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55. ぼっち同盟
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55. ぼっち同盟
そしてオレはそのまま怜奈の同級生の日柳花音さんと共に家に戻ることにする。当然ながら会話はない。そもそもオレは女の子と小粋な会話ができるほどのコミュニケーション能力は持っていない。
「あの……」
オレの後ろから微かに声が聞こえる。振り向くと結構後ろのほうに日柳さんはいた。
「あれ?ゴメン。なんか早歩きしたかも」
「いえ。私は歩くのが不得手でして。お優しいんですね」
「いや別に。これくらい普通だぞ」
歩くのが不得手ってどういうことだ? しかし、日柳さんはゆっくりとオレの隣まで歩いてくる。
「今日はいつもより心が弾んでいまして、周りの景色に目を奪われてしまいました」
そんな大層ない通りだと思うけど。この子なんか変わっているな。
「そうなんだ。ところで日柳さんはどうしてオレの家に?」
「はい。実は怜奈さんに夏休みの課題である自由研究のお誘いを受けまして、僭越ながらお邪魔させて頂くことになりました。ただ、お恥ずかしいことに私。方向音痴なもので、ここまでたどり着くのに時間がかかってしまいまして、本当に助かりました」
なるほど。それで迎えが必要なのか。確かにこの子おっとりしているというか、天然ぽいな。
「怜奈とは学校で話すの?あいつうるさいでしょ。」
「ふふ。そうなんですね」
「え?」
「怜奈さんとはついこの間話すようになったばかりでして。私はクラスでも誰も仲の良い人がいないので、見かねた学級委員の怜奈さんが誘ってくれたんです」
怜奈って学級委員だったのか……全然知らなかった。というか、ならこの子はオレと同じ『ぼっち』なのか。
「お気になさらず。1人でも楽しいこともいっぱいありますから」
「いや。オレも同じようなもんだからさ」
「まぁ。お兄様もぼっちなのですか?」
「そんなところだな」
「では。私とお兄様は『ぼっち同盟』ということですね」
「同盟の時点でぼっちじゃなくなるぞ」
「じゃあぼっち友達ですかね」
「なら普通の友達でいいだろ」
日柳さんは『あー』といいながらポンッと手を叩き納得している。なんだこの子。マイペースすぎてなんだか調子狂うな。そして帰り道にある花屋の前を通ると突然、日柳さんが立ち止まる。
「まぁ……綺麗なお花」
目をキラキラさせながら店先に並んでいる花を見つめている。
「花好きなのか?」
「はい。一応私の名前は花音。多少お花の事については知っているつもりです」
「そうなんだ」
「お兄様には特別に好意を寄せているかたはいらっしゃいますか?」
「唐突だな。まぁ彼女がいるよ」
「それはそれは。きっとその方はとてもお幸せでしょうね。人は誰しも心の中に美しい花を持っているのですから」
「詩人みたいなことを言うな」
「詩人?私はただの中学生ですよ?」
「例えなんだが?」
「……あー。」
もうこの子にはついていけない。オレが呆れていると日柳さんはまた笑顔になり花を見始め、また唐突に質問をしてくる。
「お兄様はお花をプレゼントしたことはございますか?」
「いや?そういえば明日は彼女の誕生日なんだ。……せっかくだから買ってみようかな」
「それならば私に選ぶお手伝いをさせて下さいませんか?お兄様と私の友達記念に」
「え?あーうん。いいけど」
なぜか友達になっているんだが?まぁなんか楽しそうだし、こういうのは女の子のほうがセンスがあるかもしれないし任せてみるか。
そしてオレはそのまま怜奈の同級生の日柳花音さんと共に家に戻ることにする。当然ながら会話はない。そもそもオレは女の子と小粋な会話ができるほどのコミュニケーション能力は持っていない。
「あの……」
オレの後ろから微かに声が聞こえる。振り向くと結構後ろのほうに日柳さんはいた。
「あれ?ゴメン。なんか早歩きしたかも」
「いえ。私は歩くのが不得手でして。お優しいんですね」
「いや別に。これくらい普通だぞ」
歩くのが不得手ってどういうことだ? しかし、日柳さんはゆっくりとオレの隣まで歩いてくる。
「今日はいつもより心が弾んでいまして、周りの景色に目を奪われてしまいました」
そんな大層ない通りだと思うけど。この子なんか変わっているな。
「そうなんだ。ところで日柳さんはどうしてオレの家に?」
「はい。実は怜奈さんに夏休みの課題である自由研究のお誘いを受けまして、僭越ながらお邪魔させて頂くことになりました。ただ、お恥ずかしいことに私。方向音痴なもので、ここまでたどり着くのに時間がかかってしまいまして、本当に助かりました」
なるほど。それで迎えが必要なのか。確かにこの子おっとりしているというか、天然ぽいな。
「怜奈とは学校で話すの?あいつうるさいでしょ。」
「ふふ。そうなんですね」
「え?」
「怜奈さんとはついこの間話すようになったばかりでして。私はクラスでも誰も仲の良い人がいないので、見かねた学級委員の怜奈さんが誘ってくれたんです」
怜奈って学級委員だったのか……全然知らなかった。というか、ならこの子はオレと同じ『ぼっち』なのか。
「お気になさらず。1人でも楽しいこともいっぱいありますから」
「いや。オレも同じようなもんだからさ」
「まぁ。お兄様もぼっちなのですか?」
「そんなところだな」
「では。私とお兄様は『ぼっち同盟』ということですね」
「同盟の時点でぼっちじゃなくなるぞ」
「じゃあぼっち友達ですかね」
「なら普通の友達でいいだろ」
日柳さんは『あー』といいながらポンッと手を叩き納得している。なんだこの子。マイペースすぎてなんだか調子狂うな。そして帰り道にある花屋の前を通ると突然、日柳さんが立ち止まる。
「まぁ……綺麗なお花」
目をキラキラさせながら店先に並んでいる花を見つめている。
「花好きなのか?」
「はい。一応私の名前は花音。多少お花の事については知っているつもりです」
「そうなんだ」
「お兄様には特別に好意を寄せているかたはいらっしゃいますか?」
「唐突だな。まぁ彼女がいるよ」
「それはそれは。きっとその方はとてもお幸せでしょうね。人は誰しも心の中に美しい花を持っているのですから」
「詩人みたいなことを言うな」
「詩人?私はただの中学生ですよ?」
「例えなんだが?」
「……あー。」
もうこの子にはついていけない。オレが呆れていると日柳さんはまた笑顔になり花を見始め、また唐突に質問をしてくる。
「お兄様はお花をプレゼントしたことはございますか?」
「いや?そういえば明日は彼女の誕生日なんだ。……せっかくだから買ってみようかな」
「それならば私に選ぶお手伝いをさせて下さいませんか?お兄様と私の友達記念に」
「え?あーうん。いいけど」
なぜか友達になっているんだが?まぁなんか楽しそうだし、こういうのは女の子のほうがセンスがあるかもしれないし任せてみるか。
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