13 / 44
第四章 多勢に無勢で絶体絶命 <第1話>
しおりを挟む
<第四章 第1話>
まずい状況を、作ってしまった。自分の不用意な言動が、原因で。
ダリアとエルザは、一人でも危険だが、二人を混ぜると、もっと危険だ。
二人の関心を、敵に集中させなければ。
ルビー・クールは、二人に声をかけた。
「敵との戦いに、集中しましょ」
そのまま、言葉を続けた。
「あたしたちの共通の敵は、無産者革命党よ。彼らから、あたしたちの街を奪還する。それが、あたしたちの共通の目的よ」
「そんなこと、分かってるわよ」
不機嫌そうな顔で、ダリアがさらに、言葉を続けようとしたときだった。
銃声直後に、怒鳴る声が聞こえた。自由革命党戦闘員の一人だ。
「残弾ゼロ! 装填を開始する!」
視線を向けると、回転弾倉を開けて、空薬莢を石畳にバラバラと捨てていた。
敵の一人が、怒鳴った。
「敵は弾切れだぞ!」
フランクが怒鳴った。
「まだ弾は、あるぞ!」
そう怒鳴った直後、四十五口径を発砲した。
だが敵は、好機到来とみたのか、しゃがんでいた者や、伏せていた者が、パラパラと立ち上がり始めた。
次々に、発砲した。自由革命党の戦闘員たちが。
それにより、次々に弾切れとなった。
弾切れになると、次々に叫んだ。「残弾ゼロ、装填開始」と。
仲間たちに知らせて、援護してもらうための言葉なのだろうが、その言葉で、無産者革命党の党員たちが、勢いづいてしまった。
「まだ一発残ってるぞ! 動いたヤツは、射殺する!」
フランクが怒鳴った。左手の拳銃の銃口を、左から右へ動かしながら。
左手のほうで、男が立ち上がった。突撃しようと、一歩踏み出した。
火を噴いた。四十五口径が。
頭部を、撃ち抜いた。
フランクが怒鳴った。
「残弾ゼロ! 装填を開始する!」
「あたしの出番のようね」
ダリアが、前に一歩、踏み出した。
「あたしたち、でしょ」
訂正してから、ルビー・クールが言葉を続けた。
「エルザは、左の前衛をお願い。あたしが右の前衛をするわ。ダリアは中央後衛で、魔法攻撃による支援をしてちょうだい」
師団長が率いていた正面の中隊と、その左右の中隊には、まだ戦意のある者がいる。
その三つの中隊は、それぞれ四十八発ずつ、自由革命党の戦闘員から銃撃を受けている。銃弾が身体を貫通し、背後の者にあたったケースもあるだろうから、五十名以上が死傷したはずだ。
それに加えて、左手の副師団長が率いていた中隊は、エルザが十数名を死傷させている。
中央の師団長が率いていた中隊は、ルビー・クールとエルザが、二十数名死傷させた。よって、中央の中隊で無傷の者は、二十数名だ。
一方、右手の中隊は、五十名弱が無傷だ。
対峙してから、思った。大変なほうを、引き受けてしまった、と。
だが、心の中で、頭を振った。
この数なら、戦える。それに、五十名全員を、倒す必要はない。弾丸を込めるための時間を稼げば、いいだけだ。
何秒だろうか。四丁のリボルバーに、計二十四発の弾丸を込める時間は。
一発に二秒なら、五十秒ほどか。
「相手は、女一人だぞ!」
「師団長を殺した女だ! ぶっ殺せ!」
男たちが、罵倒の言葉を吐き出しながら、突撃してきた。
魔法詠唱をしながら、魔法の釘を投げつけた。九メートル以内に入ってから。
男たちが、絶叫した。左目を押さえながら。
転んだり、尻もちをついた者もいる。激痛で、しゃがみ込んだ者もいる。立っている者も、身体をくの字に折り、もがき苦しんでいる。
後方にいた男たちにも、魔法の釘を投げつけた。
彼らもまた、左目を押さえながら絶叫した。
「囲め! 囲め!」
誰かが、そう叫んだ。敵の小隊長だろう。
十人ほどが、左から回り込んで、突撃してきた。
魔法の釘を、投げつけた。
別の十人が、右から回り込んで突撃してきた。
同様に、魔法の釘を投げつけた。
これで、魔法攻撃は四回だ。合計三十六名の敵に、打撃を与えた。
三十六名は、左目を押さえながら絶叫し続けている。
敵の突撃は、止まった。
だが、魔法持続時間は、九秒で切れる。同じ相手に、同じ種類の魔法攻撃を繰り返すと、魔法の幻痛が弱まる。
次は、異なる魔法を使う必要がある。
そう思ったときだった。
敵の誰かが、叫んだ。
「第五中隊は、第四中隊を支援し、中央を突破せよ!」
少年の声だった。おそらく伝令だ。
そのとたん、新たな中隊が、突撃してきた。ルビー・クールめがけて。
労農革命党の戦闘部隊と、対峙していた中隊の一つだ。労農革命党の戦闘部隊は、弾丸の節約のため、「撃つぞ」と脅しながら、実際には、あまり発砲していない。
よって、その中隊は、数名しか死傷者を出していない。
合計百五十名は、多すぎる。
まずいことになった。
ルビー・クールは、またもや、心の中で、頭を抱えた。
