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51. 釣った魚には餌をやらない
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51. 釣った魚には餌をやらない
オレたちは聖菜さんの誕生日プレゼント選ぶために色々見て回っていた。そんな時オレのスマホが震える。画面を見るとそこには『高宮聖菜』の文字。オレは慌てて電話に出る。
「もしもし」
《あっ優斗君。今大丈夫かな》
「ああ。どうしたの」
《実はね……》
電話越しの聖菜さんの声も可愛い。癒される。
「誰と電話してんの神坂?早く選ぼうよ」
《……なんで彩音ちゃんが一緒なのかな》
「いや他にも怜奈や東雲さんもいるから」
………いない。どうやら先に行ってしまったようだ。しかも聖菜さんの声が1オクターブ下がった。
《なんで焦ってるのかな?》
「誰と電話してんの?」
「聖菜さん」
オレが小声でそう言うと西城さんは恐ろしいことを言う。
「あ。じゃあ内緒にしなきゃじゃん!」
《……内緒?ふーん》
「聖菜さん。誤解だぞ!?」
《ヤったらすぐに浮気するんだぁ。へー。そう言えば彩音ちゃんも処女だもんね?もしかして優斗君って処女の女の子しか興味ないの?》
地獄だ。見えないというのはこんなに恐ろしいものなのか……。仕方ないもう聖菜さんのプレゼントを選んでいることを話すしかない。
「そうじゃなくてだな。今は聖菜さんの……」
「こら!聖菜にバレるじゃん!」
「もうバレてるんだって!」
《そうだね。2人が浮気してるのはバレてるよ》
「違うんだよ聖菜さん」
《ふふ。夜道とか気をつけてね?》
そして電話が切れる。終わった。
「大丈夫?神坂?」
「大丈夫じゃない。聖菜さんは完全に怒ってらっしゃる」
「なんで?」
「色々な不運が重なったからさ」
「あはは。なら本当に聖菜やめてあたしと付き合う?」
「笑い事じゃないぞ!」
結局プレゼント選びは一度白紙になった。西城さんは聖菜さんに連絡してくれ、一応誤解は解けたのだが……。オレはそのまま聖菜さんのアパートに向かうことにした。やっぱり自分の言葉で謝りたいし。
そしてインターホンを鳴らすと、すごく不機嫌でジト目の聖菜さんが出迎えてくれる。……絶対怒ってらっしゃるよこれ。
「あの聖菜さん」
「なに。釣った魚には餌をやらない優斗君」
怒ってはいるがオレを中には入れてくれるようだ。聖菜さんの部屋に入ると、聖菜さんはベッドに座り、クッションを抱きながら、オレをジト目で睨んでいる。聖菜さんはずっと黙ったままだ。このままだと本当にまずい……。そう思っていると聖菜さんがクスクスと笑う。
「聖菜さん?」
「ふふ。反省したのかな旦那様?」
そう言っていつものように可愛い微笑みをくれる聖菜さん。その瞬間一気に緊張感がなくなり身体の力が抜けた。
「……人生最大のピンチだと思ったね」
「それこの前も聞いたなぁ。優斗君はピンチが多すぎるね?」
「ピンチをチャンスに変える男だからさ」
「じゃあ変えてみて」
聖菜さんはクッションを離し、両手を広げる。オレはそのまま聖菜さんを抱き締める。ああ……聖菜さんの匂いだ。癒される。
「それにしても、未来の奥様の誕生日を知らないとか酷い旦那様だなぁ」
「言われると思った」
「言われたいんじゃないの本当は」
「かもね」
「本当に私のこと好きすぎるね優斗君は」
「本当困るよな」
「だから困らないでってば」
そう言って抱き締める力を少し強める。それに合わせて聖菜さんも。本当に幸せだよな。
「オレさ。きっと悩んでも悩んでも聖菜さんの誕生日プレゼント選べないと思うんだ。だから一緒に買いに行かない?」
「いいの?30年ローンになるかもよ」
「それは将来、聖菜さんも一緒に返すことになるよ」
「ふふ。それは困るなぁ」
「それでどうかな?」
「うん。一緒に行こうか」
「ありがとう」
