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31. 未来の義姉

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31. 未来の義姉



 次の日になり、朝からずっと怜奈の様子がおかしい。まるで何かを警戒しているように、オレのことを睨みつけてくる。

 オレが一体何をしたというのだ?皆目見当がつかない。

「じゃあオレ駅まで聖菜さんを迎えに行ってくるから」

「おにぃ」

「ん?」

「気をつけてね」

「大丈夫だって」

「…………」

「なんだよ?」

「別に……」

 全くなんなんだ……?オレは聖菜さんが来るのを待ち、駅で待っていた。するとそこに聖菜さんが現れる。

「お待たせ優斗君」

「今日もオレの未来の奥様は可愛いらしいようで」

「おや?熱烈な愛の言葉かな?」

「気の効いたおしゃれな言葉だろ?」

「そうかなぁ?でも優斗君が言うと確かにそうかもね」

「ジェントルマンの日本代表だから」

「ふふっ。そうだね」

「さぁ行こうか。奥様」

 オレが手を差し出すと、それを聖菜さんは握りしめて横に並んで歩いてくれる。

「それで?怜奈ちゃんはどんな様子?」

「全然分からないんだ。オレには何も話してくれなくて」

「ふーん……まぁ。大体想像はつくけどね。」

「……聖菜さん。なんか心当たりあるの?」

「さぁどうかなぁ?」

「……その顔はなんか分かってるような顔なんだが?」

「私も妹だからね」

 聖菜さんの謎の言葉は引っ掛かるが、オレたちは家に着き、玄関を開ける。するとそこには怜奈が立っていた。

「おかえりおにぃ」

「た、ただいま……」

「こんにちは怜奈ちゃん」

「こ、こんにちは聖菜さん。ごめんなさい私がワガママ言っちゃって……」

「ううん。いいんだよ。怜奈ちゃんの気持ち分かるから」

「え?聖菜さん?」

「ふふ。お邪魔します」

 どういうことだ?聖菜さんの言っていることは?オレにはさっぱり分からず、リビングに向かう二人を見送る。そして怜奈がすぐに戻ってきてオレに2000円を手渡す。

「なんだ?」

「……おにぃ。お菓子とか買ってきて。」

「はぁ?なんで聖菜さんを迎えに行く時に言わないんだよ」

「今思い出したから」

「お前なぁ。一体なんなんだよ」

 オレが怜奈に文句を言おうとすると、聖菜さんがオレに話してくる。

「優斗君。私さ文連堂のお菓子が食べたいかな」

「それは2つ先の駅にしかないお店なんだけど……」

「ダメかな?」

「……行ってきます」

「ありがとう優斗君」

 そんなことを言われて断れるはずがない。オレは急いで支度をして家を出る。そして電車に乗り、目的地に向かった。

「……きっと聖菜さんが怜奈の話を聞いてくれてるんだろうな」

 さすがのオレでもそのくらいは察することができた。オレはスマホを取り出し聖菜さんにメッセージを送る。

「えっと『適当に時間を潰すから、怜奈のことお願いします』と」

 すると少しして返事が返ってくる。『未来の義姉に任せなさい』と書かれていた。

 確かに聖菜さんは怜奈にとって義姉になる人だ。それはもちろんオレの未来の奥様になることが条件ではあるけど。

 怜奈。両親が仕事柄ほとんど家にいないから、あいつはオレにとっては大事な家族の一人だ。だからこそ今回みたいなことは初めてで、正直戸惑っている。オレは何をすれば正解なのか?全くわからない。だから今はとにかく時間が必要だと思った。
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