人たらしプリンスの初恋は淫魔でした!

ぐーたら猫

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分不相応

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榊くんにキスをしてから謝ったとはいえなんとなく気まずい感じが抜けずも日常は過ぎていく。



とは言っても榊くんは直属の部下ではない為、彼が営業先に向かう時に行ってきます!って声が営業部から聞こえて入口を目で追う程度。




そう、彼は入って一年で大口クライアントから営業を取ってきた才能ある人で、顔も声も身体も整い切っているのだ。そりゃ女性社員がほっとかないのは頷ける。



かく言う私はもそうなうちの1人で、その中でもお世辞でも釣り合うような美女でも無ければ、成績がいい訳ではない。



ただの名ばかりプランニング部課長と言う肩書だけ。





「はぁ…。」




(榊くんとのキスは生気が少し流れてきて甘くてとても美味しかった。それも最初で最後なんだ)





彼と私じゃ釣り合わなさすぎる。





(落ち込んだらただでさえグズな仕事をもっとダメダメにしてしまう。)
「よっし!コーヒーでも淹れてこよう!」


「だったら僕も入れるから一緒に行かないか?」

「え?」
振り返ると部長がマグカップを掲げながら微笑む。



「////す、すみません。声に出てました?」



「うん。でもそう言う所が伊織さんのいい所だから。裏表がない素直な所がね」

そう言って頭に大きな手がぽんっとされ、照れ臭くて俯いてしまう。



「あ、すまない。セクハラになっちゃうかなぁ…」


「いえ!///違います。」



頬が熱い…
私が転びそうになった所を助けてくれた時のことが思い出してしまう。部長の逞しい腕の中…
霧島部長の癖なのか時々表情を見たいのだろう、彼の長身の為顔を覗き込む仕草をされる。すると顔面偏差値高い部長の顔が近くに覗き込まれるのは照れてしまう。



「こ、こぉーふぃ!いかにゃと!……//////」
プシュゥー!////
(なにぃ。こぉーふぃってしかもいかにゃ?バカ!!!噛むにしても恥ずかしい噛み方するなよぉ)



顔から湯気が出るほど熱くなってその場にしゃがみ込んでしまった。
「……っ…ぷっ!……ふふっ。」


「恥ずかしい…////」



「すまない。…っくく…。」



私はバッっと立ち上がり部長の顔を見れず給湯室に足を運んだ。それも早歩きで!







部長を置いていくような形で足早に給湯室に向かっていると給湯室の方から数人の女性の声が聞こえてきた。



「あの女なんなの?課長だからって京くんにベタベタと。しかも何、霧島部長にまで色目使って。あの人既婚者でしょ?昼ドラかよって」



「本当それ。京くんも迷惑してんのがわかんないのかなぁ?課長だから仕方なく愛想良くしてるのも気づかないほどバカなんじゃない?」


「あははっ!それにさ仕事はいつも遅くまで残ってやる事遅すぎるのよ。どうせいい作品出来ないのに。部長に勝てっこないし、お情けで課長になれただけなのにねぇ?」


「え?そうなの?お情けなの?笑」


「そうらしいよ。噂になってた~。てか部長も京くんもあの女のどこがいいんだろうね。」


「男は胸がデカいからでしょ?
他の男社員も鼻の下伸ばしてたよ。ほら前の飲み会でさプランニングの鈴木いんじゃん。鼻の下伸び切ってデレデレだったよ。」


「うわ…きもぉ。部長も京くんも人気だから。落とすつもりだったりして。か♡ら♡だ♡で!」


「うわ余計うぜー。京くんに近づくなっつうの。ババァの癖に調子こきすぎ!分不相応だっつうの。」



「あははっ!あーババァは言い過ぎでしょ?笑
あの女まだ20代だよ。一応…笑」



「一応ってフォローになってないよー」


「フォローなんかじゃないしー。馬鹿にしてるの」


「あはは😆🤣」



複数人の笑い声が廊下に響き渡っていた。
(知ってる。わかってる…私が場違いなのは…)


トン────。
肩に何かが当たり…
振り返ると部長が立っていた。


「こっち!」


近くの会議室に手を引っ張られた。
ドアが閉まる音とほぼ同時に腕を引かれて部長の胸の中に飛び込んでしまった。

「…ぁ。の……。」

「…すまない。君にあんな事を言われていたなんて…。」



前から度々陰口を言われているのはわかっていた。分不相応なのも自分でもわかっていた。お情けで課長と言うポジションにいる事も。



「君の仕事の素晴らしさは私が知ってる。君の良さがわからないあんな陰口気にしなくていい」


また優しい言葉かけてくれて…
無能な私を拾ってくれた恩人で、これ以上…
「これ以上部長に恩を返せません。無能な私に…」
……ぁ。ごめん。大きい声出して」

「いえ…。」
「君は自己主張が下手なだけで、私は君の仕事に惚れ込んでいるだよ!正当なポジションだと思ってる」


(そんな事…)

「君の仕事は丁寧だ。誤字脱字誤植は一度も見た事ない。君のアイデアはいつも惹きつけられる。」


部長の抱き締める腕の力が強くなる。
「悔しい…。
もっと…俺に力があれば君を守れるのに…。」
声音が少し震えている様に聞こえた。



大学時代にもこんな事あったなぁ。
私なんかの為に悔しがってくれる人……。



(あれ?俺?)
「すまない。陰口を気にしなくていい、お情けや容姿がいいからではなく君の仕事振りが評価されているんだ。自信を持っていい!」




「…きっと榊だって同じ事を言う。」



腕から解放されて部長を見上げるとバツの悪そうな顔をしていた。



部長に又励まされて、私は部長にどうやって何をすれば報えるだろうか?


「ありがとうございます。
あ、あの。部長はいつも私を助けてくださってばかり私に何か出来ませんか?何でもします。」



「そんな…お…私は何もしてないよ。
………。じ、じゃあわがままを言ってもいいかい?」


「はい!」


「っ!?///ゴホンッ!!……今度食事に行かないか?」


「え?…そんな事でいいのですか?」



「うん。あ、勿論…二人きりだからね?」


(二人きり…///)
馬鹿!二人きりと言っても部長は既婚者、まぁ私なぞ興味は無いだろうけど。分不相応な事を一瞬でも考えすみません!


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