こうして聖菜さんと無事に仲直り(?)出来た。そして誕生日には聖菜さんとのデートの約束もしたのだった。
オレたちは聖菜さんの誕生日プレゼント選ぶために色々見て回っていた。そんな時オレのスマホが震える。画面を見るとそこには『高宮聖菜』の文字。オレは慌てて電話に出る。
「もしもし」
《あっ優斗君。今大丈夫かな》
「ああ。どうしたの」
《実はね……》
電話越しの聖菜さんの声も可愛い。癒される。
「誰と電話してんの神坂?早く選ぼうよ」
《……なんで彩音ちゃんが一緒なのかな》
「いや他にも怜奈や東雲さんもいるから」
………いない。どうやら先に行ってしまったようだ。しかも聖菜さんの声が1オクターブ下がった。
《なんで焦ってるのかな?》
「誰と電話してんの?」
「聖菜さん」
オレが小声でそう言うと西城さんは恐ろしいことを言う。
「あ。じゃあ内緒にしなきゃじゃん!」
《……内緒?ふーん》
「聖菜さん。誤解だぞ!?」
《ヤったらすぐに浮気するんだぁ。へー。そう言えば彩音ちゃんも処女だもんね?もしかして優斗君って処女の女の子しか興味ないの?》
地獄だ。見えないというのはこんなに恐ろしいものなのか……。仕方ないもう聖菜さんのプレゼントを選んでいることを話すしかない。
「そうじゃなくてだな。今は聖菜さんの……」
「こら!聖菜にバレるじゃん!」
「もうバレてるんだって!」
《そうだね。2人が浮気してるのはバレてるよ》
「違うんだよ聖菜さん」
《ふふ。夜道とか気をつけてね?》
そして電話が切れる。終わった。
「大丈夫?神坂?」
「大丈夫じゃない。聖菜さんは完全に怒ってらっしゃる」
「なんで?」
「色々な不運が重なったからさ」
「あはは。なら本当に聖菜やめてあたしと付き合う?」
「笑い事じゃないぞ!」
結局プレゼント選びは一度白紙になった。西城さんは聖菜さんに連絡してくれ、一応誤解は解けたのだが……。オレはそのまま聖菜さんのアパートに向かうことにした。やっぱり自分の言葉で謝りたいし。
そしてインターホンを鳴らすと、すごく不機嫌でジト目の聖菜さんが出迎えてくれる。……絶対怒ってらっしゃるよこれ。
「あの聖菜さん」
「なに。釣った魚には餌をやらない優斗君」
怒ってはいるがオレを中には入れてくれるようだ。聖菜さんの部屋に入ると、聖菜さんはベッドに座り、クッションを抱きながら、オレをジト目で睨んでいる。聖菜さんはずっと黙ったままだ。このままだと本当にまずい……。そう思っていると聖菜さんがクスクスと笑う。
「聖菜さん?」
「ふふ。反省したのかな旦那様?」
そう言っていつものように可愛い微笑みをくれる聖菜さん。その瞬間一気に緊張感がなくなり身体の力が抜けた。
「……人生最大のピンチだと思ったね」
「それこの前も聞いたなぁ。優斗君はピンチが多すぎるね?」
「ピンチをチャンスに変える男だからさ」
「じゃあ変えてみて」
聖菜さんはクッションを離し、両手を広げる。オレはそのまま聖菜さんを抱き締める。ああ……聖菜さんの匂いだ。癒される。
「それにしても、未来の奥様の誕生日を知らないとか酷い旦那様だなぁ」
「言われると思った」
「言われたいんじゃないの本当は」
「かもね」
「本当に私のこと好きすぎるね優斗君は」
「本当困るよな」
「だから困らないでってば」
そう言って抱き締める力を少し強める。それに合わせて聖菜さんも。本当に幸せだよな。
「オレさ。きっと悩んでも悩んでも聖菜さんの誕生日プレゼント選べないと思うんだ。だから一緒に買いに行かない?」
「いいの?30年ローンになるかもよ」
「それは将来、聖菜さんも一緒に返すことになるよ」
「ふふ。それは困るなぁ」
「それでどうかな?」
「うん。一緒に行こうか」
「ありがとう」
こうして聖菜さんと無事に仲直り(?)出来た。そして誕生日には聖菜さんとのデートの約束もしたのだった。
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