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大怪我の巧妙⭐︎

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his side




きちんと話して謝ろうと考えた、ちゃんとどう話すかも考えに考えた。気がつくと終電間際で、流石に課長を呼びに向かうとそこに…


「伊織さん」



部長が車の鍵を鳴らして課長に声をかけているところに遭遇した。



「君なら残っていると思ったよ。送るよ。」


「そんな…部長の帰宅時間が遅くなって…
「だめ!これは上司命令ね?君が頼らないのはわかってるからね」




そう言う部長が優しく微笑んだ。




その瞬間…


その時俺の頭には車に2人きりで、部長が言い寄り課長が「部長になら」といい、瞳を閉じてキっス…車でホテルに入って行く。
(はぁ!?ぜってぇそんな事させるか!)※妄想




「課長は僕が方向一緒なので、一緒に終電でお送りしますから。部長は気になさらず!!!」



彼女の手と彼女の鞄を掻っ攫って廊下をリターンした。
「お疲れ様でした!」



「部長おぉ疲れ様でしたぁ~!」

(2人が並んでるのがお似合いだなんて思ってない!思ってないから!)
無我夢中に少しでも一歩でもこの2人を近づけたくないと言う思いから早足でエレベーターホールに向かった。




「っはっ…さ、さ…きくん…まって…歩くの早いっ…はっはぁ…榊くん…い、腕痛いよ。ど、どうしたの?」




エレベーターホールでボタンを押すと、タイミング良くエレベーターは来て、閉じるのボタンをすぐ押し、ドアが閉まると同時に扉に手をついた。




(彼女の笑顔が他の男に向くのも嫌なのに密室空間に男と2人きりで、その相手が彼女の思い人の部長とだなんて耐えられない。)




「さ、榊…くん?………。あ、あのぉ。」


(ましてや、俺は今日一日中考えてたけど記憶は思い出さないし、酔った勢いで襲うクズ男と思われてこのまま避けられ続けるなんて本当に無理)

「…ないで。」

「えっ?」



俺は彼女の目を合わせた。
俺はクズかもしれないけど、どうか…




「……嫌わないで…。」



(お願い…人生初人を好きになったのに…)



「嫌わないで…。課長に嫌われるのだけは耐えられない。俺課長に避けられるて、嫌われるのだけはいやです。」




(くそっ。ダセェ…。泣きそう…。)
定時から終電までの時間考え、彼女に言うことや順番まで決めたのにこの時頭から抜けていた。




「課長に嫌われたら俺…俺生きていけないです!」



「大袈裟だねー。もー。」


「大袈裟じゃありません!課長、朝あからさまに俺をから逃げましたよね?絵コンテのこと考えてたりする時は気付かれなかったことはあっても。」



夢中になると周りが抜けちゃう課長を知ってるから今日のとは違うとすぐに分かる。


「榊くん…。」


「俺…課長に…何かしちゃいましたか…?」





(こんな事本人に聞かず思い出したかったが、でも今この話をしないと…)


「…っ。」

「えっと……。んー。」



(やばっ…。やっぱりなんかしたんだ。言い淀んでいるのがその証拠だ。)
目の前がぼやけ、目頭が熱くなり咄嗟に目線を逸らして上を向く。



上を向いてたせいもあってネクタイを引っぱられ咄嗟の事に体勢を崩した目の前に彼女の唇に吸い寄せられる様に口付けをしてしまった。
…チュッ!
唇を離した時自然に音が鳴り響いた。



…??






(…?え?…。目の前に彼女の顔があって、ネクタイ引っ張られたからバランス崩して…唇に何か柔らかい物が……)







(キ、キ、キッス…!)
「ア、アのォ…エッ?
か、カカカ…かちょ……。えぇ?」



(わ、わけわかんねー。なんで彼女からキッ…///
その以前に何やってだ俺はさっきの壁ドンじゃん!)





古すぎ…。
今時壁ドンとかキモいだけじゃん。


ゴンッ!!?
(イッッ…)
慌てて彼女と距離を取ろうと後ろに下がったら手すりに思いっ切り腰をぶつけた。


「わっ!凄い音したよ?ご、ごめんね。大丈夫?」






彼女が近づこうとされ俺の頭はキャパオーバーを通り越した。この後どうやって家に帰ったか覚えてなかった。ただ寝る寸前まで彼女の唇の感触が何度も脳裏に浮かびぱなしだった。







………次の日。
朝からは思春期の如くまたもや昨夜の彼女の唇がチラついて、これは仕事にならないと思う軽くランニングしてシャワーを浴びてから出社した。






「伊織課長おはようございます!」
(何もない!平常し…ぁ。あの唇が俺の…っ!バカ野郎!落ち着け)




「榊くんちょっと話があるから先に会議室に行っといてくれる?」


「えっ!あ、はい!わかりました。」




(え!?話って…やっぱり昨日の事だよなぁ…。ってか俺避けられててキッスされたってよく考えたらおかしくね?あれ?俺夢見てる?)



ガチャッ



「榊くん…、
昨日は申し訳ない事しました。セクハラだし、無視したらパワハラだよね。上司として失格です。もし、会社に言うならいっ「そんなこと思ってません!!」」


彼女の言葉を遮り想定より大声で否定してしまった。
「す、すみません。大声で…でもセクハラとかパワハラとか思ってません!ましてや、会社になんて言うわけないです!」



「でも…あんなキ…キスなんて。」///


「あ"ぁぁぁ!////はい!はい!大丈夫です、子供でも無いですし、ファーストキスじゃ無いですし。」



(いやファーストキッスです。
 好きな人とするのは初めてだから。ってか中学生以来だぜ。ライトキスで慌てふためいたの。)


「榊くんはモテるからそうだよね。三十路の女が初めてなんて恥ずかしいなぁ///」





「えぇ!?か、課長は…は、はじめっ///」
(えぇ…マジかよ。嬉しすぎる!?///やば顔ニヤける。)




「ははっ変なこと言っちゃた。じゃあ要らないだろうけど、こんなおばさんのファーストキスで償えるかわからないけど本当にごめんなさい。」






「そんな!ご、ご馳走様でした?」

(何がご馳走様でした!だー。ただの変態じゃないかー!俺ほんとバカ)





じゃあ仕事戻ろうか、と言い彼女は先に会議室を出て行った。




(もー。俺って本当クズでバカ!結局課長とどこまでしちゃったか聞けなかったー!)






──この男は彼女はつこいあいての事のみバカである──






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