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転生男装令嬢クリスティーナの場合
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また倒れたもんだから家中大騒ぎになった。
起きたら、元のクリスティーナ=メイシーの記憶も良い感じで混ざった。
だから、二度目に目覚めた時の俺はさほど混乱せずに済んだんだが、今度は家中の者から過剰に心配されてしまった。
クリスティーナが男として育てられたのには訳がある。
クリスティーナを産んだ母は、三人目も女と知るや否や、悲鳴を上げた。
次に目覚めた時には、男だと言い張ったという。
否定しても叫び狂うので手が付けられず、仕方なく三女は長男として育てることにしたようだ。
邸の誰も止めなかったのは、跡継ぎが産めないという重圧に耐えられずにいた夫人への哀れみが大きい。
男として否定しなければ、表面上は穏やかだったのもある。
それに、いくらクリスティーナが幼き頃の当主に似ていても、所詮は女。
時が来れば女性らしくなり、妻もそのうち娘と認めるだろう。
そう楽観視したメイシー伯爵は『見守るように』と判断したからだ。
実際はそうはならず、無理心中を図られて───結局娘の俺だけが助かった。
毒を盛られ母親も毒を煽ったが、俺だけ助かったのは、幼少期に毒を慣らされていたのが原因だろう、というのが医者の見解だった。
で、冒頭に戻る。
超絶美しい顔したオースティン公爵令息、もとい、ブルーノ様だが、先ほども言ったようにゲーム中の攻略対象である。
一番上の姉であるヒロインと、よろしくなる未来もあったんだ。
姉はゲーム中だとバットエンド、しかし実はハッピーエンドの道をたどった。
思いっ切り大恋愛の末、辺境伯に押し掛け、嫁いでいった。
姉は、はっきり言って、ぼんきゅっぼーんの超絶美少女、まさしくヒロインだった。
ゲームの中では、王太子、王弟殿下、宰相の息子、騎士団長の息子、とそれぞれルートがあったが、姉は騎士団長の息子のルートに入り、婚約後、婚約破棄騒動が起こり、そして紆余曲折あったが辺境伯へ。
現実は、ゲームとは違うもんだなーと思っていて、まあ、あの姉がドストライクの筋肉隆々で男らしい辺境伯を捕まえられたのだから結果良かったんだろうな、と思っていた。
幸せなのが一番だ。
ゲームの中での宰相の息子、ブルーノ様は、大の女性嫌いだ。
メイドに襲われかけ、お茶会のセッティングで媚薬を盛られ、断られた腹いせに毒を盛られかけ、女性と食事ができない設定だったはずだ。
不憫過ぎて泣けてくる。
ルートから外れたから、手作りクッキーで克服イベントも起きていないはず。
そんな彼に白羽の矢が立ったのが、男装令嬢の俺だ。
15歳から始まった俺の淑女教育は、とりあえず外に出すだけの体裁は整えられた。
だが、長時間はもたないし、それで良いと家中が認めてくれた。
諦めてくれた、が正しいのかもしれない。
俺の意向で、そのまま継続して貰っている次期領主としての勉学と、剣術、乗馬なんかもそのまま許された。
父も俺と同じで、婿を取るのも良いだろう、そう思っていたんだと思う。
だが、しかし。
昨年、後妻に腹違いの弟が生まれてしまったら、そうはいかない。
そのままでいいと父も義母も言ってくれているが、早急に嫁ぎ先を探す必要があった。
義母もめちゃくちゃ良い人で、可愛らしい人であり、ちゃんと俺の母であり、あたたかい人だった。
そんなんだから、余計、だ。
『あー……じゃあもう、修道院に行くか!』
最終的にそんな風に俺が決断したもんだから、レヴも父も義母も、家中が大騒ぎした。
嫁いだ二人の姉すらも一時帰宅するほどで、全員で俺の説得にあたった。
『良い嫁ぎ先を考えるから、もう少しだけ待ちなさい!いいか、早まるな、絶対の絶対に早まらないでくれ!』
『リーヴァイ、クリスを頼みますよ』
