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<第一章 第7話 まるで千手観音>
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<第一章 第7話 まるで千手観音>
左右の拳を、同時に繰り出した。前方の敵に。
三回連続で。ミコの背後から、彼女の頭越しに。
いや、正確には、正拳ではない。
中高一本拳だ。
中高一本拳は、中指の第二関節を突き出して拳を握り込む。その第二関節で、みぞおちなどの人体の急所を打つ。相手にあたる面積が正拳よりも小さいため、正拳よりも強力な威力を発揮する。
今回は素早く連続で打つため、一撃一撃に体重を乗せることができない。
そこで、正拳ではなく、中高一本拳を選んだ。
サトルの中高一本拳は、正確に、相手のアゴを撃ち抜いた。
瞬く間だった。失神し、崩れ落ちた。六名のセミ・リモートの少年たちが。
正面右、正面左、右ななめ前、左ななめ前、左側と右側の六名だ。
次の瞬間、一歩後退しながら、左右の手刀を打ち込んだ。頸動脈に。左右同時に。内側から外側へと。右ななめ後方と、左ななめ後方から迫ったセミ・リモートの少年たちに。
その二名も、失神して崩れ落ちた。
その直後、ふたたび中高一本拳を打ち込んだ。左右同時に。ミコに迫った正面の敵二名のアゴに。
計十名のセミ・リモートの少年が、失神した。
後方から襲いかかってきたオートの少年たちも、八名失神していた。左右の肘をアゴに打ち込まれて。
肘を打ち込んだのは、正面の敵に中高一本拳を打ち込んだ直後だ。拳を引いた力で、肘を打ち込んだのだ。
サトルとミコの周囲には、合計十八名の少年が失神し倒れていた。
わずか、五秒の間の出来事だ。
ミコが、つぶやいた。感嘆して。
「まるで、千手観音のよう」
後方から、オートの少年たちが襲ってきた。まだ、二十名ほどいる。
振り返りながら、右横蹴りを連続で繰り出した。
三名蹴り倒すと、右足を着地させ、時計回りに回転し、今度は左横蹴りで三名蹴り倒した。
その後方にいたオートの少年たちは、倒れた少年たちの身体につまづき、転倒し始めた。
「今のうちよ。行きましょう」
ミコが駆け出した。サトルの手をつかんで。
一気に駆け抜けた。真っ直ぐに続く脇道を。コンクリート製の鳥居まで。
コンクリート製の鳥居の先は、急勾配の石の階段だ。
石段を三歩ほど登ってから、サトルが足を止めた。
「登りましょう」
ミコがそう言いながら、サトルの手を引っ張った。
「ここは結界内でしょ」
「違うわ。結界があるのは、内側の鳥居よ」
「内側って、石段の上の鳥居?」
「そうよ。この外側の鳥居は、関東大震災後に、再建されたもの。コンクリート製だから、霊力は込められてないのよ」
サトルは、石段を見上げた。
ミコの体力で、登れるだろうか。そう思った。
「この石段、三百三十三段あるよ」
「ええ、知ってるわ」
「途中から、さらに急勾配になるよ」
「ええ、知ってるわ。さきほど登ったから」
オートの少年たちが、迫ってきた。人数が多い。最初に蹴り倒した者たちが立ち上がり、追っ手に加わったようだ。
サトルは、登り始めた。ミコの背中を守るように。
左右の拳を、同時に繰り出した。前方の敵に。
三回連続で。ミコの背後から、彼女の頭越しに。
いや、正確には、正拳ではない。
中高一本拳だ。
中高一本拳は、中指の第二関節を突き出して拳を握り込む。その第二関節で、みぞおちなどの人体の急所を打つ。相手にあたる面積が正拳よりも小さいため、正拳よりも強力な威力を発揮する。
今回は素早く連続で打つため、一撃一撃に体重を乗せることができない。
そこで、正拳ではなく、中高一本拳を選んだ。
サトルの中高一本拳は、正確に、相手のアゴを撃ち抜いた。
瞬く間だった。失神し、崩れ落ちた。六名のセミ・リモートの少年たちが。
正面右、正面左、右ななめ前、左ななめ前、左側と右側の六名だ。
次の瞬間、一歩後退しながら、左右の手刀を打ち込んだ。頸動脈に。左右同時に。内側から外側へと。右ななめ後方と、左ななめ後方から迫ったセミ・リモートの少年たちに。
その二名も、失神して崩れ落ちた。
その直後、ふたたび中高一本拳を打ち込んだ。左右同時に。ミコに迫った正面の敵二名のアゴに。
計十名のセミ・リモートの少年が、失神した。
後方から襲いかかってきたオートの少年たちも、八名失神していた。左右の肘をアゴに打ち込まれて。
肘を打ち込んだのは、正面の敵に中高一本拳を打ち込んだ直後だ。拳を引いた力で、肘を打ち込んだのだ。
サトルとミコの周囲には、合計十八名の少年が失神し倒れていた。
わずか、五秒の間の出来事だ。
ミコが、つぶやいた。感嘆して。
「まるで、千手観音のよう」
後方から、オートの少年たちが襲ってきた。まだ、二十名ほどいる。
振り返りながら、右横蹴りを連続で繰り出した。
三名蹴り倒すと、右足を着地させ、時計回りに回転し、今度は左横蹴りで三名蹴り倒した。
その後方にいたオートの少年たちは、倒れた少年たちの身体につまづき、転倒し始めた。
「今のうちよ。行きましょう」
ミコが駆け出した。サトルの手をつかんで。
一気に駆け抜けた。真っ直ぐに続く脇道を。コンクリート製の鳥居まで。
コンクリート製の鳥居の先は、急勾配の石の階段だ。
石段を三歩ほど登ってから、サトルが足を止めた。
「登りましょう」
ミコがそう言いながら、サトルの手を引っ張った。
「ここは結界内でしょ」
「違うわ。結界があるのは、内側の鳥居よ」
「内側って、石段の上の鳥居?」
「そうよ。この外側の鳥居は、関東大震災後に、再建されたもの。コンクリート製だから、霊力は込められてないのよ」
サトルは、石段を見上げた。
ミコの体力で、登れるだろうか。そう思った。
「この石段、三百三十三段あるよ」
「ええ、知ってるわ」
「途中から、さらに急勾配になるよ」
「ええ、知ってるわ。さきほど登ったから」
オートの少年たちが、迫ってきた。人数が多い。最初に蹴り倒した者たちが立ち上がり、追っ手に加わったようだ。
サトルは、登り始めた。ミコの背中を守るように。
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