異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。

蛇崩 通

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第八話 アース・ドラゴン軍団と戦ってみた

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  第八話 アース・ドラゴン軍団と戦ってみた
 次々に、襲ってきた。左右から。アース・ドラゴンが。五月雨さみだれ式に。
 だが、アース・ドラゴンの動きは、緩慢だった。人間が走る速度よりも、遅い速度で走ってきた。
 騎士団の将兵を十名ほど喰ったせいだ。
 アース・ドラゴンは、どの場所でも、一匹で騎士団の十人隊を全員喰ったようだ。
 さらに、二組と三組の生徒たちの半分近くを喰ったようだ。
 二組と三組は、魔法の実力が高い。
 一組の生徒のほとんどは、教師に相場通り、もしくは相場以上の賄賂を渡し、成績を水増ししている。
 一方、二組や三組の生徒の半分は、家があまり裕福ではないため、教師に賄賂を渡していないとされる。そのため、二組と三組の生徒の約半分は、本当に魔法力がある生徒たちだ。
 彼女たちの多くは、テニスボール大のファイアー・ボールをアース・ドラゴンにぶつけて、生きのびたようだ。アース・ドラゴンが、ファイアー・ボールを顔面にぶつけられて、前進を躊躇ちゅうちょした瞬間に、走り出して逃げ出したようだ。
 右側と左側、どちらが近いか。アース・ドラゴンの距離は。
 風魔法も水魔法も、射程距離がある。
 特に今は、頭上に大きな水球を保持している。空中に。
 この水球は、たぶん走ると落下する。
 急ぎ足でも落下する可能性がある。
 ゆっくりと右手に向かって移動した。右手側のアース・ドラゴンのほうが、距離を詰めていたからだ。
 頭上の水球の高度を、上げた。さらに一メートルほど。
 逃げてくる女生徒たちを、射線から、はずすために。
 二組の女生徒たちが、泣き叫びながらトッキロの脇を走りぬけた。
 「ウオーター・アロー」
 そう、つぶやいた。
 その瞬間、線状の高圧水が、矢のように飛んだ。長さは、半メートルほど。
 アース・ドラゴンの右目にあたった。
 その直後、そのアース・ドラゴンは潰れるように座り込み、動かなくなった。
 右目にあたった高圧水が脳に達し、脳細胞を破壊したのだ。
 脳細胞が再生するまでの時間は、数十秒間。
 左手を見た。
 アース・ドラゴンが、迫っていた。左側からも。
 右手側のアース・ドラゴンの首を切り落としている時間はない。
 左手に向かって、ゆっくりと歩を進めた。頭上の水球を落とさないように。
 「ウオーター・アロー」
 左手側のアース・ドラゴンも、高圧水の矢で脳を破壊した。
 右手側に戻った。
 脳が再生して、ふたたび立ち上がったアース・ドラゴンの首を、ウォーター・ソードで切り落とした。
 すぐに、左手側に戻った。左手側のアース・ドラゴンも、立ち上がった直後に首を切り落とした。
 その後、五月雨式に、次から次へと左右からアース・ドラゴンが襲いかかってきた。
 そのアース・ドラゴンを、次から次へと倒した。ウオーター・アローとウォーター・ソードで。
 十体全部倒したときには、頭上の水球は、直径半メートル以下に縮んでいた。
 ホッと一息ついて、残りの水球の水は、一部は飲んでのどを潤し、残りは顔や首の汗を流した。
 だいぶ魔力を消耗した。
 つかれて石畳に腰を下ろそうと思った瞬間だった。
 女生徒の一人が叫んだ。
 「大きな魔獣が動き出した!」
 外壁の外に視線を向けた。
 三十メートル級のアース・ドラゴンが、前進を始めていた。
 あの大きさを、どうやって倒せばいいのか。
 一瞬、めまいがした。
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