉もぶっ壊れたからな、レンに防壁張るのが精一杯でそれも吹っ飛んだと同時壊れちまったから。まずかったんだな、その様子じゃ。屋敷ん中探した方がいいのか?てか、何の植物なんだこれは」
「いえ、その分ならおそらく大丈夫かと」
自分自身で動くことが出来ないのが弱点です。
おそらく枯れてしまい、今残っているのは本当にこれだけでしょう。
ですが、本当に想像以上の無茶をされたようです。
「…といいますか、アレックス、本当に無事でなによりです。
枝くずに見える方も、植物ですが、魔物の一種です。
この二つは、本来どちらも今の帝国では禁忌とされていて、栽培は認められていません」
そこまで言うと、アレックスは驚いた表情で私を見てきました。
ーーーアサヒがいいやつで良かったな、オリバー」
コンサバトリーからアサヒ、レン君、おはぎが出ていくと、アレックスはとても穏やかな表情を私に向けてきました。
先ほどから思っていましたが、私だけではなく、アレックスもレン君との出会いが彼自身を変えたのだろうと思うのです。
目じりがきつく、更に瞳が澄んでいるからでしょうか。
懐が大きく友人思いの優しい彼ですが、眼差しが鋭く、どうしても人に厳しい印象を与える彼です。
しかし、レン君に向けられていた表情は、今まで見たことのないほど、甘やかで穏やかな彼でした。
「あなたにも良い出会いがあってよかったです、アレックス。ところで、イエスマンとは?」
「だって、お前、いつも同じ理由で振られてただろ?振られても、そうですか、ええ、じゃあそうしましょう、みたいにあっさり受け入れてたし」
「みんな私の外見だけが好きだったんですよ、きっと。もしくは、その私に好かれている自分が好き、だったのだと思います」
「全員が全員そうじゃなかったとは思うけどな、流石に」
「そうでしょうか?私なりに大切にしてたつもりですが、『つまらない、僕の召使と変わらない』なんていう理由で…ああ、召使じゃなくて、奴隷だったこともありますが。大体、皆私に夢を見すぎなんですよ。
この顔、どれだけ相手の理想を上げるんですかね?
私は薬師で、人を面白おかしく笑わせる術も楽しませる術も持ち合わせていません」
全ては顔のせい、とまではいきませんが、父上に似ていたらそうはならなかったと思うんですよ。
変な期待もされなくて、もう少し日々穏やかな暮らしが出来たのかもしれません。
「拗らせてんなあ。
まあ、良すぎるのも大変だよな。俺は普通に帝都歩いてるだけで子供に泣かれる顔だし、俺が侯爵家だとわかったら青い顔されてたし。
今じゃ闇属性が浸透して俺の周囲微妙に空くからな、コナーやユージーンは俺と行くと歩きやすいから便利っていう理由で未だに街中引っ張って歩くが」
「あのお二人は、私以上に図太い神経をしていますから。侯爵であるあなたを、貴族街に限らず市民街まで、そう易々と連れて歩こうとはなかなか思えないですよ」
共通の友人二人を思い浮かべます。
とても良い方々なんですよ?
私のことも、最初から普通に接してくれましたしね。
ただ、まあ、そう、図太いんですよ、神経がね、御二方とも。
心臓に毛が生えているんじゃないかと思うくらいに。
周囲の視線や噂を物ともせず、平然と、むしろ気持ちがいいほどに笑顔で歩ける方々です。
そういう方々だからこそ、私とアレックス共通の友人、なのかもしれませんが。
ですが、これだけは言えますね、あのお二人を本気で怒らせてはいけません、絶対に。
「まあな。……っと、オリバー、レンとアサヒの2人が来ない間に、お前に見てもらいたいものがある」
急に、アレックスの表情が厳しいものに変わりました。
私に、ということは植物に関するもので、アサヒとレン君二人には見せたくないものとくれば、おおよそ察しがつきます。
アレックスが、白いハンカチーフの包みを取り出し、テーブルの上に置いたそれをそっと広げました。
予想外の大きさですね、貞操具かと思っていましたがそうではないようです。
ぱっと見は、ボロボロの枝くずと使い古されたより紐のように見えますが。
「これは?」
「言わなくても分かるだろ、レンの貞操具の残骸だ」
貞操具は外したとは聞きましたが、これは外したなんてものではなく、破壊した、ということでしょう。
私もかなり危ない橋を渡ったと思っていましたが。
「アレックス、随分無茶をなさったのでは?返しがあったでしょう?まさか」
「あー、多少しくじった」
「全部受けたのですか?なんて無謀な…正直あなたでなければ無事じゃなかったと思いますよ」
「単純な魔力勝負にならいけると思ったんだ」
「本当にあなたが無事でよかったです。こちらの、枝くずに見えるのは、繋ぎにつかわれていた連環の素材でしたね。ですが、こちらは?」
私はアサヒの貞操具には見覚えがなかった使い古された紐のようなものを鑑定しました。
鑑定するまでもなく、嫌な予感は当たりましたが……本当にこんなものが使われていたのかと疑いたくなります。
「使われていなかったか?」
「ええ。…本当に、レン君の貞操具に使われていたのですか?茎だけでしたか?どのように使われていました?」
「茎なのか?…だけってなんだ。どのようにって…、腹の中に埋まってた。このくらいの長さの玉がいくつか連なってるアナルプラグの先に続いていた」
「アナルプラグはアサヒのと同じようですね。その先に?」
「ああ。紐、茎なんだっけか?その茎が…多分これくらいの長さだ。その茎の先端に、俺の拳よりは小さいが、手首以上はある太さの気色悪い塊がついてたな」
「その塊は?どうされましたか?」
「なんだか呼吸してるみたいでキモかったが…どうされたって、わからん、手元に残ったのがこれだけだ。
貞操具を破壊したと同時俺自身吹っ飛んだし、窓ガラスも砕け散って扉もぶっ壊れたからな、レンに防壁張るのが精一杯でそれも吹っ飛んだと同時壊れちまったから。まずかったんだな、その様子じゃ。屋敷ん中探した方がいいのか?てか、何の植物なんだこれは」
「いえ、その分ならおそらく大丈夫かと」
自分自身で動くことが出来ないのが弱点です。
おそらく枯れてしまい、今残っているのは本当にこれだけでしょう。
ですが、本当に想像以上の無茶をされたようです。
「…といいますか、アレックス、本当に無事でなによりです。
枝くずに見える方も、植物ですが、魔物の一種です。
この二つは、本来どちらも今の帝国では禁忌とされていて、栽培は認められていません」
そこまで言うと、アレックスは驚いた表情で私を見てきました。
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