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65. ヒマワリの瞳
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65. ヒマワリの瞳
学校の2学期が始まり、3日がたつ。聖菜さんはあれから学校に来ていない。メッセージを送っても既読はするが返事はない。もちろん電話にも出ない。
「聖菜。今日も休みか」
「神坂君。聖菜の家に行ったのよね?」
「行ったけど留守だったよ」
「それは居留守なんじゃないの?本当に何も知らないの神坂君は?」
「……ああ。分からない」
西城さんと東雲さんにそう言われるが、そう答えるしかない。これはオレと聖菜さんの問題だから。
あの時。聖菜さんはオレに『未来を変えたこと』を否定してほしかったんだと思う。ずっと1人で不安だったんだろう。でもオレはそれをしなかった。それは聖菜さんが知ってる未来の出来事を完全に否定する自信がオレにはなかったから……
このまま聖菜さんはオレの前から消えるつもりなのか。それともまた別の何かがあるのか。今のオレには分からなかった。
そして家に帰るとリビングには怜奈と怜奈の女友達らしき子がいた。
「おかえりお兄ちゃん」
お兄ちゃん呼びはやめてほしい。本当に気持ち悪いからさ
「あの。はじめまして沢城桃と言います。怜奈ちゃんのお兄さん優しそう。怜奈ちゃんいつも楽しく話してるもんね納得」
「そんなんじゃないし!それより桃ちゃん今日泊まるけどいいよね?」
「え?『お願いお兄ちゃん』っていつもみたいに頼んだらいいぞ」
「キモッ!いつもやってないし!マジで無理!」
「冗談だろうよ。そんな怒るな。別に構わないぞ。ご自由にどうぞ」
「あと日柳さんも来るけど問題ないよね」
あの天然ちゃんがか。ずいぶん仲良くなったものだ。オレは自室に行きベッドに寝転がる。スマホを見ると着信はなし。もちろんメッセージも返って来ていない。
「……もう聖菜さんとは終わってしまうのかな……」
ふと口から漏れた言葉。オレは天井を見ながら目を瞑った。もうオレには何も出来ないのかな……
どれだけ時間がたっただろうか。いつの間にか眠っていたらしい。外は既に暗くなっていた。スマホを見ると深夜2時と表示されていた。そしてベッドから起き上がると横に柔らかい感触があった。横を見るとそこには日柳花音さんがいた。
「は?なっなんで日柳さんがここに!?」
オレは驚きのあまり声を出してしまう。すると日柳さんはゆっくり起き上がる。
「あ。お兄様。おはようございます」
「何言ってんだよ。今は夜だよ」
「本当ですね。外が真っ暗になっていますね。あまりにも気持ち良さそうに寝ておりましたので。せっかくなら添い寝をと思いまして」
この子は何を言ってるんだ。というか怜奈のやつなにしてんだ?
「とりあえず部屋から出てくれないか?」
「どうしてですか?」
「どうしてもこうしてもないだろ。年頃の女の子が男の部屋にいるなんておかしいだろ」
「あー……つまりお兄様は、私と性的な何かを期待していると言うことでしょうか?私はそういうことに疎いので、出来れば色々教えてくださるならお力になれると思います」
ダメだ。この子のペースに巻き込まれたらおしまいだ。落ち着いて対応しよう。
「日柳さんも泊まりに来たんだろ?なら怜奈の部屋に戻ったほうがいいんじゃないか?」
「先ほどまでお話をしていたのですが、怜奈さんも桃さんも寝てしまいまして」
「なら日柳さんもそのまま寝たほうがいいんじゃない?」
「うん?私は寝てましたけど」
「いやオレの部屋じゃなくて怜奈の部屋でだよ!」
すると日柳さんはニコッと微笑みながら言う。その言葉は今のオレが一番ほしかった言葉なのかもしれない。
「お兄様が……いつもとは違った様子に見えましたので、親友の私としては何とかお力添えをしたいと思いまして?何でも言ってください。私とお兄様は親友ですから」
「日柳さん……」
なんか勝手に友達から親友にランクアップしてるし……。この子は怜奈のクラスメートだ。ただそれだけ。そしてこの子とはまだ2回しか会っていない。それでも、そのヒマワリのような生き生きとした瞳になぜかオレの心は温まるような気がした。
