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6. 可愛いねと言われちゃった
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6. 可愛いねと言われちゃった
他愛のない、けれどどこかドキドキするような会話をしながら並んで賑やかな街の通りを歩く。
ボクのすぐ隣には、ずっと見ていた、憧れの存在である葵ちゃんがいる。まるで夢を見ているみたいだ……でも、こうして間近で見ると、葵ちゃんは本当に可愛い。ふわりとしていて、まるで陽だまりのような柔らかい雰囲気で、その姿はまるで絵本から飛び出してきたお姫様のようだ。
すれ違う人たちも、皆、葵ちゃんの可愛さに見惚れているような気がする……その視線を感じるたびに、なんだか誇らしいような、それでいて少しだけ独り占めしたいような複雑な気持ちになる。
「あっ、そうだ」
ふと、何かを思い出したように葵ちゃんが立ち止まった。そして、くるりとこちらを向きボクに向かって、そっと手を差し出してくる。ボクは、その手の意味が分からなくて、思わず首を傾げてしまう。一体、どうしたんだろう?
すると葵ちゃんは、少しだけ頬を赤らめながら照れたように、期待を込めた瞳で、ボクに言った。
「ねぇ、雪姫ちゃん……手……繋ごっか?」
「え?……えぇっ!?」
まさかの提案に、驚きのあまり言葉を失ってしまう。心臓が一瞬止まったみたいだった。
「驚きすぎだよ。別に、女の子同士なら手とか普通に繋ぐよ?ほら、あそこの2人見て?」
そう言って、葵ちゃんは周りの人たちを指差した。確かに、目を凝らして見ると、楽しそうに談笑しながら手を繋いで歩いている女の子たちのグループが、いくつか目に入る。
そうか……これが女の子同士の日常なんだ……ボクはゴクリと唾を飲み込み、ドキドキしながらも覚悟を決める。
葵ちゃんと……手を繋ぐんだ!考えただけで全身が熱くなる。ボクは顔を真っ赤にしながら、おずおずと震える手を伸ばした。
「なんか、少し震えてる?」
葵ちゃんは、ボクの指先に触れた瞬間、クスッと笑いながら、そう指摘した。
「えっ、いや……緊張しちゃって……」
「え?ふふ。なんで?」
葵ちゃんはそのままボクの震える手を、優しく包み込んでくれた。その小さくて柔らかい感触が、手のひらからじんわりと伝わり心臓が今にも張り裂けそうなくらい、ドキドキと音を立て始める。
これが、女の子の手の温かさなんだ……
「まぁ……私と雪姫ちゃんはただの友達じゃなくて……今は恋人同士……だけどね?」
葵ちゃんはそう言って、小悪魔のように可愛らしく微笑んだ。ボクは、高鳴る鼓動を抑えるのに必死で、その言葉に何も言い返すことができなかった。ただただ、葵ちゃんの笑顔に見惚れているだけだった。
それからボクは、緊張しながらも、葵ちゃんと手を繋いだまま前からずっと行ってみたかったお洒落なカフェでお茶をすることにした。新しいカフェに行くのは、いつだってワクワクするけれど、それが憧れの葵ちゃんと一緒だなんて夢のようだ。
「あっ、そうだ!葵ちゃん。今から行くカフェなんだけど、そこのレモンタルトが、すごく美味しいって評判なんだよ?葵ちゃんは、レモン大丈夫?酸っぱいの、苦手だったりする?」
期待と不安が入り混じった声で尋ねると、葵ちゃんは、にっこりと微笑んで答えてくれた。
「ううん。好きだよ」
「良かったぁ……実は、あのレモンタルト、本当に、ずっと食べてみたかったんだよね!」
「そうなんだ?楽しみだね。……ふふ」
「え……私、なんか変なこと言った?」
「いや、雪姫ちゃんって、好きなものの話をする時、少し早口になるね?」
葵ちゃんはそう言って優しく微笑んだ。そう指摘されて、なんだか急に恥ずかしくなってきた。そして、目的のお洒落なカフェに到着し扉を開けて中に入ると、そこは雑誌で見たとおりの素敵な空間で、お客さんもほとんどが可愛らしい女の子ばかりだった。
店員さんに案内され、窓際の明るい席に並んで座る。メニューを開き迷うことなく、ボクはレモンタルトとアイスティーを注文した。隣に座る葵ちゃんに目をやると、彼女もまた同じものを頼んでいた。
それからしばらく待つと、店員さんが待ちに待った美味しそうなレモンタルトを丁寧にテーブルまで運んできてくれた。レモンの爽やかな香りが、ふわりと鼻をくすぐる。ボクは思わずスマホを取り出し、その美しい姿を写真に収めた後、フォークを手に取り、一口、慎重に口に運んだ。
すると、口の中に甘酸っぱくて、爽やかな味が広がり……ゆっくりと飲み込むと、自然と顔がほころんで、幸せな笑顔が溢れてくる。
う~ん!……噂どおり本当に美味しすぎるよこれ!そんな幸せそうなボクの様子を見て、葵ちゃんは頬杖をつきながら優しい眼差しで微笑んでいる。
「え?」
「ふふ。……可愛いなぁって、思って」
「か……可愛い!?」
予想外の言葉に、またしても、心臓がドキッと跳ね上がった。今まで男の子として生きてきて、こんな風に可愛いなんて言われた経験がなかったからだろうか……それとも、ずっと憧れていた女の子に直接褒められたからだろうか……
恥ずかしさで顔が火照るのを感じながらも、ボクは、もう一口、レモンタルトを味わった。口の中には、相変わらず甘酸っぱい味が広がっている……
でも……なんだか、さっきよりもそのレモンタルトが、ほんの少しだけ甘く感じた。
他愛のない、けれどどこかドキドキするような会話をしながら並んで賑やかな街の通りを歩く。
ボクのすぐ隣には、ずっと見ていた、憧れの存在である葵ちゃんがいる。まるで夢を見ているみたいだ……でも、こうして間近で見ると、葵ちゃんは本当に可愛い。ふわりとしていて、まるで陽だまりのような柔らかい雰囲気で、その姿はまるで絵本から飛び出してきたお姫様のようだ。
すれ違う人たちも、皆、葵ちゃんの可愛さに見惚れているような気がする……その視線を感じるたびに、なんだか誇らしいような、それでいて少しだけ独り占めしたいような複雑な気持ちになる。
「あっ、そうだ」
ふと、何かを思い出したように葵ちゃんが立ち止まった。そして、くるりとこちらを向きボクに向かって、そっと手を差し出してくる。ボクは、その手の意味が分からなくて、思わず首を傾げてしまう。一体、どうしたんだろう?
