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50. ツッコミ不在なんですよ今

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50. ツッコミ不在なんですよ今



 デパートの休憩コーナーのベンチでアイスを食べるオレ。今超絶ピンチを迎えていた。聖菜さんの誕生日が来週ということ。そしてそんな誕生日を知らなかったという事実。

 くそっ。オレはまた同じことを繰り返すのか。そして聖菜さんはそんなオレをからかうのが楽しみなんだ。

『彼女……いや未来の奥様の誕生日を知らないとか酷い旦那様だなぁ』とか言おうとしてるに決まっている。どうせ知っていても何個もネタを用意しているだろうけど……。聖菜さんはツッコミのプロだから。

「おにぃ。それ少しちょうだい」

「あっああ」

「交換っこか。いいね。神坂。次あたしにもちょうだい」

「ちょっと彩音!そそそそれ間接キスじゃない!?浮気よ浮気!聖菜に申し訳ないと思わないの!?」

「別に思わなくね?なんなら妹ちゃんのあとじゃん」

 そして西城さんと東雲さんもなぜか一緒にいる。それよりも何よりも、聖菜さんの誕生日プレゼントだ。くそっ何も思い浮かばない。これが今まで童貞だった男への試練なのか……

「おにぃ。顔色悪いけどお腹壊した?」

「オレは今、運命を決める試練が襲ってきてるんだ」

「へぇ大変そうだね。おにぃカップちょうだい捨ててくるから」

 そう言いながらアイスを食べ終えて、カップを捨てに行く怜奈。薄情な奴だ。

「舞子。これ捨ててきて」

「本当にあなたって面倒臭がりよね」

 そして東雲さんもカップを捨てに行く。すると西城さんがオレに声をかける。

「ねぇ神坂。聖菜の誕生日知らなかったんでしょ?」

「なぜ……それを?」

「あはは。分かりやす。最近聖菜や神坂ばっかり見てるから気づくようになったかも」

「西城さんは良く周りを見れる人だと思うよ。頼りがいもあるしさ」

「あたしに惚れた?聖菜やめてあたしと付き合う?あたしのほうが胸大きいよ」

「それは魅力的だけど、そしたら聖菜さんが悲しむから、また西城さんから思い切りビンタされるんだろ?そりゃ勘弁だ」

「あはは。確かに」

 本当に西城さんはイメージ変わった。今ではオレの姉貴分だ。

「じゃあ2人が戻ってきたら、みんなで一緒に聖菜のプレゼント選ぶか」

「え?いいのか?」

「どうせ神坂1人じゃ選べないじゃん。あたしらに頼りな」

「姉貴……オレ一生ついてくぞ」

「あはは。神坂は別に役に立たないじゃん」

 何かの役には立つと信じたいけど。オレはそのあと姉貴とチャッカマン、あと怜奈の力を借りて聖菜さんのプレゼントを探すことにする。

「おにぃ。聖菜さんの好きなものって何なの?」

「オレ」

「さすがのおにぃでも叩くよ?」

「すまん」

「あはは。神坂さ。分からないなら子供とかで良くね?聖菜は子供好きそうじゃん」

「子供!?ダメよ!?そんなの私が許さない!」

「なんで舞子が許さないんだよ」

 なんかまた騒がしくなってきたぞ?聖菜さんがいないからツッコミ不在なんですよ今。怜奈はただの真面目。西城さんは天然ボケだな。東雲さんは……多分ギャガーでしょ。はぁ。プレゼント選びは困難をきわめるようだな。
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