学校の2学期が始まり、3日がたつ。聖菜さんはあれから学校に来ていない。メッセージを送っても既読はするが返事はない。もちろん電話にも出ない。
「聖菜。今日も休みか」
「神坂君。聖菜の家に行ったのよね?」
「行ったけど留守だったよ」
「それは居留守なんじゃないの?本当に何も知らないの神坂君は?」
「……ああ。分からない」
西城さんと東雲さんにそう言われるが、そう答えるしかない。これはオレと聖菜さんの問題だから。
あの時。聖菜さんはオレに『未来を変えたこと』を否定してほしかったんだと思う。ずっと1人で不安だったんだろう。でもオレはそれをしなかった。それは聖菜さんが知ってる未来の出来事を完全に否定する自信がオレにはなかったから……
このまま聖菜さんはオレの前から消えるつもりなのか。それともまた別の何かがあるのか。今のオレには分からなかった。
そして家に帰るとリビングには怜奈と怜奈の女友達らしき子がいた。
「おかえりお兄ちゃん」
お兄ちゃん呼びはやめてほしい。本当に気持ち悪いからさ
「あの。はじめまして沢城桃と言います。怜奈ちゃんのお兄さん優しそう。怜奈ちゃんいつも楽しく話してるもんね納得」
「そんなんじゃないし!それより桃ちゃん今日泊まるけどいいよね?」
「え?『お願いお兄ちゃん』っていつもみたいに頼んだらいいぞ」
「キモッ!いつもやってないし!マジで無理!」
「冗談だろうよ。そんな怒るな。別に構わないぞ。ご自由にどうぞ」
「あと日柳さんも来るけど問題ないよね」
あの天然ちゃんがか。ずいぶん仲良くなったものだ。オレは自室に行きベッドに寝転がる。スマホを見ると着信はなし。もちろんメッセージも返って来ていない。
「……もう聖菜さんとは終わってしまうのかな……」
ふと口から漏れた言葉。オレは天井を見ながら目を瞑った。もうオレには何も出来ないのかな……
どれだけ時間がたっただろうか。いつの間にか眠っていたらしい。外は既に暗くなっていた。スマホを見ると深夜2時と表示されていた。そしてベッドから起き上がると横に柔らかい感触があった。横を見るとそこには日柳花音さんがいた。
「は?なっなんで日柳さんがここに!?」
オレは驚きのあまり声を出してしまう。すると日柳さんはゆっくり起き上がる。
「あ。お兄様。おはようございます」
「何言ってんだよ。今は夜だよ」
「本当ですね。外が真っ暗になっていますね。あまりにも気持ち良さそうに寝ておりましたので。せっかくなら添い寝をと思いまして」
この子は何を言ってるんだ。というか怜奈のやつなにしてんだ?
「とりあえず部屋から出てくれないか?」
「どうしてですか?」
「どうしてもこうしてもないだろ。年頃の女の子が男の部屋にいるなんておかしいだろ」
「あー……つまりお兄様は、私と性的な何かを期待していると言うことでしょうか?私はそういうことに疎いので、出来れば色々教えてくださるならお力になれると思います」
ダメだ。この子のペースに巻き込まれたらおしまいだ。落ち着いて対応しよう。
「日柳さんも泊まりに来たんだろ?なら怜奈の部屋に戻ったほうがいいんじゃないか?」
「先ほどまでお話をしていたのですが、怜奈さんも桃さんも寝てしまいまして」
「なら日柳さんもそのまま寝たほうがいいんじゃない?」
「うん?私は寝てましたけど」
「いやオレの部屋じゃなくて怜奈の部屋でだよ!」
すると日柳さんはニコッと微笑みながら言う。その言葉は今のオレが一番ほしかった言葉なのかもしれない。
「お兄様が……いつもとは違った様子に見えましたので、親友の私としては何とかお力添えをしたいと思いまして?何でも言ってください。私とお兄様は親友ですから」
「日柳さん……」
なんか勝手に友達から親友にランクアップしてるし……。この子は怜奈のクラスメートだ。ただそれだけ。そしてこの子とはまだ2回しか会っていない。それでも、そのヒマワリのような生き生きとした瞳になぜかオレの心は温まるような気がした。
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