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旅立
脱出戦
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(よし、この丘を登りきればもう教会はすぐそこの筈だ……!)
場所を移動してから10分が経過した頃、ロクサは目的地であり回収地点のイノリー教会へ目前に迫っていた。しかし夜更けにも関わらずだんだんと人の声が大きくなり賑やかさが増してきて、丘を登りきりロクサの面食らったような顔をする。
なんとこの時間帯にも関わらず大勢の人間が教会の外で会食パーティーをしていたのだ。しかし直ぐに状況を判断し、腕時計を見ると回収時間も残り僅か。早急に教会の屋根の上に昇りオーサカに回収してもらわねばならない。
教会を囲っている垣根を利用して身を潜めながら裏手に回り、裏口の扉を見つけるとシスター服を着た中年女性がゴミ袋を持ちながら出てきて産廃のコンテナに放り投げ捨てるとそのまま裏口に戻っていく、距離が離れているものの鍵を掛けた音はしなかった。
しゃがみながら音を立てずに裏口に移動するとドアノブをゆっくりと回し、無事に中に潜入する事に成功するとか目指すは屋根に繋がる階段を探さねばいけない。
外に大勢の人間が居るならばこの教会に残っている人数は限られる、神父、シスター、そして調理人ぐらいだろう。教会の大きさから見て一軒家を一回り大きくしたぐらいの面積、従業員も多くは無いはずだ。
空軍施設に潜入した事と比べたら造作もない、仮に見つかっても此処は神聖なる場所、そんな場所で銃火器を所持している可能性もほぼ考えられぬだろう。
木製の床がミシミシと軋むのが気になるが、時間も押してきているため悠長などはしていられなかった、教会と言えば階段は何処にあるのか。大体の設置位置は予測出来る。
案の定、協会内には人が殆ど居らずに難なく階段を見つけたロクサは気を緩めることなく警戒を続けゆっくりと階段を上り始める、時間は5分を切ろうとしていた。階段を上り終えて屋根裏部屋へ到着すると後は窓を開けて屋根の上に移動すればいい。ここまで来れば然程音を立てても気付かれぬことはないだろう。
両開きの窓を両手で押し開け、身軽に屋根の上に移動すると平らな場所と言えば鐘を鳴らす部分だけ、ロクサは一旦そのへとレオンを下ろす事にした。久々に我が子を背負ったのが逃亡劇とは中々聞かぬ話だろう。
兎に角、あとは此処へオーサカが来るのを待つのみとなった。
「おやァ?なんだかお急ぎのようだなァ……ロクサ•R•ディゼル」
不意に聞こえた聞き覚えのある声、ロクサはゆっくりと振り返ると自分達が登ってきた窓から一人の男、桐生宗介が登ってきていたのだ。
「……2年、大戦が終わって2年ぶりの再会だな。大量殺人の次は誘拐とは……罪を重ねるのが好きだなお前は」
「前者はあの時のルールに沿ってやった事、後者は別に誘拐じゃない……ここに来たのは子供を迎えに来ただけだ、親が子供を迎えに来るのは当然だろう? 桐生君」
ロクサからの説明を受けると桐生は首を傾げた、何かが違う。自分の知っていたロクサと言う人物と一致しない気がしたのだ。荒々しい口調は影も形もなく、達観としている今の口調は不気味とも思えた。
……気に食わない、実に気に食わない。何よりも気に食わないことと言えば……
「お前、いつ結婚していやがったんだ!?」
そこを追求してくる辺りこの男も2年前からあまり変わっていないのだろう。出会った当初から自分の事が気に入らず突っかかってきていたあの時から。
「君と出会う前からさ、他の仲間達は皆知っていたぞ?まぁ……君だから話さなかったと言う部分も少なからずあるのだが、ね」
話せばますます自分に対する嫌がらせがヒートアップするのは目に見えて分かっていた、きっと彼は運命的出会いもせずにあれからずっと過ごしていたのだろう。しかし、桐生の身に纏っている制服には見覚えがあった。
「その制服……特別警察隊の物だろう。警察官よりも更に精鋭が集められた第6まである組織、まさかの君がその制服に袖を通しているとは思わなんだ。その役職に就くには……条件は体力テストに筆記試験、数年の警察業務の経験、それ以外に……」
ロクサは特別警察隊になる為の条件を確認しようと次々と必要な課題を口に出している最中桐生は腰に装備していた刀の柄に手を伸ばしていた。すると青白い白い気が刀の鍔に現れゆっくりと鞘から刀を抜き出すと刀身の周りに青白く光沢する氷が纏わり付いていた。
「【適格者】、つまりは人間でありながらも魔法とは異なる能力を得ることが絶対条件。……しかし氷とは……冷たい君にピッタリな属性じゃないか、桐生君」
「雑談もここまでにしようや、ロクサ•R•ディゼル……お前を倒して、俺はもっと上にのし上がる!」
氷の能力を持つ警察官、そして得物すら所持せず戦闘する手段が限られているロクサの戦いが今幕を開けようとしていた。
