異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。

蛇崩 通

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第4章第十八話 魔族の追撃

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  第4章第十八話 魔族の追撃
 民間人が、ごった返していた。脱出口に設定した地点では。だいぶ手前から。
 人混みをかき分けて、前進した。
 突然、視界が広く開かれた。
 十数メートル前方に、アース・ドラゴンの尻尾が並んでいた。
 アース・ドラゴンは、一列横隊で整列している。頭部を、魔族の野営陣地の外側に向けて。
 そのため、野営陣地の内側から見ると、尻尾が並んでいるように見える。
 倒れている男に、回復魔法をかけていた。首席姫が。
 「トッキロ!」
 サソリ姫が、声をかけてきた。その声には、安堵と、わずかばかりの歓喜の声音が含まれていた。
 「状況説明を」
 首席姫が、答えた。
 「突然、そっちのドラゴンが、尻尾を振って張り飛ばしたのよ。この男が、脇を通ろうと接近したときに」
 トッキロが、尋ねた。首席姫に。
 「人質は、どのくらい脱出できましたか?」
 「まだ、二百名足らずよ」
 矢継ぎ早に、さらに尋ねた。
 「目を覚ましたのは、一匹だけですか?」
 「ええ、そうよ」
 口をはさんだ。サソリ姫が。
 「毒の効果が切れてきたのだから、もう一匹も尻尾で攻撃するよ。脇を通ろうとしたら」
 左手首の内側を見た。黒いバンドの腕時計だ。針は夜光だ。
 毒を撃ち込み、脳をエア・ソードで破壊してから、まだ十数分しか経っていない。
 人質たちは残り約八百名。
 人質たちの前進がスムーズに進めば、あと十数分あれば、全員脱出できる。
 アース・ドラゴンとアース・ドラゴンの間は、約五メートルだ。
 アース・ドラゴンの大きさは、十メートル級だ。
 民間人の人質が横一列に五名並んで通過した場合、一分間で百名脱出できれば、八分間で全員脱出できる。
 だが、一分間で五十名しか脱出できない場合、十六分間かかる。
 ギリギリだ。
 しかし、他の選択肢は、ない。
 サソリ姫から、提供してもらった。とっておいた最も強力なサソリ毒を。
 小声で魔法詠唱して、水球を出現してから。
 毒入りの水の矢を、二匹のアース・ドラゴンの腰付近に撃ち込んだ。太ももの大動脈のあたりだ。
 その直後、アース・ドラゴンの背中に跳び乗り、駆け出した。
 頭部の手前で立ち止まると、エア・ソードを眼球から突き入れて、頭蓋骨内の脳みそを破壊した。グチャグチャに。
 すぐさま、飛び降りて、隣のアース・ドラゴンの脳も破壊した。
 アース・ドラゴンの再生能力は、驚異的だ。脳を破壊されても、十数分で再生してしまうのだから。
 しかも、身体に毒が回っている状態で。
 すぐに、アース・ドラゴンの後方に戻った。
 首席姫に声をかけた。
 「これで、あと十数分は安全に通過できます。早く、人質たちの脱出を」
 トッキロは、北へ向かおうとした。
 そのときだった。
 声をかけてきた。サソリ姫が。
 「なぜ、戻るんだい?」
 「北側から、盾を持った魔族五十名が、接近しているからです。氷姫様たちを支援します」
 「しかたねえなあ」
 そう言って、ニヤリと笑った。サソリ姫が。
 「あたしも、つきあってやるよ。毒が、必要だろ」
 「助かります」
 全速力で走った。トッキロは、北に向かって。
 そのななめ後方を、サソリ姫も、ついてきた。トッキロとの距離は、だいぶ引き離されたが。
 すぐに、到着した。トッキロは。北側の最前線に。
 氷姫たちは横一列横隊で、対峙していた。盾を持った魔族の集団と。
 魔族の集団は、氷姫たちから四十メートル以上は離れていた。
 警戒しているのだ。トッキロのウオーター・カッターを。
 月明かりしかないため、数十メートル先に、黒髪の男がいるかどうかまでは、確認できない。
 そのため、トッキロが、兵士たちの列の後方にいると思い込んでいるようだ。
 鉄龍将軍が、魔族語で号令をかけた。
 魔族の集団が、いっせいにファイアー・ボールを放ってきた。
 その火球は、どれも、テニスボールくらいの大きさだった。
 だが、スピードが速い。十メートルを過ぎても速度が落ちない。
 核の密度が高く、重量があるのだ。
 まずい。これは。
 全部、こちらに届く。四十メートル以上離れていても。
 魔族たちが放った火球の数は、数十個だ。
 防ぎきれない。
 あたってしまう。
 火球の多くは、リリーシア王女に向かっている。
 どうする?
 どうすればいい?
 そのときだった。
 叫んだ。リリーシア王女が王女が。鬼のような形相で。
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