すると葵ちゃんは、少しだけ頬を赤らめながら照れたように、期待を込めた瞳で、ボクに言った。
「ねぇ、雪姫ちゃん……手……繋ごっか?」
「え?……えぇっ!?」
まさかの提案に、驚きのあまり言葉を失ってしまう。心臓が一瞬止まったみたいだった。
「驚きすぎだよ。別に、女の子同士なら手とか普通に繋ぐよ?ほら、あそこの2人見て?」
そう言って、葵ちゃんは周りの人たちを指差した。確かに、目を凝らして見ると、楽しそうに談笑しながら手を繋いで歩いている女の子たちのグループが、いくつか目に入る。
そうか……これが女の子同士の日常なんだ……ボクはゴクリと唾を飲み込み、ドキドキしながらも覚悟を決める。
葵ちゃんと……手を繋ぐんだ!考えただけで全身が熱くなる。ボクは顔を真っ赤にしながら、おずおずと震える手を伸ばした。
「なんか、少し震えてる?」
葵ちゃんは、ボクの指先に触れた瞬間、クスッと笑いながら、そう指摘した。
「えっ、いや……緊張しちゃって……」
「え?ふふ。なんで?」
葵ちゃんはそのままボクの震える手を、優しく包み込んでくれた。その小さくて柔らかい感触が、手のひらからじんわりと伝わり心臓が今にも張り裂けそうなくらい、ドキドキと音を立て始める。
これが、女の子の手の温かさなんだ……
「まぁ……私と雪姫ちゃんはただの友達じゃなくて……今は恋人同士……だけどね?」
葵ちゃんはそう言って、小悪魔のように可愛らしく微笑んだ。ボクは、高鳴る鼓動を抑えるのに必死で、その言葉に何も言い返すことができなかった。ただただ、葵ちゃんの笑顔に見惚れているだけだった。
それからボクは、緊張しながらも、葵ちゃんと手を繋いだまま前からずっと行ってみたかったお洒落なカフェでお茶をすることにした。新しいカフェに行くのは、いつだってワクワクするけれど、それが憧れの葵ちゃんと一緒だなんて夢のようだ。
「あっ、そうだ!葵ちゃん。今から行くカフェなんだけど、そこのレモンタルトが、すごく美味しいって評判なんだよ?葵ちゃんは、レモン大丈夫?酸っぱいの、苦手だったりする?」
期待と不安が入り混じった声で尋ねると、葵ちゃんは、にっこりと微笑んで答えてくれた。
「ううん。好きだよ」
「良かったぁ……実は、あのレモンタルト、本当に、ずっと食べてみたかったんだよね!」
「そうなんだ?楽しみだね。……ふふ」
「え……私、なんか変なこと言った?」
「いや、雪姫ちゃんって、好きなものの話をする時、少し早口になるね?」
葵ちゃんはそう言って優しく微笑んだ。そう指摘されて、なんだか急に恥ずかしくなってきた。そして、目的のお洒落なカフェに到着し扉を開けて中に入ると、そこは雑誌で見たとおりの素敵な空間で、お客さんもほとんどが可愛らしい女の子ばかりだった。
店員さんに案内され、窓際の明るい席に並んで座る。メニューを開き迷うことなく、ボクはレモンタルトとアイスティーを注文した。隣に座る葵ちゃんに目をやると、彼女もまた同じものを頼んでいた。
それからしばらく待つと、店員さんが待ちに待った美味しそうなレモンタルトを丁寧にテーブルまで運んできてくれた。レモンの爽やかな香りが、ふわりと鼻をくすぐる。ボクは思わずスマホを取り出し、その美しい姿を写真に収めた後、フォークを手に取り、一口、慎重に口に運んだ。
すると、口の中に甘酸っぱくて、爽やかな味が広がり……ゆっくりと飲み込むと、自然と顔がほころんで、幸せな笑顔が溢れてくる。
う~ん!……噂どおり本当に美味しすぎるよこれ!そんな幸せそうなボクの様子を見て、葵ちゃんは頬杖をつきながら優しい眼差しで微笑んでいる。
「え?」
「ふふ。……可愛いなぁって、思って」
「か……可愛い!?」
予想外の言葉に、またしても、心臓がドキッと跳ね上がった。今まで男の子として生きてきて、こんな風に可愛いなんて言われた経験がなかったからだろうか……それとも、ずっと憧れていた女の子に直接褒められたからだろうか……
恥ずかしさで顔が火照るのを感じながらも、ボクは、もう一口、レモンタルトを味わった。口の中には、相変わらず甘酸っぱい味が広がっている……
でも……なんだか、さっきよりもそのレモンタルトが、ほんの少しだけ甘く感じた。
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