オーサカが到着するまで残り約1分30秒。
場所を移動してから10分が経過した頃、ロクサは目的地であり回収地点のイノリー教会へ目前に迫っていた。しかし夜更けにも関わらずだんだんと人の声が大きくなり賑やかさが増してきて、丘を登りきりロクサの面食らったような顔をする。
なんとこの時間帯にも関わらず大勢の人間が教会の外で会食パーティーをしていたのだ。しかし直ぐに状況を判断し、腕時計を見ると回収時間も残り僅か。早急に教会の屋根の上に昇りオーサカに回収してもらわねばならない。
教会を囲っている垣根を利用して身を潜めながら裏手に回り、裏口の扉を見つけるとシスター服を着た中年女性がゴミ袋を持ちながら出てきて産廃のコンテナに放り投げ捨てるとそのまま裏口に戻っていく、距離が離れているものの鍵を掛けた音はしなかった。
しゃがみながら音を立てずに裏口に移動するとドアノブをゆっくりと回し、無事に中に潜入する事に成功するとか目指すは屋根に繋がる階段を探さねばいけない。
外に大勢の人間が居るならばこの教会に残っている人数は限られる、神父、シスター、そして調理人ぐらいだろう。教会の大きさから見て一軒家を一回り大きくしたぐらいの面積、従業員も多くは無いはずだ。
空軍施設に潜入した事と比べたら造作もない、仮に見つかっても此処は神聖なる場所、そんな場所で銃火器を所持している可能性もほぼ考えられぬだろう。
木製の床がミシミシと軋むのが気になるが、時間も押してきているため悠長などはしていられなかった、教会と言えば階段は何処にあるのか。大体の設置位置は予測出来る。
案の定、協会内には人が殆ど居らずに難なく階段を見つけたロクサは気を緩めることなく警戒を続けゆっくりと階段を上り始める、時間は5分を切ろうとしていた。階段を上り終えて屋根裏部屋へ到着すると後は窓を開けて屋根の上に移動すればいい。ここまで来れば然程音を立てても気付かれぬことはないだろう。
両開きの窓を両手で押し開け、身軽に屋根の上に移動すると平らな場所と言えば鐘を鳴らす部分だけ、ロクサは一旦そのへとレオンを下ろす事にした。久々に我が子を背負ったのが逃亡劇とは中々聞かぬ話だろう。
兎に角、あとは此処へオーサカが来るのを待つのみとなった。
「おやァ?なんだかお急ぎのようだなァ……ロクサ•R•ディゼル」
不意に聞こえた聞き覚えのある声、ロクサはゆっくりと振り返ると自分達が登ってきた窓から一人の男、桐生宗介が登ってきていたのだ。
「……2年、大戦が終わって2年ぶりの再会だな。大量殺人の次は誘拐とは……罪を重ねるのが好きだなお前は」
「前者はあの時のルールに沿ってやった事、後者は別に誘拐じゃない……ここに来たのは子供を迎えに来ただけだ、親が子供を迎えに来るのは当然だろう? 桐生君」
ロクサからの説明を受けると桐生は首を傾げた、何かが違う。自分の知っていたロクサと言う人物と一致しない気がしたのだ。荒々しい口調は影も形もなく、達観としている今の口調は不気味とも思えた。
……気に食わない、実に気に食わない。何よりも気に食わないことと言えば……
「お前、いつ結婚していやがったんだ!?」
そこを追求してくる辺りこの男も2年前からあまり変わっていないのだろう。出会った当初から自分の事が気に入らず突っかかってきていたあの時から。
「君と出会う前からさ、他の仲間達は皆知っていたぞ?まぁ……君だから話さなかったと言う部分も少なからずあるのだが、ね」
話せばますます自分に対する嫌がらせがヒートアップするのは目に見えて分かっていた、きっと彼は運命的出会いもせずにあれからずっと過ごしていたのだろう。しかし、桐生の身に纏っている制服には見覚えがあった。
「その制服……特別警察隊の物だろう。警察官よりも更に精鋭が集められた第6まである組織、まさかの君がその制服に袖を通しているとは思わなんだ。その役職に就くには……条件は体力テストに筆記試験、数年の警察業務の経験、それ以外に……」
ロクサは特別警察隊になる為の条件を確認しようと次々と必要な課題を口に出している最中桐生は腰に装備していた刀の柄に手を伸ばしていた。すると青白い白い気が刀の鍔に現れゆっくりと鞘から刀を抜き出すと刀身の周りに青白く光沢する氷が纏わり付いていた。
「【適格者】、つまりは人間でありながらも魔法とは異なる能力を得ることが絶対条件。……しかし氷とは……冷たい君にピッタリな属性じゃないか、桐生君」
「雑談もここまでにしようや、ロクサ•R•ディゼル……お前を倒して、俺はもっと上にのし上がる!」
氷の能力を持つ警察官、そして得物すら所持せず戦闘する手段が限られているロクサの戦いが今幕を開けようとしていた。
オーサカが到着するまで残り約1分30秒。
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