『お任せください』
そんなこんなの修道院行き大騒動があってから、二週間。
父から紹介されたのが、なんとすっかり俺の中から忘れてさられていたヒロインの攻略対象者の一人、オースティン公爵令息のブルーノ様だった。
父が王宮勤めで、そこかしこと三女の嫁ぎ先を探している話をふれ渡った結果、宰相様直々に声がかかったという。
父も驚いていたが、男装のまま、ふだんと変わらない畏まらない様でいただきたい、是非そうして欲しいことと、指定の時間指定のレストランに行くことが決定されていた。
宰相様で公爵様だ、断れるわけがない。
普段の格好で良い、といわれて、はいそうですか、とはいかず。
格式は高すぎず、でも低くもなく、カジュアル寄りだが所詮貴族の使う高級レストラン。
男装と言えど、普段よりお洒落な服に着替え、レヴの手によって、長い髪は綺麗にとかされて艶を出され、しっかりポニーテールに結ばれた。
その出来上がりたるや。
うーん……若かりしき父に、そっくりだ。
今でこそ皺が増えて白髪交じりだが、それでもしゃんとしていたらダンディなイケメン父である。
40をゆうに過ぎても、一回りも若い後妻が相思相愛で嫁いで来られる程には、イケメンなのだ。
故に、俺もイケメン、である。
『良くお似合いです』
『自分でもそう思う。ドレスよかよっぽど似合ってるよなあ』
『ドレスもお似合いだと思いますが?』
『よせやい』
緊張をほぐされつつ、時間前ではあるが、案内された席に座る。
周りのお嬢さんたちについ笑みを浮かべて目礼をすると、黄色い声が上がる。
まあ……いつものことだ。
学校で浮いているようで浮いていない。
や、浮いているか、思いっきし。
けれど、この姿のおかげで、男連中から言い寄られることも、女性からの陰湿ないじめもない。
告白されたのは、女生徒から。
男子生徒からは、告白じゃなく決闘ならある。
受けて立ったが、勿論秒で勝った。
前世のフェンシングの感覚と、今世の剣の腕前、両方が合わさった結果、更に磨きがかかったような気がした。
おかげでますます同年代のお嫁の貰い手からは、遠ざかったと言ってもいい。
起きたら、元のクリスティーナ=メイシーの記憶も良い感じで混ざった。
だから、二度目に目覚めた時の俺はさほど混乱せずに済んだんだが、今度は家中の者から過剰に心配されてしまった。
クリスティーナが男として育てられたのには訳がある。
クリスティーナを産んだ母は、三人目も女と知るや否や、悲鳴を上げた。
次に目覚めた時には、男だと言い張ったという。
否定しても叫び狂うので手が付けられず、仕方なく三女は長男として育てることにしたようだ。
邸の誰も止めなかったのは、跡継ぎが産めないという重圧に耐えられずにいた夫人への哀れみが大きい。
男として否定しなければ、表面上は穏やかだったのもある。
それに、いくらクリスティーナが幼き頃の当主に似ていても、所詮は女。
時が来れば女性らしくなり、妻もそのうち娘と認めるだろう。
そう楽観視したメイシー伯爵は『見守るように』と判断したからだ。
実際はそうはならず、無理心中を図られて───結局娘の俺だけが助かった。
毒を盛られ母親も毒を煽ったが、俺だけ助かったのは、幼少期に毒を慣らされていたのが原因だろう、というのが医者の見解だった。
で、冒頭に戻る。
超絶美しい顔したオースティン公爵令息、もとい、ブルーノ様だが、先ほども言ったようにゲーム中の攻略対象である。
一番上の姉であるヒロインと、よろしくなる未来もあったんだ。
姉はゲーム中だとバットエンド、しかし実はハッピーエンドの道をたどった。
思いっ切り大恋愛の末、辺境伯に押し掛け、嫁いでいった。
姉は、はっきり言って、ぼんきゅっぼーんの超絶美少女、まさしくヒロインだった。
ゲームの中では、王太子、王弟殿下、宰相の息子、騎士団長の息子、とそれぞれルートがあったが、姉は騎士団長の息子のルートに入り、婚約後、婚約破棄騒動が起こり、そして紆余曲折あったが辺境伯へ。
現実は、ゲームとは違うもんだなーと思っていて、まあ、あの姉がドストライクの筋肉隆々で男らしい辺境伯を捕まえられたのだから結果良かったんだろうな、と思っていた。
幸せなのが一番だ。
ゲームの中での宰相の息子、ブルーノ様は、大の女性嫌いだ。
メイドに襲われかけ、お茶会のセッティングで媚薬を盛られ、断られた腹いせに毒を盛られかけ、女性と食事ができない設定だったはずだ。
不憫過ぎて泣けてくる。
ルートから外れたから、手作りクッキーで克服イベントも起きていないはず。
そんな彼に白羽の矢が立ったのが、男装令嬢の俺だ。
15歳から始まった俺の淑女教育は、とりあえず外に出すだけの体裁は整えられた。
だが、長時間はもたないし、それで良いと家中が認めてくれた。
諦めてくれた、が正しいのかもしれない。
俺の意向で、そのまま継続して貰っている次期領主としての勉学と、剣術、乗馬なんかもそのまま許された。
父も俺と同じで、婿を取るのも良いだろう、そう思っていたんだと思う。
だが、しかし。
昨年、後妻に腹違いの弟が生まれてしまったら、そうはいかない。
そのままでいいと父も義母も言ってくれているが、早急に嫁ぎ先を探す必要があった。
義母もめちゃくちゃ良い人で、可愛らしい人であり、ちゃんと俺の母であり、あたたかい人だった。
そんなんだから、余計、だ。
『あー……じゃあもう、修道院に行くか!』
最終的にそんな風に俺が決断したもんだから、レヴも父も義母も、家中が大騒ぎした。
嫁いだ二人の姉すらも一時帰宅するほどで、全員で俺の説得にあたった。
『良い嫁ぎ先を考えるから、もう少しだけ待ちなさい!いいか、早まるな、絶対の絶対に早まらないでくれ!』
『リーヴァイ、クリスを頼みますよ』
『お任せください』
そんなこんなの修道院行き大騒動があってから、二週間。
父から紹介されたのが、なんとすっかり俺の中から忘れてさられていたヒロインの攻略対象者の一人、オースティン公爵令息のブルーノ様だった。
父が王宮勤めで、そこかしこと三女の嫁ぎ先を探している話をふれ渡った結果、宰相様直々に声がかかったという。
父も驚いていたが、男装のまま、ふだんと変わらない畏まらない様でいただきたい、是非そうして欲しいことと、指定の時間指定のレストランに行くことが決定されていた。
宰相様で公爵様だ、断れるわけがない。
普段の格好で良い、といわれて、はいそうですか、とはいかず。
格式は高すぎず、でも低くもなく、カジュアル寄りだが所詮貴族の使う高級レストラン。
男装と言えど、普段よりお洒落な服に着替え、レヴの手によって、長い髪は綺麗にとかされて艶を出され、しっかりポニーテールに結ばれた。
その出来上がりたるや。
うーん……若かりしき父に、そっくりだ。
今でこそ皺が増えて白髪交じりだが、それでもしゃんとしていたらダンディなイケメン父である。
40をゆうに過ぎても、一回りも若い後妻が相思相愛で嫁いで来られる程には、イケメンなのだ。
故に、俺もイケメン、である。
『良くお似合いです』
『自分でもそう思う。ドレスよかよっぽど似合ってるよなあ』
『ドレスもお似合いだと思いますが?』
『よせやい』
緊張をほぐされつつ、時間前ではあるが、案内された席に座る。
周りのお嬢さんたちについ笑みを浮かべて目礼をすると、黄色い声が上がる。
まあ……いつものことだ。
学校で浮いているようで浮いていない。
や、浮いているか、思いっきし。
けれど、この姿のおかげで、男連中から言い寄られることも、女性からの陰湿ないじめもない。
告白されたのは、女生徒から。
男子生徒からは、告白じゃなく決闘ならある。
受けて立ったが、勿論秒で勝った。
前世のフェンシングの感覚と、今世の剣の腕前、両方が合わさった結果、更に磨きがかかったような気がした。
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