まずい状況を、作ってしまった。自分の不用意な言動が、原因で。
ダリアとエルザは、一人でも危険だが、二人を混ぜると、もっと危険だ。
二人の関心を、敵に集中させなければ。
ルビー・クールは、二人に声をかけた。
「敵との戦いに、集中しましょ」
そのまま、言葉を続けた。
「あたしたちの共通の敵は、無産者革命党よ。彼らから、あたしたちの街を奪還する。それが、あたしたちの共通の目的よ」
「そんなこと、分かってるわよ」
不機嫌そうな顔で、ダリアがさらに、言葉を続けようとしたときだった。
銃声直後に、怒鳴る声が聞こえた。自由革命党戦闘員の一人だ。
「残弾ゼロ! 装填を開始する!」
視線を向けると、回転弾倉を開けて、空薬莢を石畳にバラバラと捨てていた。
敵の一人が、怒鳴った。
「敵は弾切れだぞ!」
フランクが怒鳴った。
「まだ弾は、あるぞ!」
そう怒鳴った直後、四十五口径を発砲した。
だが敵は、好機到来とみたのか、しゃがんでいた者や、伏せていた者が、パラパラと立ち上がり始めた。
次々に、発砲した。自由革命党の戦闘員たちが。
それにより、次々に弾切れとなった。
弾切れになると、次々に叫んだ。「残弾ゼロ、装填開始」と。
仲間たちに知らせて、援護してもらうための言葉なのだろうが、その言葉で、無産者革命党の党員たちが、勢いづいてしまった。
「まだ一発残ってるぞ! 動いたヤツは、射殺する!」
フランクが怒鳴った。左手の拳銃の銃口を、左から右へ動かしながら。
左手のほうで、男が立ち上がった。突撃しようと、一歩踏み出した。
火を噴いた。四十五口径が。
頭部を、撃ち抜いた。
フランクが怒鳴った。
「残弾ゼロ! 装填を開始する!」
「あたしの出番のようね」
ダリアが、前に一歩、踏み出した。
「あたしたち、でしょ」
訂正してから、ルビー・クールが言葉を続けた。
「エルザは、左の前衛をお願い。あたしが右の前衛をするわ。ダリアは中央後衛で、魔法攻撃による支援をしてちょうだい」
師団長が率いていた正面の中隊と、その左右の中隊には、まだ戦意のある者がいる。
その三つの中隊は、それぞれ四十八発ずつ、自由革命党の戦闘員から銃撃を受けている。銃弾が身体を貫通し、背後の者にあたったケースもあるだろうから、五十名以上が死傷したはずだ。
それに加えて、左手の副師団長が率いていた中隊は、エルザが十数名を死傷させている。
中央の師団長が率いていた中隊は、ルビー・クールとエルザが、二十数名死傷させた。よって、中央の中隊で無傷の者は、二十数名だ。
一方、右手の中隊は、五十名弱が無傷だ。
対峙してから、思った。大変なほうを、引き受けてしまった、と。
だが、心の中で、頭を振った。
この数なら、戦える。それに、五十名全員を、倒す必要はない。弾丸を込めるための時間を稼げば、いいだけだ。
何秒だろうか。四丁のリボルバーに、計二十四発の弾丸を込める時間は。
一発に二秒なら、五十秒ほどか。
「相手は、女一人だぞ!」
「師団長を殺した女だ! ぶっ殺せ!」
男たちが、罵倒の言葉を吐き出しながら、突撃してきた。
魔法詠唱をしながら、魔法の釘を投げつけた。九メートル以内に入ってから。
男たちが、絶叫した。左目を押さえながら。
転んだり、尻もちをついた者もいる。激痛で、しゃがみ込んだ者もいる。立っている者も、身体をくの字に折り、もがき苦しんでいる。
後方にいた男たちにも、魔法の釘を投げつけた。
彼らもまた、左目を押さえながら絶叫した。
「囲め! 囲め!」
誰かが、そう叫んだ。敵の小隊長だろう。
十人ほどが、左から回り込んで、突撃してきた。
魔法の釘を、投げつけた。
別の十人が、右から回り込んで突撃してきた。
同様に、魔法の釘を投げつけた。
これで、魔法攻撃は四回だ。合計三十六名の敵に、打撃を与えた。
三十六名は、左目を押さえながら絶叫し続けている。
敵の突撃は、止まった。
だが、魔法持続時間は、九秒で切れる。同じ相手に、同じ種類の魔法攻撃を繰り返すと、魔法の幻痛が弱まる。
次は、異なる魔法を使う必要がある。
そう思ったときだった。
敵の誰かが、叫んだ。
「第五中隊は、第四中隊を支援し、中央を突破せよ!」
少年の声だった。おそらく伝令だ。
そのとたん、新たな中隊が、突撃してきた。ルビー・クールめがけて。
労農革命党の戦闘部隊と、対峙していた中隊の一つだ。労農革命党の戦闘部隊は、弾丸の節約のため、「撃つぞ」と脅しながら、実際には、あまり発砲していない。
よって、その中隊は、数名しか死傷者を出していない。
合計百五十名は、多すぎる。
まずいことになった。
ルビー・クールは、またもや、心の中で、頭を抱えた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる