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転生男装令嬢クリスティーナの場合
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「失礼ですが、メイシー伯爵令嬢で間違いありませんか?」
「はい、間違いありません。メイシー伯爵家三女、クリスティーナ=メイシーと申します」
「……遅くなりすみません。ブルーノ=オースティンです」
そう言って困惑気味に席に着いたのは、紛れもなくブルーノ=オースティンだった。
や、ゲームで見た時よりも、男としての完成度は高く、育ちきっている。
まあ、そりゃそうだ、もう、立派に25だもんなあ。
昼間のレストランの待ち合わせで、格式通りの貴族の挨拶とはいかないものの、十分注目の的だった。
周りの目が更に俺らに集中するが、それもしかたない。
一緒にいる俺が霞むほどの壮絶美形、しかも次期宰相様だ。
困惑した顔も、目の保養すぎる。
そういや、中身も見た目も俺は男みたいな感じだけどさ、心も身体も所詮女なんだよなあ。
可愛いと思うことはあっても、女性を恋愛対象で好きになったことはない。
好ましく思った男子生徒はいたが、彼には婚約者もいたし、特別自分から動くまででもなかった。
まさか、俺も父も、公爵令息のブルーノ=オースティンとうまくいくとは思っていない。
思っていないが、父のことを思えば、もともと断れない状況だし、失礼があってはいけない相手だ。
なら、内心は、ミーハー心むき出しでこの状況を楽しんでもいいだろう。
この超絶美形を前に美味いものが食えるなら、来たかいがあるってもんだ。
「…その、クリスティーナ嬢、とお呼びしても?」
「ええ、構いません」
「では、私のことは、ブルーノ、と。その、父が無理を言ったようで申し訳ありません」
「いいえ、ブルーノ様。私が、婚約者を絶賛募集中なのは確かですから。まあ、少し人目は気になりますが、こういうのも悪くないですね」
たぶん、周りには、俺は男と思われているだろう。
俺なんて霞むかと思ったが、ブルーノとセットで目の保養になっているっぽい。
このレストランは、商談にも使われるし、現在はランチ時だ。
休日で年配の女性が多いが、男性がいないわけではないし、そこまで不自然には感じないのだろう。
さっすが、宰相閣下はいい店を選んだなあ。
なんていうか、どっかのアイドルにでもなったような気分だ。
「悪くない……ですか」
「ええ。声を掛けて来られることもない環境ですし、話に耳をそばだてる者もいない。席も程よく離れている上に、窓側で眺めも日当たりも良好です。
従業員もよく行き届いていますし、食事も美味しそうですね。さすが宰相閣下がお選びになった店です」
「なら、気にせず頼んでいただきたい。私は……」
ブルーノが言い淀む。
口を開きかけて、また閉じた。
うーん、一緒には食えないかー……まあ、初対面だしなあ。
貴族の見合いで、この形式が普通か普通じゃないかと言われたら、普通じゃない。
けど、家に呼んでおいて食えないほうが逃げらんないし、逆はもっと無理だもんなあ。
そういう意味で、この場、なんだろうけれど。
「……知っていたのか?」
「へ?あ、いえ……失礼、なにか?」
「一緒には食えないかー……まあ、初対面だしなあ、と」
「………」
あちゃー……どうやら、声に出ていたらしい。
開始すぐに墓穴を掘ったっぽい。
まあ、でもしょうがないか。
「女性が苦手だという話は以前から聞いておりましたし───」
「普通に話してくれ、頼む」
「いえ、流石にそれは」
「身分がどうこう気にしないし、不敬だとかはない」
「あ、そう?……じゃ、遠慮なく」
そういや、地のままで良いって頼まれてたっけ。
外面良くして、万が一いい結果になったって、地を知られて白紙になったらそっちの方がダメージがデカい。
「初対面の人間と食べるの苦手な人もいるだろ?特に、ブルーノ様は公爵家のご長男だ、警戒してもしかたない」
「………」
「私は毒や薬を使う気なんてこれっぽっちもないし、私自身が慣らされてもいるし、ある程度見わけもつくから心配しなくてもいい……って言っても安心はできないか。ひとりで食べるのは気が引けるけど、腹は減ってるから頼ませてもらう」
言いたい放題かもしれないが、本心からそう言って、店員を呼び寄せ、折角なのでおすすめのコースを頼む。
「私にも同じものを」
すると、目の前でブルーノが店員に告げる。
おお、一緒のものを頼むだけ、一歩前進じゃね?
少し声は硬かったが、良い傾向だ。
「はい、間違いありません。メイシー伯爵家三女、クリスティーナ=メイシーと申します」
「……遅くなりすみません。ブルーノ=オースティンです」
そう言って困惑気味に席に着いたのは、紛れもなくブルーノ=オースティンだった。
や、ゲームで見た時よりも、男としての完成度は高く、育ちきっている。
まあ、そりゃそうだ、もう、立派に25だもんなあ。
昼間のレストランの待ち合わせで、格式通りの貴族の挨拶とはいかないものの、十分注目の的だった。
周りの目が更に俺らに集中するが、それもしかたない。
一緒にいる俺が霞むほどの壮絶美形、しかも次期宰相様だ。
困惑した顔も、目の保養すぎる。
そういや、中身も見た目も俺は男みたいな感じだけどさ、心も身体も所詮女なんだよなあ。
可愛いと思うことはあっても、女性を恋愛対象で好きになったことはない。
好ましく思った男子生徒はいたが、彼には婚約者もいたし、特別自分から動くまででもなかった。
まさか、俺も父も、公爵令息のブルーノ=オースティンとうまくいくとは思っていない。
思っていないが、父のことを思えば、もともと断れない状況だし、失礼があってはいけない相手だ。
なら、内心は、ミーハー心むき出しでこの状況を楽しんでもいいだろう。
この超絶美形を前に美味いものが食えるなら、来たかいがあるってもんだ。
「…その、クリスティーナ嬢、とお呼びしても?」
「ええ、構いません」
「では、私のことは、ブルーノ、と。その、父が無理を言ったようで申し訳ありません」
「いいえ、ブルーノ様。私が、婚約者を絶賛募集中なのは確かですから。まあ、少し人目は気になりますが、こういうのも悪くないですね」
たぶん、周りには、俺は男と思われているだろう。
俺なんて霞むかと思ったが、ブルーノとセットで目の保養になっているっぽい。
このレストランは、商談にも使われるし、現在はランチ時だ。
休日で年配の女性が多いが、男性がいないわけではないし、そこまで不自然には感じないのだろう。
さっすが、宰相閣下はいい店を選んだなあ。
なんていうか、どっかのアイドルにでもなったような気分だ。
「悪くない……ですか」
「ええ。声を掛けて来られることもない環境ですし、話に耳をそばだてる者もいない。席も程よく離れている上に、窓側で眺めも日当たりも良好です。
従業員もよく行き届いていますし、食事も美味しそうですね。さすが宰相閣下がお選びになった店です」
「なら、気にせず頼んでいただきたい。私は……」
ブルーノが言い淀む。
口を開きかけて、また閉じた。
うーん、一緒には食えないかー……まあ、初対面だしなあ。
貴族の見合いで、この形式が普通か普通じゃないかと言われたら、普通じゃない。
けど、家に呼んでおいて食えないほうが逃げらんないし、逆はもっと無理だもんなあ。
そういう意味で、この場、なんだろうけれど。
「……知っていたのか?」
「へ?あ、いえ……失礼、なにか?」
「一緒には食えないかー……まあ、初対面だしなあ、と」
「………」
あちゃー……どうやら、声に出ていたらしい。
開始すぐに墓穴を掘ったっぽい。
まあ、でもしょうがないか。
「女性が苦手だという話は以前から聞いておりましたし───」
「普通に話してくれ、頼む」
「いえ、流石にそれは」
「身分がどうこう気にしないし、不敬だとかはない」
「あ、そう?……じゃ、遠慮なく」
そういや、地のままで良いって頼まれてたっけ。
外面良くして、万が一いい結果になったって、地を知られて白紙になったらそっちの方がダメージがデカい。
「初対面の人間と食べるの苦手な人もいるだろ?特に、ブルーノ様は公爵家のご長男だ、警戒してもしかたない」
「………」
「私は毒や薬を使う気なんてこれっぽっちもないし、私自身が慣らされてもいるし、ある程度見わけもつくから心配しなくてもいい……って言っても安心はできないか。ひとりで食べるのは気が引けるけど、腹は減ってるから頼ませてもらう」
言いたい放題かもしれないが、本心からそう言って、店員を呼び寄せ、折角なのでおすすめのコースを頼む。
「私にも同じものを」
すると、目の前でブルーノが店員に告げる。
おお、一緒のものを頼むだけ、一歩前進じゃね?
少し声は硬かったが、良い傾向だ。
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