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第6話 トリケラトプス軍団が突撃してきた

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  第6話 トリケラトプス軍団が突撃してきた
 まだ、百数十秒の時間がある。
 その間に、武器を手に入れなければ。
 打製石器を右手に持ち、ドラゴンの牙の根元に打ちつけた。ドラゴンの牙は、三十センチメートルはある。鋭くて、とても固そうだ。
 これは、武器として使える。本能的に、そう思った。
 強く、打ちつけた。打製石器を。牙の根元に。
 だが、折れない。
 左手で牙の先端をつかんで引き寄せながら、右手の打製石器を打ちつけた。牙の根元に。
 何度も、何度も。
 だが、折れない。ヒビも入らない。
 打ち方を、変えた。
 右逆突きと同じフォームで、下半身の筋力を使いながら、体重を乗せて打ち込んだ。右手の打製石器を。
 二度、三度、四度。
 もう、時間がない。
 五度目、六度目。
 びくともしない。
 あきらめるか?
 だが、もう少しなら、時間がある。
 数十秒ほど。
 七度目、八度目。打ち込んだ。打製石器の右逆突きを。
 ヒビが、入った。九度目で。ドラゴンの牙の根元に。
 もう少しだ。
 十度目、十一度目。
 折れた。ドラゴンの牙が。根元から。
 振り返った。
 迫っていた。目の前に。
 トリケラトプスの群れが。
 数十頭は、いそうだ。
 多くは、三メートル級だが、五メートル以上ある個体も何匹かいる。
 突進してきた。ものすごい勢いで。
 逃げ出してきたのだ。三十メートル級の超巨大ティラノサウルスから。
 トリケラトプスは、三メートル級の個体でも、体重は二トンか三トンはありそうだ。
 衝突されたら、ひとたまりもない。大型ダンプカーの衝突と同じだろう。
 思わず、身構えた。
 駆け抜けた。トリケラトプスの群れが。巨木と、炎の結界の真横を。
 炎の結界の直前で、左右に分かれて。
 ホッとした。ひとまず、だが。
 すぐに、気を引き締めた。
 迫っていた。超巨大ティラノサウルスが。
 ここへ到達するまでの時間は、三十秒あるかないか。
 炎の結界を出て、巨木の裏側に戻った。
 二メートルほどの枯れ木を拾い、槍を作ることにした。
 もちろん穂先は、ドラゴンの牙だ。
 枯れ枝の先端を打製石器で二つに割り、ドラゴンの牙の根元を挟んだ。
 巨木の幹には、多くのツタが絡んでいた。太いツタが多かったが、細いツタもある。
 打製石器で細いツタを切り取った。そのツタで、槍の穂先の根元を、きつく縛った。何重にも。
 これで、槍の完成だ。
 とは言え、横方向に振り回すと、穂先が外れてしまう可能性が高い。
 真っ直ぐに突く場合にのみ、有効な槍だ。
 だが、それでかまわない。
 この槍を、ドラゴン牙槍がそうと名付けた。
 武器は、できた。
 チャンスは、一度きり。
 その一度に、すべてを賭ける。
 おもしろいじゃないか。
 掛け金は、オレの命。
 報酬は、超巨大ティラノサウルスのしかばね
 巨木の裏から、顔を半分出した。
 迫ってきた。超巨大ティラノサウルスが。
 様子をうかがいながら、待った。数秒間か、十数秒間。
 到達した。超巨大ティラノサウルスが。ドラゴンの死骸の近くに。
 咆哮ほうこうした。足を止めて、超巨大ティラノサウルスが。大地を揺るがすほどに。
 ニヤリと、笑った。無理矢理に。
 さあ、始めようか。超巨大ティラノサウルス狩りを。
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