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男装令嬢の専属従者リーヴァイの場合
-2- クリス様の告白、転生
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クリス様のお話───正しくは、クリス様と意識が混ざった男性の話によれば、こういった事象はとても珍しいものの、『転生』といわれ、彼の生きていた世界では全く前例がないわけではない話なのだ、と仰いました。
ですが、クリス様が全く消えたわけではなく、きちんと今までの記憶も残っておいでのようです。
そのあたりは、人によりけりのようですが、とにかく今のクリス様には、クリス様でない別の人格が合わさり、その性格部分においては彼を多く引き継いでいるというのです。
以前のクリス様には少し神経質な部分がおありでしたが、今のクリス様にはそれが見られないあたり、彼の言うことは正しいのでしょう。
そして、さらに驚くことには、転生のその記憶によりますと、『ゲーム』と呼ばれる物語に、同じ登場人物が存在すると言うのです。
「ゲームって言うのはさ、なんて言ったらいいか……小説の主人公が恋人にしたいお相手によって物語が変わるような感じで、それを読み手が自由に選べるんだ」
「相手を好きに選べるのですか?」
「そ。それで、途中途中にイベントが発生して、その選択によっても結末も変わる……っていうような感じかな」
「………」
少しわかり難く私が黙ると、クリス様が慌てて口を開かれます。
「流行っててさ、そのゲーム。凄いはまってたわけとかじゃなくて……気になった子がそのゲームが好きでさ、すすめられてちょっと気晴らしでやってたっていうか!」
「そこが引っ掛かったわけでは」
恋愛小説は女性が好むものですが、そこに引っ掛かったわけではありません。
物語の話の流れや最後までもが複数あることに理解が難しかっただけです。
「それで、えーと、フィオリーナ姉上が主人公でさ───」
「は?」
「や、だからさ、そのゲームの中ではフィオリーナ姉上が主人公なんだよ。で、王太子、王弟殿下、宰相の息子、騎士団長の息子、とそれぞれ相手がいて」
「……現在辺境伯のご夫人ですが、確かに騎士団長のご子息と婚約をされた後、破棄となられてますね」
「まーうん、でもさ、登場人物が一緒ではあるんだけれど、その真相っていえばいいのかな?そこはやっぱり現実と違うことも多くて」
クリス様のお話によると、ゲームでバッドエンド、つまるところフィオリーナ様が婚約破棄となられてしまうと幸せになれない道を辿るらしいのですが、
実際は、好きなお相手と結ばれて、現在はお幸せに暮らしていらっしゃいます。
「それにさ、クリスはモブ中のモブ。ゲームん中じゃ15で死んでるんだよな、しょっぱなで」
「はい?!」
「や、だから、もう、全然変わっちゃってるって言うか、違うことの方が多いし。レヴはそのゲームには出てきてもいないし。
ってなると、実際の出来事の記憶は、元々のクリスが持っていた記憶の方が正しい上に鮮明なんだよ。性格は転生よりになっちゃったけど」
「なるほど。では、ゲームのその知識があったとしても、実際とは違うことも多く、未来については分からない、ということですね」
未来がわかるのであれば、良くも悪くも今後の行動に慎重にならざるをえないと思いましたが、
ゲームの中では、そもそもクリス様自身が生きていらっしゃらないとのこと。
ならば、クリス様の思うように動かれて、傍でお支えすれば何にも問題ないでしょう。
「そうそう、そんな感じ───ってわけで、多分、毒を盛られる前のクリスより色々適当になりそうだ。外ではちゃんとするけどさ」
「わかりました。後で辻褄を合わせましょう。その、つかぬことを伺いますが」
「ん?」
以前のクリス様は、男性として育てられていたとはいえ、心も身体も女性でした。
ですが、中身が男性の部分を多く引きずっていらっしゃる今、恋愛対象はどちらなのでしょうか?
