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44. いや、これは接客指導だから
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44. いや、これは接客指導だから
私たちはダジュール砂漠を歩き続けている。すると前方に街らしきものが遠くに見えてきた。
「あっ!リンネ様。街が見えてきましたよ~あれがオアシスの街『オベロン』ですかね~?」
フィーナはそう言って前を見るように促す。確かに、前方には小さな集落のような街並みが見える。
私はホッと安堵のため息をつく。これでやっと水分補給ができそうね。
「じゃあ早く行きましょう」
私達は逸る気持ちを抑えつつ早足で街へと向かった。
◇◇◇
「うわぁ……凄い活気ですね~」
「わぁ色々な商品が売ってますよ!」
街の入り口へと辿り着くとそこには沢山の人が集まっていた。そして商人達が客引きをする声や旅人達の会話する声で賑やかな喧騒に包まれている。街の至るところに行商の姿があり、様々な品物が並んでいる。
「お嬢ちゃん達旅をしてるんだろ?このサボテンなんてどうだい?日持ちも良くて美味しいぞ」
「こっちには新鮮な果物があるぜ。食べなきゃ損だぞ?」
「そっちのお姉さんはこの髪飾りなんか似合うんじゃないかい?」
私たちは街の人達に声をかけられながら通りを抜けていく。この街では珍しい格好をしているからか皆物珍しそうな視線を送ってくるけど、すぐに笑顔になり話しかけてくる。
この街の人達はとても気さくな感じがした。きっといい人たちばかりなんだろう。
「さてと、まずは宿屋を探すとしましょうか」
「リンネ様それよりお腹空きました~」
「うん。私もペコペコだよリンネ様!」
フィーナとルチアはお腹を押さえながら歩いている。確かにもう昼過ぎだし何か食べた方がいいかもしれない。
「じゃあどこか食べ物屋を探しましょうか」
「えっ!?どうして!?」
「なによエド?どうかしたの?」
「いや……リンネ様が自分のパン以外食べるなんて……体調でも悪いんですか!?それともボクたちのこと怒ってますか!?」
「……食べるわよ。そのくらい」
本当に失礼やつね。そりゃあ私だってパン以外の食事ぐらいするわよ。一番はもちろん私が作るパンだけど。私たちの旅は基本的に質素倹約をモットーにしているので贅沢はあまりできないから。安いもので済ませたいけど。まぁ……勝手にアイスクリーム食べている奴らもいたけどさ……。
そんなわけで私たちは手分けして食べ物を売っている店を探して回った。しかしどこに行っても美味しそうな匂いが漂っていて迷ってしまう。
「あ~……全部食べたいです~!」
「さすがにフィーナさんでも全部は無理じゃないですかね?ルチアさんは何食べたいですか?」
「私?私は何でも大丈夫だよエドお兄ちゃん」
「えっと……じゃああそこにある串焼きにしませんか?」
「うん。分かった」
エドとルチアは二人で仲良く串焼きを買ってきた。二人とも嬉しそうだ。こう見ると、とても仲睦まじい兄妹には一応見える。とかエドに言ったら怒るのかしらね?
「リンネ様何やってるんですか?」
「んー?別に何も。それよりもフィーナは私のご飯買ってきてくれないかしら?これも仕事だから。頑張って」
「うぅ……リンネ様ひどいですよぉ。人間怖いのに……」
「文句あるの?ならフィーナは食事抜きかしらね?」
「行きます!ひどいです~!鬼!魔女!」
「ピピッ!」
フィーナは涙目になりながらも、ピー助を連れてしぶしぶと歩いていった。まったくしょうがない子ね。これからパン屋をやるなら少しずつなれてもらわないと。
パシリ?いや、これも立派な接客指導だから。
しばらくすると両手いっぱいに串焼きを抱えたフィーナが戻ってきた。
「はい!買ってきましたよ~!」
「……買いすぎ」
「うまく喋れなかったんですよ~!持ってる銀貨をカウンターに出したらこれだけ作ってくれて渡されちゃいました~。でもこのくらいならすぐ食べちゃいますよ!私は魔法使ってたから体力回復したいですし!」
「ピーッ!」
あんたが勝手に魔法を使って、私の言うことを守らなかっただけでしょうに。人のせいにするな。
「それに私はリンネ様と違って蓄えるところがありますし!」
「ああ?なんか言った?」
「ささっ食べましょ!あ~お腹空きました~」
なんかムカつくけど。まぁ。一応買っては来たから許してあげるとするか。私はフィーナの買ってきた串焼きを食べることにする。フィーナはすごく美味しそうにその串焼きを食べていく。結局、本当にあの量をほとんどフィーナが食べた。
