8 / 59
第七話 アース・ドラゴン軍団が襲ってきた
しおりを挟む
第七話 アース・ドラゴン軍団が襲ってきた
右手側に跳んだ。アース・ドラゴンの角を避けるために。
同時に、右手を伸ばした。前方に。木製の杖と共に。
「伸びろ! エア・ソード!」
思わず、そう叫んだ。
刃渡り二メートルほどのエア・ソードが、一気に三メートルまで伸びた。
突き刺さった。
アース・ドラゴンの左目に。深々と。エア・ソードが。
もちろん風魔法で作ったエア・ソードは、人間の目には見えないが。
アース・ドラゴンの動きが止まった。
エア・ソードが脳に達したのだ。
頭蓋骨には、複数の穴がある。
たとえば、眼球の奥。視神経が通る穴だ。
それは、人間も動物も同じだ。
よって、アース・ドラゴンの場合も同様だと思った。
だから、目を狙った。
正解だったようだ。
脳を破壊しても、また再生するかもしれない。
そう思った。
そこで念のため、エア・ソードの切っ先を頭蓋骨の奥まで突き入れ、かき混ぜた。脳がグチャグチャになるように。
アース・ドラゴンは、そのまま動かなくなった。
どうやら、死んだようだ。
念のためだ。
首を切り落とそう。
集中して呪文を唱えた。小声で、ブツブツと。
一メートル前方の頭上に、水球が出現した。水魔法で水蒸気を集めたのだ。
城壁の外側には、満水の堀がある。
今は、真夏だ。
そのため城壁の屋上付近には、大量の水蒸気がある。
大きな水球を作るのは、難しくない。
本来は、魔法の発現に魔法詠唱は必要ない。
だが魔法の教科書を読んでいると、魔法詠唱が必須だと思い込んでしまう。
魔法詠唱は必要ないのだが、つぶやくことで、集中できる。
特に時間をかけて発現させるより大きな魔法の場合は。
集中力が乱れると、エーテルが乱れて魔法が発現しない、もしくは小さな魔法となってしまう。
十数秒、ブツブツと小声で魔法詠唱していると、頭上の水球が直径二メートルを超えた。
後方で、女生徒たちから驚きの声があがった。
「あんな大きなウオーターボールが……」
「トッキロ、魔法得意だったんだ……」
「賄賂で裏口入学したんじゃなかったの? あれだけの魔法が使えるなんて……」
おまえらと一緒にするなよ、と心の中でつぶやいた。
そのときだった。
アース・ドラゴンが、少し動いた。
立ち上がろうとした。
再生できるのだ。
脳みそがグチャグチャに破壊されても。
首を切り落とさなければ。
右側面へ移動した。頭上の水球と共に。
杖を振り下ろした。
「切り裂け! 魔法の水刀、ウォーター・ソード!」
糸のように細く圧縮した高圧水を振り下ろした。まるで、刀を振り下ろすように。
鮮血が、ほとばしった。
切り落とした。アース・ドラゴンの太い首を。
さらに念のため、縦に切り裂いた。心臓を切り裂くために。胴体の左寄りに。
そのまま数十秒待った。
心臓を切り裂かれたアース・ドラゴンは、再生しなかった。
ようやく、死んだようだ。
ホッとしたときだった。
女生徒たちが悲鳴をあげた。
左右から、十数名の女生徒たちが逃げてきた。悲鳴をあげながら。
二組と三組の女生徒たちだ。
彼女たちを追いかけてきた。
複数のアース・ドラゴンが。
一匹でもやっかいなのに、複数を相手にしなければならないのか。
そう思うと、一瞬、頭がクラッとした。
右手側に跳んだ。アース・ドラゴンの角を避けるために。
同時に、右手を伸ばした。前方に。木製の杖と共に。
「伸びろ! エア・ソード!」
思わず、そう叫んだ。
刃渡り二メートルほどのエア・ソードが、一気に三メートルまで伸びた。
突き刺さった。
アース・ドラゴンの左目に。深々と。エア・ソードが。
もちろん風魔法で作ったエア・ソードは、人間の目には見えないが。
アース・ドラゴンの動きが止まった。
エア・ソードが脳に達したのだ。