「以前のクリス様は恋愛対象は男性でしたが、それは今もお変わりありませんか?」
「ん?ああ、うん……変わらない、な。うん、変わらない。女の子はそりゃ可愛いなとは思うかもしれないけど、欲情はしない。安心しろ」
「そうですか」
ちょっと考えたそぶりを見せたクリス様でいらっしゃいましたが、恋愛対象は男性の様です。
つい、ほっとしてしまいました。
いえ、もし、万が一、女性が対象となってしまわれたら、それはそれで受け入れる覚悟ではありましたが。
「んー……しっかし、どうするかな。今更淑女教育を始めるとか無理そうだ」
「語学や経営学は、元々好まれていましたが」
「あー、うん。今も好きだな。因みに剣術も好きだったぞ」
「クリス様のお好みは、以前と変わりありませんか?」
「多分、ない気がする。嫌々やっていたわけじゃないんだよ、元々。ただ、女性になってしまうのは……身体の問題はさ、どうしようもないからそこに悩んでいたな」
「やはりそうでしたか」
初潮を迎えられたクリス様は、全くの少年、というよりは、少女らしさも少し持ち合わせておいでです。
おそらく『そろそろ限界があったのは』と、クリス様ご自身も感じていたのでしょう。
ドレスを着れば、それはそれは美しい少女にあらせることと思います。
旦那様から調度品や服装の総入れ替えを勧められても、ぎょっとされてすぐさま断っておいででしたが。
「淑女教育は……全くしないというわけには」
「だよな」
「語学や経済学、剣術についても今まで通りをお望みだということを旦那様にお伝えいたします。その上で、最低限必要なものについては追加で学ぶ、と」
「たすかるよ、レヴ」
「そうすると……そうですね、今まで隠しておいででしたが、本来の自分はこうだ、ということを告げてお過ごしになっては?
今までは奥様の目があったので、私との時だけ地を出していた…とすれば、今のクリス様で皆納得されるかと」
「なるほど、それはいいな!さっすが頼りになるわ、これからもよろしくな」
そういって満面の笑みを浮かべるクリス様は、私が見る初めての表情でした。
これからのご成長を、ますます楽しみに思ったものです。
ですが、クリス様が全く消えたわけではなく、きちんと今までの記憶も残っておいでのようです。
そのあたりは、人によりけりのようですが、とにかく今のクリス様には、クリス様でない別の人格が合わさり、その性格部分においては彼を多く引き継いでいるというのです。
以前のクリス様には少し神経質な部分がおありでしたが、今のクリス様にはそれが見られないあたり、彼の言うことは正しいのでしょう。
そして、さらに驚くことには、転生のその記憶によりますと、『ゲーム』と呼ばれる物語に、同じ登場人物が存在すると言うのです。
「ゲームって言うのはさ、なんて言ったらいいか……小説の主人公が恋人にしたいお相手によって物語が変わるような感じで、それを読み手が自由に選べるんだ」
「相手を好きに選べるのですか?」
「そ。それで、途中途中にイベントが発生して、その選択によっても結末も変わる……っていうような感じかな」
「………」
少しわかり難く私が黙ると、クリス様が慌てて口を開かれます。
「流行っててさ、そのゲーム。凄いはまってたわけとかじゃなくて……気になった子がそのゲームが好きでさ、すすめられてちょっと気晴らしでやってたっていうか!」
「そこが引っ掛かったわけでは」
恋愛小説は女性が好むものですが、そこに引っ掛かったわけではありません。
物語の話の流れや最後までもが複数あることに理解が難しかっただけです。
「それで、えーと、フィオリーナ姉上が主人公でさ───」
「は?」
「や、だからさ、そのゲームの中ではフィオリーナ姉上が主人公なんだよ。で、王太子、王弟殿下、宰相の息子、騎士団長の息子、とそれぞれ相手がいて」
「……現在辺境伯のご夫人ですが、確かに騎士団長のご子息と婚約をされた後、破棄となられてますね」
「まーうん、でもさ、登場人物が一緒ではあるんだけれど、その真相っていえばいいのかな?そこはやっぱり現実と違うことも多くて」
クリス様のお話によると、ゲームでバッドエンド、つまるところフィオリーナ様が婚約破棄となられてしまうと幸せになれない道を辿るらしいのですが、
実際は、好きなお相手と結ばれて、現在はお幸せに暮らしていらっしゃいます。
「それにさ、クリスはモブ中のモブ。ゲームん中じゃ15で死んでるんだよな、しょっぱなで」
「はい?!」
「や、だから、もう、全然変わっちゃってるって言うか、違うことの方が多いし。レヴはそのゲームには出てきてもいないし。
ってなると、実際の出来事の記憶は、元々のクリスが持っていた記憶の方が正しい上に鮮明なんだよ。性格は転生よりになっちゃったけど」
「なるほど。では、ゲームのその知識があったとしても、実際とは違うことも多く、未来については分からない、ということですね」
未来がわかるのであれば、良くも悪くも今後の行動に慎重にならざるをえないと思いましたが、
ゲームの中では、そもそもクリス様自身が生きていらっしゃらないとのこと。
ならば、クリス様の思うように動かれて、傍でお支えすれば何にも問題ないでしょう。
「そうそう、そんな感じ───ってわけで、多分、毒を盛られる前のクリスより色々適当になりそうだ。外ではちゃんとするけどさ」
「わかりました。後で辻褄を合わせましょう。その、つかぬことを伺いますが」
「ん?」
以前のクリス様は、男性として育てられていたとはいえ、心も身体も女性でした。
ですが、中身が男性の部分を多く引きずっていらっしゃる今、恋愛対象はどちらなのでしょうか?
「以前のクリス様は恋愛対象は男性でしたが、それは今もお変わりありませんか?」
「ん?ああ、うん……変わらない、な。うん、変わらない。女の子はそりゃ可愛いなとは思うかもしれないけど、欲情はしない。安心しろ」
「そうですか」
ちょっと考えたそぶりを見せたクリス様でいらっしゃいましたが、恋愛対象は男性の様です。
つい、ほっとしてしまいました。
いえ、もし、万が一、女性が対象となってしまわれたら、それはそれで受け入れる覚悟ではありましたが。
「んー……しっかし、どうするかな。今更淑女教育を始めるとか無理そうだ」
「語学や経営学は、元々好まれていましたが」
「あー、うん。今も好きだな。因みに剣術も好きだったぞ」
「クリス様のお好みは、以前と変わりありませんか?」
「多分、ない気がする。嫌々やっていたわけじゃないんだよ、元々。ただ、女性になってしまうのは……身体の問題はさ、どうしようもないからそこに悩んでいたな」
「やはりそうでしたか」
初潮を迎えられたクリス様は、全くの少年、というよりは、少女らしさも少し持ち合わせておいでです。
おそらく『そろそろ限界があったのは』と、クリス様ご自身も感じていたのでしょう。
ドレスを着れば、それはそれは美しい少女にあらせることと思います。
旦那様から調度品や服装の総入れ替えを勧められても、ぎょっとされてすぐさま断っておいででしたが。
「淑女教育は……全くしないというわけには」
「だよな」
「語学や経済学、剣術についても今まで通りをお望みだということを旦那様にお伝えいたします。その上で、最低限必要なものについては追加で学ぶ、と」
「たすかるよ、レヴ」
「そうすると……そうですね、今まで隠しておいででしたが、本来の自分はこうだ、ということを告げてお過ごしになっては?
今までは奥様の目があったので、私との時だけ地を出していた…とすれば、今のクリス様で皆納得されるかと」
「なるほど、それはいいな!さっすが頼りになるわ、これからもよろしくな」
そういって満面の笑みを浮かべるクリス様は、私が見る初めての表情でした。
これからのご成長を、ますます楽しみに思ったものです。
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