2 / 16
第一章 通学路はバトル・フィールド<第1話 刺客が殺しに来た>
しおりを挟む
<第一章 第1話 刺客が殺しに来た>
ミコが、サトルの手をつかんだ。
「早く行きましょう。敵が襲ってくる前に」
強引に手を引いて、坂道を登り始めた。
「敵って、誰?」
「世界中よ」
「それって、どういうこと?」
「あとで説明するわ。もう、時間がないから」
「時間がないって……」
そのときだった。
ミコが叫んだ。声を抑えながら。
「来たわ」
「誰が?」
「刺客よ。後方、六時の方角」
振り返った。
通学中の学生ばかりだ。
その瞬間だった。
振動した。周囲の空間が。一瞬だけ。
空気の振動ではない。
非物理現象だ。
悲鳴が聞こえた。坂道の下のほうだ。
たくさんの学生たちに遮られて、何が起きているのかは見えない。
「早く行きましょう」
ミコが、手を引っ張った。
少女たちの悲鳴が聞こえる。少年たちの怒鳴り声も。
何が、起きているのか。
「誰かが、襲われているのでは?」
思わず、そう口にした。
「関係ないわ。あたしたちには」
「助けなきゃ」
ミコが、サトルの顔を見た。
真剣な眼差しだ。
「もう、世界中が敵なのよ。あなたを守るのは、あたしだけ。あたしを守るのも、あなただけ。あなたは、あたしを守る最後のモノノフなのよ」
モノノフ?
武士のこと?
それとも、戦う人、くらいの意味だろうか。
「あたしは、物理的な戦闘力はゼロよ。だから、物理的な攻撃から、あたしを守って。霊的な攻撃からは、あたしが、あなたを守るから」
霊的?
なんの話なのか。
少女たちの悲鳴が、大きくなった。
立ち止まっている間に。
「もう来たわ。最初の刺客が」
少年たちと少女たちが、波がひくように左右に分かれた。
一人の少年が、現れた。
髪を金髪に染めた不良少年だ。
バタフライ・ナイフを手にしている。
尋常では、なかった。彼の目は。
それに、身体の動かしかたも。
ぎこちない感じだ。真っ直ぐに、歩けないようだ。
まるで、違法薬物でも、やっているかのようだ。
耳もとで、ささやいた。ミコが。
「最初の刺客は、人形使いのようね」
「人形使い?」
「半径五十メートル以内の人間の意識を奪い、人形のように操ることのできる刺客よ」
なんだよ、それ!
思わず、心の中で叫んだ。表情には、出さないようにしたが。
「なるべく、殺さないでね。殺すと、殺人犯として、警察に追われるわ」
思わず、つぶやいた。
「難しいこと言うね」
「サトルなら、できるでしょ」
ミコのその口調には、自信があふれていた。
その自信、どこから来るんだよ。
サトルは、そう思った。
まるで、サトルのことを詳しく知っているような口ぶりだ。
初めて会ったばかりなのに。
目があった。ナイフを持った不良少年と。
彼の目は、正気を失っていたが。
殺しに来る。ナイフで。
そう、思った。
思わず、身構えた。
ミコが、サトルの手をつかんだ。
「早く行きましょう。敵が襲ってくる前に」
強引に手を引いて、坂道を登り始めた。
「敵って、誰?」
「世界中よ」
「それって、どういうこと?」
「あとで説明するわ。もう、時間がないから」
「時間がないって……」
そのときだった。
ミコが叫んだ。声を抑えながら。
「来たわ」
「誰が?」
「刺客よ。後方、六時の方角」
振り返った。
通学中の学生ばかりだ。
その瞬間だった。
振動した。周囲の空間が。一瞬だけ。
空気の振動ではない。
非物理現象だ。
悲鳴が聞こえた。坂道の下のほうだ。
たくさんの学生たちに遮られて、何が起きているのかは見えない。
「早く行きましょう」
ミコが、手を引っ張った。
少女たちの悲鳴が聞こえる。少年たちの怒鳴り声も。
何が、起きているのか。
「誰かが、襲われているのでは?」
思わず、そう口にした。
「関係ないわ。あたしたちには」
「助けなきゃ」
ミコが、サトルの顔を見た。
真剣な眼差しだ。
「もう、世界中が敵なのよ。あなたを守るのは、あたしだけ。あたしを守るのも、あなただけ。あなたは、あたしを守る最後のモノノフなのよ」
モノノフ?
武士のこと?
それとも、戦う人、くらいの意味だろうか。
「あたしは、物理的な戦闘力はゼロよ。だから、物理的な攻撃から、あたしを守って。霊的な攻撃からは、あたしが、あなたを守るから」
霊的?
なんの話なのか。
少女たちの悲鳴が、大きくなった。
立ち止まっている間に。
「もう来たわ。最初の刺客が」
少年たちと少女たちが、波がひくように左右に分かれた。
一人の少年が、現れた。
髪を金髪に染めた不良少年だ。
バタフライ・ナイフを手にしている。
尋常では、なかった。彼の目は。
それに、身体の動かしかたも。
ぎこちない感じだ。真っ直ぐに、歩けないようだ。
まるで、違法薬物でも、やっているかのようだ。
耳もとで、ささやいた。ミコが。
「最初の刺客は、人形使いのようね」
「人形使い?」
「半径五十メートル以内の人間の意識を奪い、人形のように操ることのできる刺客よ」
なんだよ、それ!
思わず、心の中で叫んだ。表情には、出さないようにしたが。
「なるべく、殺さないでね。殺すと、殺人犯として、警察に追われるわ」
思わず、つぶやいた。
「難しいこと言うね」
「サトルなら、できるでしょ」
ミコのその口調には、自信があふれていた。
その自信、どこから来るんだよ。
サトルは、そう思った。
まるで、サトルのことを詳しく知っているような口ぶりだ。
初めて会ったばかりなのに。
目があった。ナイフを持った不良少年と。
彼の目は、正気を失っていたが。
殺しに来る。ナイフで。
そう、思った。
思わず、身構えた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる