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58. ブラコンとシスコン
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58. ブラコンとシスコン
8月中旬。蝉の声がうるさく響く。夏休みも残り半分。あのあと聖菜さんの誕生日プレゼントはちゃんと買いに行き、普段使い出来そうなアクセサリーを買った。聖菜さんはすごく喜んでいた。
ちなみに『プレゼントを買うのが先かな。順番が逆だなぁ』と言われたけど、すべては聖菜さんが可愛いすぎるのが悪い。そう。聖菜さんが悪いんだ。
そして今日は週末行われる花火大会に着ていく浴衣を買いに来ている。怜奈と。
「この色どうかなおにぃ」
「ん?ああ。似合うんじゃないか?」
「適当すぎでしょ!」
「オレにファッションの美学を求めるな」
その花火大会に今回はバッチリ聖菜さんを誘ったのだ。オレだってできる男なんだとか思っていたら、そのまま話の流れで姉貴とチャッカマンも来ることになり、なぜか怜奈も誘われた。ワケわからん。オレと聖菜さんのデートはどこへ行ったのか。まぁたまにはみんなで出かけてもいいんだけどさ。
「おにぃ。聞きたいことあるんだけどさ……」
「なんだ?」
なぜか少し恥ずかしそうにモジモジしながら聞いてくる。なんだよ気持ち悪い。
「私とおにぃって……仲良すぎなのかな」
「は?」
「普通の兄妹はこうやって出掛けたりしないのかな?」
「そんなことはないだろ」
「でも。学校でよくみんなから『お兄さんと仲良すぎ』って言われて……ブラコンとか思われてるのかな……」
確かに頻度は多いかもしれない。コイツも思春期だからブラコンとか周りに思われるのが嫌なんだろうな。でもコイツは最近生意気だから、少し懲らしめてやるか。
「お前ブラコンだろ」
「え!?違うよ!」
「違うのか?だってオレからお前を誘うことはないだろ?」
「え?」
「いつもお前があれしたいこれしたいって言ってくるんだろうに。今日だって浴衣買いたいから付き合ってって言って……」
オレがそこまで言うと怜奈は顔を赤くして涙目になっている。ありゃ言い過ぎたか?
「じゃあ断ればいいじゃん。1人で行けって言ったらいいじゃん」
「いやお前中学生が1人では危ないだろうが。最寄りのコンビニとかじゃないんだからよ」
「心配してるの?」
「当たり前だろ。お前はオレの妹だろ」
「じゃあおにぃがシスコンじゃん」
「は?」
「自分のこと棚に上げて、私が心配だから一緒に来るんでしょ?おにぃは最初は面倒とか言うけど、結局来てくれるもん!」
「それは兄の優しさだろうが!」
何言ってんだコイツ?やっぱり反抗期?
「ったく。そんなこと言ってないで早く浴衣を選べよ」
「分かってるよ!」
怜奈は色々見ているがなかなか決められないようだ。コイツ学級委員のくせに決断力が無さすぎだぞ?
「うーん……」
「そのオレンジで白い花の柄の浴衣でいいんじゃね?お前らしいだろ」
「……なに私らしいって?」
「お前はいつもやかましいくらい元気だ。黒とか藍とかシックなものに背伸びをするなよ。そういう明るい色のほうが似合うと思うしお前のイメージにぴったりだろう」
「……それおにぃのイメージじゃん」
「お前はそのオレと浴衣を買いに来てるんだろ?ほら買ってこい」
「……分かったよ。うるさいなぁ。仕方ないからこれにする」
うるさい、仕方ないとはなんだ妹よ。まったく生意気で困るぞ本当に。そんなこんなで怜奈の浴衣を買うことは出来た。そして帰り道。夕飯の食材を買いにいくことにした。
「あー。腹減ったな」
「おにぃ。なに食べたい?」
「怜奈に任せる」
「作るのは私なんだからそのくらい意見ちょうだいよ」
「なら選択肢をくれよ選ぶの大変だから」
「じゃあいい……オムライスにする」
「またオムライス?お前、いつも出掛けたあとの夕飯オムライス率が高くないか?この前も食べたけど。別に好きだからさいいけどさ」
「おにぃが好きだからじゃん……」
「なんだって?」
「もう!文句言うなら作らない!」
「すいません。何でもありません」
そう言って怜奈は頬を膨らませる。本当にめんどくせぇ妹だよな。まぁ……それでもオレにとっては可愛い妹なんだけどな。
8月中旬。蝉の声がうるさく響く。夏休みも残り半分。あのあと聖菜さんの誕生日プレゼントはちゃんと買いに行き、普段使い出来そうなアクセサリーを買った。聖菜さんはすごく喜んでいた。
ちなみに『プレゼントを買うのが先かな。順番が逆だなぁ』と言われたけど、すべては聖菜さんが可愛いすぎるのが悪い。そう。聖菜さんが悪いんだ。
そして今日は週末行われる花火大会に着ていく浴衣を買いに来ている。怜奈と。
「この色どうかなおにぃ」
「ん?ああ。似合うんじゃないか?」
「適当すぎでしょ!」
「オレにファッションの美学を求めるな」
その花火大会に今回はバッチリ聖菜さんを誘ったのだ。オレだってできる男なんだとか思っていたら、そのまま話の流れで姉貴とチャッカマンも来ることになり、なぜか怜奈も誘われた。ワケわからん。オレと聖菜さんのデートはどこへ行ったのか。まぁたまにはみんなで出かけてもいいんだけどさ。
「おにぃ。聞きたいことあるんだけどさ……」
「なんだ?」
なぜか少し恥ずかしそうにモジモジしながら聞いてくる。なんだよ気持ち悪い。
「私とおにぃって……仲良すぎなのかな」
「は?」
「普通の兄妹はこうやって出掛けたりしないのかな?」
「そんなことはないだろ」
「でも。学校でよくみんなから『お兄さんと仲良すぎ』って言われて……ブラコンとか思われてるのかな……」
確かに頻度は多いかもしれない。コイツも思春期だからブラコンとか周りに思われるのが嫌なんだろうな。でもコイツは最近生意気だから、少し懲らしめてやるか。
「お前ブラコンだろ」
「え!?違うよ!」
「違うのか?だってオレからお前を誘うことはないだろ?」
「え?」
「いつもお前があれしたいこれしたいって言ってくるんだろうに。今日だって浴衣買いたいから付き合ってって言って……」
オレがそこまで言うと怜奈は顔を赤くして涙目になっている。ありゃ言い過ぎたか?
「じゃあ断ればいいじゃん。1人で行けって言ったらいいじゃん」
「いやお前中学生が1人では危ないだろうが。最寄りのコンビニとかじゃないんだからよ」
「心配してるの?」
「当たり前だろ。お前はオレの妹だろ」
「じゃあおにぃがシスコンじゃん」
「は?」
「自分のこと棚に上げて、私が心配だから一緒に来るんでしょ?おにぃは最初は面倒とか言うけど、結局来てくれるもん!」
「それは兄の優しさだろうが!」
何言ってんだコイツ?やっぱり反抗期?
「ったく。そんなこと言ってないで早く浴衣を選べよ」
「分かってるよ!」
怜奈は色々見ているがなかなか決められないようだ。コイツ学級委員のくせに決断力が無さすぎだぞ?
「うーん……」
「そのオレンジで白い花の柄の浴衣でいいんじゃね?お前らしいだろ」
「……なに私らしいって?」
「お前はいつもやかましいくらい元気だ。黒とか藍とかシックなものに背伸びをするなよ。そういう明るい色のほうが似合うと思うしお前のイメージにぴったりだろう」
「……それおにぃのイメージじゃん」
「お前はそのオレと浴衣を買いに来てるんだろ?ほら買ってこい」
「……分かったよ。うるさいなぁ。仕方ないからこれにする」
うるさい、仕方ないとはなんだ妹よ。まったく生意気で困るぞ本当に。そんなこんなで怜奈の浴衣を買うことは出来た。そして帰り道。夕飯の食材を買いにいくことにした。
「あー。腹減ったな」
「おにぃ。なに食べたい?」
「怜奈に任せる」
「作るのは私なんだからそのくらい意見ちょうだいよ」
「なら選択肢をくれよ選ぶの大変だから」
「じゃあいい……オムライスにする」
「またオムライス?お前、いつも出掛けたあとの夕飯オムライス率が高くないか?この前も食べたけど。別に好きだからさいいけどさ」
「おにぃが好きだからじゃん……」
「なんだって?」
「もう!文句言うなら作らない!」
「すいません。何でもありません」
そう言って怜奈は頬を膨らませる。本当にめんどくせぇ妹だよな。まぁ……それでもオレにとっては可愛い妹なんだけどな。
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