幸せそうなフィーナ。まったく、まだまだフィーナの接客練習は必要だわ。私はフィーナの顔を見てそんなことを考えるのだった。
私たちはダジュール砂漠を歩き続けている。すると前方に街らしきものが遠くに見えてきた。
「あっ!リンネ様。街が見えてきましたよ~あれがオアシスの街『オベロン』ですかね~?」
フィーナはそう言って前を見るように促す。確かに、前方には小さな集落のような街並みが見える。
私はホッと安堵のため息をつく。これでやっと水分補給ができそうね。
「じゃあ早く行きましょう」
私達は逸る気持ちを抑えつつ早足で街へと向かった。
◇◇◇
「うわぁ……凄い活気ですね~」
「わぁ色々な商品が売ってますよ!」
街の入り口へと辿り着くとそこには沢山の人が集まっていた。そして商人達が客引きをする声や旅人達の会話する声で賑やかな喧騒に包まれている。街の至るところに行商の姿があり、様々な品物が並んでいる。
「お嬢ちゃん達旅をしてるんだろ?このサボテンなんてどうだい?日持ちも良くて美味しいぞ」
「こっちには新鮮な果物があるぜ。食べなきゃ損だぞ?」
「そっちのお姉さんはこの髪飾りなんか似合うんじゃないかい?」
私たちは街の人達に声をかけられながら通りを抜けていく。この街では珍しい格好をしているからか皆物珍しそうな視線を送ってくるけど、すぐに笑顔になり話しかけてくる。
この街の人達はとても気さくな感じがした。きっといい人たちばかりなんだろう。
「さてと、まずは宿屋を探すとしましょうか」
「リンネ様それよりお腹空きました~」
「うん。私もペコペコだよリンネ様!」
フィーナとルチアはお腹を押さえながら歩いている。確かにもう昼過ぎだし何か食べた方がいいかもしれない。
「じゃあどこか食べ物屋を探しましょうか」
「えっ!?どうして!?」
「なによエド?どうかしたの?」
「いや……リンネ様が自分のパン以外食べるなんて……体調でも悪いんですか!?それともボクたちのこと怒ってますか!?」
「……食べるわよ。そのくらい」
本当に失礼やつね。そりゃあ私だってパン以外の食事ぐらいするわよ。一番はもちろん私が作るパンだけど。私たちの旅は基本的に質素倹約をモットーにしているので贅沢はあまりできないから。安いもので済ませたいけど。まぁ……勝手にアイスクリーム食べている奴らもいたけどさ……。
そんなわけで私たちは手分けして食べ物を売っている店を探して回った。しかしどこに行っても美味しそうな匂いが漂っていて迷ってしまう。
「あ~……全部食べたいです~!」
「さすがにフィーナさんでも全部は無理じゃないですかね?ルチアさんは何食べたいですか?」
「私?私は何でも大丈夫だよエドお兄ちゃん」
「えっと……じゃああそこにある串焼きにしませんか?」
「うん。分かった」
エドとルチアは二人で仲良く串焼きを買ってきた。二人とも嬉しそうだ。こう見ると、とても仲睦まじい兄妹には一応見える。とかエドに言ったら怒るのかしらね?
「リンネ様何やってるんですか?」
「んー?別に何も。それよりもフィーナは私のご飯買ってきてくれないかしら?これも仕事だから。頑張って」
「うぅ……リンネ様ひどいですよぉ。人間怖いのに……」
「文句あるの?ならフィーナは食事抜きかしらね?」
「行きます!ひどいです~!鬼!魔女!」
「ピピッ!」
フィーナは涙目になりながらも、ピー助を連れてしぶしぶと歩いていった。まったくしょうがない子ね。これからパン屋をやるなら少しずつなれてもらわないと。
パシリ?いや、これも立派な接客指導だから。
しばらくすると両手いっぱいに串焼きを抱えたフィーナが戻ってきた。
「はい!買ってきましたよ~!」
「……買いすぎ」
「うまく喋れなかったんですよ~!持ってる銀貨をカウンターに出したらこれだけ作ってくれて渡されちゃいました~。でもこのくらいならすぐ食べちゃいますよ!私は魔法使ってたから体力回復したいですし!」
「ピーッ!」
あんたが勝手に魔法を使って、私の言うことを守らなかっただけでしょうに。人のせいにするな。
「それに私はリンネ様と違って蓄えるところがありますし!」
「ああ?なんか言った?」
「ささっ食べましょ!あ~お腹空きました~」
なんかムカつくけど。まぁ。一応買っては来たから許してあげるとするか。私はフィーナの買ってきた串焼きを食べることにする。フィーナはすごく美味しそうにその串焼きを食べていく。結局、本当にあの量をほとんどフィーナが食べた。
幸せそうなフィーナ。まったく、まだまだフィーナの接客練習は必要だわ。私はフィーナの顔を見てそんなことを考えるのだった。
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