頭蓋骨には、複数の穴がある。
たとえば、眼球の奥。視神経が通る穴だ。
それは、人間も動物も同じだ。
よって、アース・ドラゴンの場合も同様だと思った。
だから、目を狙った。
正解だったようだ。
脳を破壊しても、また再生するかもしれない。
そう思った。
そこで念のため、エア・ソードの切っ先を頭蓋骨の奥まで突き入れ、かき混ぜた。脳がグチャグチャになるように。
アース・ドラゴンは、そのまま動かなくなった。
どうやら、死んだようだ。
念のためだ。
首を切り落とそう。
集中して呪文を唱えた。小声で、ブツブツと。
一メートル前方の頭上に、水球が出現した。水魔法で水蒸気を集めたのだ。
城壁の外側には、満水の堀がある。
今は、真夏だ。
そのため城壁の屋上付近には、大量の水蒸気がある。
大きな水球を作るのは、難しくない。
本来は、魔法の発現に魔法詠唱は必要ない。
だが魔法の教科書を読んでいると、魔法詠唱が必須だと思い込んでしまう。
魔法詠唱は必要ないのだが、つぶやくことで、集中できる。
特に時間をかけて発現させるより大きな魔法の場合は。
集中力が乱れると、エーテルが乱れて魔法が発現しない、もしくは小さな魔法となってしまう。
十数秒、ブツブツと小声で魔法詠唱していると、頭上の水球が直径二メートルを超えた。
後方で、女生徒たちから驚きの声があがった。
「あんな大きなウオーターボールが……」
「トッキロ、魔法得意だったんだ……」
「賄賂で裏口入学したんじゃなかったの? あれだけの魔法が使えるなんて……」
おまえらと一緒にするなよ、と心の中でつぶやいた。
そのときだった。
アース・ドラゴンが、少し動いた。
立ち上がろうとした。
再生できるのだ。
脳みそがグチャグチャに破壊されても。
首を切り落とさなければ。
右側面へ移動した。頭上の水球と共に。
杖を振り下ろした。
「切り裂け! 魔法の水刀、ウォーター・ソード!」
糸のように細く圧縮した高圧水を振り下ろした。まるで、刀を振り下ろすように。
鮮血が、ほとばしった。
切り落とした。アース・ドラゴンの太い首を。
さらに念のため、縦に切り裂いた。心臓を切り裂くために。胴体の左寄りに。
そのまま数十秒待った。
心臓を切り裂かれたアース・ドラゴンは、再生しなかった。
ようやく、死んだようだ。
ホッとしたときだった。
女生徒たちが悲鳴をあげた。
左右から、十数名の女生徒たちが逃げてきた。悲鳴をあげながら。
二組と三組の女生徒たちだ。
彼女たちを追いかけてきた。
複数のアース・ドラゴンが。
一匹でもやっかいなのに、複数を相手にしなければならないのか。
そう思うと、一瞬、頭がクラッとした。
44
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
じいちゃんが昔作ってくれた刀を異世界に持って行ったら、聖剣の五倍の威力がありました。現実世界ではダメ人間でしたが、異世界では本気出します。
彼方
ファンタジー
三十歳、無職の俺、影山絢斗は、深夜にコンビニに向かったところ、交通事故で死亡した。しかし、天上世界で神と邂逅し、取引をした結果、異世界に飛ばされることになった。条件を満たせば、命をよみがえらせてくれるらしい。あまり生き返ることに興味はなかったが、一度は死んだ命だと思い、とりあえず異世界を楽しんでみることにした。お守り代わりに持ってきた、今は亡きじいちゃん作の木刀を振ってみたところ、すごい技が飛び出した。武器屋の店主に見せたら世界最強とされる聖剣の五倍の威力があることがわかった。俺は今度こそじいちゃんが期待してくれていたような人間になることを決め、努力を開始する。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる