異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。

蛇崩 通

文字の大きさ
37 / 71

第3章第九話 人間の攻勢

しおりを挟む
  第3章第九話 人間の攻勢
 えるように、さけんだ。女デーモン・ゼネラルが。
 「こしゃくな人間めが!」
 次々に投げつけた。トッキロが。五ブロンズ青銅貨を。
 たたき落とした。左右の手で。女デーモン・ゼネラルが。五ブロンズ青銅貨を。次々に。
 だが、三個目の青銅貨が貫通した。女デーモン・ゼネラルの脇腹を。
 絶叫した。炎龍王女が。青銅貨が腹に、めり込んで。
 ちょうど、両腕に突き刺さった青銅貨二枚を、取り除いて捨てた直後だった。
 そのため、両腕のガードが緩んでいたのだ。
 女デーモン・ゼネラルは、両腕で胸と腹をガードする戦略に転じた。
 腕の骨で、青銅貨を止めるつもりなのだ。
 トッキロが、投げつけた。青銅貨二枚を。
 絶叫した。女デーモン・ゼネラルが。
 二枚の青銅貨が、めり込んだ。女デーモン・ゼネラルの左右の足の太ももに。やや内側、人間ならば、太い動脈がある部分に。
 貫通しなかった。二枚の青銅貨は。女デーモン・ゼネラルの太ももの中に、留まった。
 もちろん、わざと貫通させなかった。
 よろめいた。女デーモン・ゼネラルが。
 ふらふらと二、三歩後退したあと、片膝をついた。
 うまくいったのなら、止まったかもしれない。両足の太い動脈の血流が。
 トッキロは、持ち合わせの五ブロンズ青銅貨を、すべて使い尽くした。
 杖の先に、ふたたびエア・ソードを出現させた。
 そのときだった。
 炎姫が叫んだ。
 「今がチャンスだ! 全軍、突撃用意!」
 雷姫も叫んだ。
 「第六から第十の十人隊は、あたしに続け! 右翼側の女魔族へ攻撃だ!」
 続けて叫んだ。炎姫が。
 「第一から第五の十人隊は、左翼側の女デーモン・チーフだ! 包囲殲滅せよ!」
 先ほどから炎姫は、小声で雷姫に指示を出していた。部下や攻撃対象の割り振りだったようだ。
 女デーモン・チーフは、左手側の大角女魔族も、右手側の小角女魔族も、まだ立ち上がることができない。
 いや、立ち上がった。小角女魔族は。右手を心臓にあてながらも。
 前進した雷姫が、立ち止まった。小角女魔族から、十メートルほどの距離で。
 剣を上空に突き上げ、叫んだ。
 「十人隊! 第六は正面、第七は左側から、第八は右側からだ! 三方を包囲してから、同時攻撃だ!」
 兵士たちが、駆けつけた。雷姫の周囲に。集中豪雨によって、膝下まで溜まった雨水をかき分けて。
 砦の屋上の四隅には、雨水を排出する排水口がある。
 だが、その排水能力を上回る集中豪雨のため、兵士の膝下近くまで、雨水による水位が上昇したのだ。
 女魔族たちは手負いで、動きが鈍くなっている。
 人間の兵士たちも、膝下まで水に浸かっているため、移動が遅い。
 この分では、槍で攻撃する際の踏み込みも、遅いだろう。
 氷姫が、右翼側に視線を向けた。小角女魔族が、立ち上がった直後に。
 叫んだ。氷姫が。
 「連携だ! 雷姫!」
 「了解!」
 その直後、氷姫が叫んだ。
 「アイス・ブレード!」
 飛翔した。一メートルほどの氷のやいばが。
 切り裂いた。
 ザックリと。小角女魔族の右の太ももを。
 大量出血した。右の太ももから。
 右足の骨は、切断できなかった。アイス・ブレードでは。
 ガクリと、右膝を突いた。屋上に溜まった水の中に。小角女魔族が。
 大量出血は、すぐには止まらなかった。
 小角女魔族が、右手で傷口を押さえた。少しでも、出血量を抑えるために。
 やはり、思った通りだ。
 心臓に刺さった青銅貨が、心臓が送り出す血液量を減少させたのだ。
 雷姫が命じた。兵士たちに。
 「攻撃開始!」
 駆け出した兵士たちが包囲し、槍で突いた。ほぼ同時に。片膝をついた小角女魔族を。何度も何度も。
 両腕を振り回した。小角女魔族が。
 鋭い鉤爪で、兵士を攻撃するためだ。
 だが、あたらない。兵士の身体には。槍のほうが、リーチが長いためだ。
 左手側でも、大角魔族女を包囲した。五十名の兵士が。
 槍で、突き始めた。兵士たちが、大角魔族女を。
 大角魔族女は、切り落とされた片腕を装着して以降、立ち上がれない。
 全身に、回ったからだ。切断した片腕に注入した毒が。
 トッキロが、女デーモン・チーフに向かって前進した。
 氷姫が、叫んだ。右ななめ後方から。
 「連携だ、トッキロ!」
 「わかりました。アイス・ブレードの直後、斬りかかります」
 吐き捨てた。女デーモン・チーフが。
 「飛んでくる氷の刃など、よければ良いだけだ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない

仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。 トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。 しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。 先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

処理中です...