絶体絶命ルビー・クールの逆襲<革命編>

蛇崩 通

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<第一章 第3話>

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 <第一章 第3話>
 リボルバーの銃身を、渾身こんしんの力を込めて左方向に押した。銃口を自分から、そらすためだ。
 その次の瞬間、右の拳で、リボルバーを持つ相手の右手首を殴った。
 ギャッと男は小さく悲鳴をあげた。右手首から、鮮血がほとばしった。
 ルビー・クールの右拳の人差し指と中指の間から、長さ五センチの釘が突き出ていた。しかもその釘の先端は、針のように鋭く加工されていた。
 リボルバーを奪おうとしたが、男は拳銃を放さない。
 「痛えだろ! このビッチ!」
 男は左拳を振り上げた。ルビー・クールの顔面を殴りつけるために。
 だが男の拳よりも早く、ルビー・クールは右の拳を相手ののどに叩き込んだ。
 男がうめいた。だが、頸動脈けいどうみゃくは外れた。血はあふれ出てきたが、致命傷ではない。
 もう一度、釘が突き出た右拳を叩き込んだ。
 鮮血が、首から吹き出した。噴水のように。頸動脈に命中したのだ。
 男が、両膝を床についた。
 だが左手で、ルビー・クールの右手首をつかもうとしてきた。それを避けようと右手をいったん下げたあと、相手の左手を回避して、もう一度、首を右拳で殴った。
 また、頸動脈を外した。
 さらにもう一度、右拳を叩き込んだ。
 鮮血がほとばしった。今度は命中だ。
 出血量が増えたため、男の拳銃を握る力が弱まった。左手で握った銃身を強く引っ張ると、男は拳銃を離した。
 男は白目をむき、後方に倒れた。大量出血で、失神したのだ。止血しなければ、出血多量で死ぬだろう。
 「女にやられるなんて、情けねえ」
 覆面男の一人が、吐き捨てた。
 ルビー・クールは釘を捨て、両手でリボルバーを構えた。拳銃を持つもう一人の男に銃口を向け、引き金を引いた。
 だが、銃声は響かなかった。弾丸は、発射されなかった。
 不発か?
 もう一度、引き金を引いた。弾丸は、発射されない。
 さらにもう一度、引き金を引いた。今度も、弾丸は発射されなかった。
 回転弾倉は回転している。三発続けて不発ということは、ありえない。最初から、弾丸が入っていないのだ。
 もう一人の拳銃男が、声をあげて笑った。笑いながら、自分のふところにリボルバーをしまうと、腰の後ろに右手を伸ばした。
 大型ナイフが現れた。
 拳銃は、脅すために持っていたのだ。弾丸を入れていないのは、誤って発砲してしまうと、銃声を聞いた近所の屋敷の住人が、電話で警察に通報するからだ。このあたりは高級住宅街のため、多くの屋敷には電話がある。警察のほうも、高級住宅街からの通報ならば、すっ飛んでくる。
 「笑ってないで、さっさと始末しろ」
 強盗団のボスが、命じた。
 男が、襲いかかってきた。
 一歩後退しながら、リボルバーの銃身で、振り下ろされたナイフの刃を、跳ね返そうとした。
 きゃあ、と思わず悲鳴をあげてしまった。その男の腕力が強すぎて、銃身でナイフを跳ね返すどころか、逆に自分の腕が押し返されてしまったからだ。
 女の悲鳴を聞いて楽しくなったのか、男は声をあげて笑いながら、大型ナイフを振るってきた。二度、三度、と。
 そのたびにルビー・クールは、一歩ずつ後退しながら、数センチの差でかわした。
 男は、次々とナイフを振るい、前進した。ルビー・クールは、かわしながら後退し続けた。
 男が、前進を止めた。
 「もうそれ以上、下がれないぜ」
 覆面をしているため、男の表情はわからない。だが、口調は楽しそうだ。
 「這いつくばって、命乞いをしてみろよ。あなた様の女にしてくださいって、懇願してみろ。助けてやるかもしれないぜ」
 絶対に、嘘だ。犯してから殺すか、犯さずにすぐに殺すか。そのどちらかしか、ありえない。
 怒りが、湧き上がってきた。
 「なに遊んでるんだ! さっさと殺せ!」
 強盗団のボスが、怒鳴りつけた。
 「今、やりますよ」
 ボスを見ずにそう答えたあと、男は大型ナイフを振り上げた。
 「遊びの時間は、もう終わりだぜ」
 「あなたの遊びの時間はね」
 ルビー・クールは男をにらみながら、冷ややかに言い放った。
 「ここからは、あたしの逆襲の時間よ」
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