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85. 後輩ちゃんは『旅行』が楽しみです
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85. 後輩ちゃんは『旅行』が楽しみです
そして火曜日。時間は11時。朝配信を終えたオレは鈴町さんとリビングで週末の『ましポん48』の打ち合わせやら準備やらをやっている。すると珍しく遅く起きてきたのか桃姉さんがリビングにやってくる。
「おはよう。朝から仲良いわね?」
「え。あの……その……」
「何が仲良いわね?だよ。ましポんの打ち合わせだろうが」
「そっかそっか。あと4日しかないものね。期待してるわよ颯太、かのんちゃん?」
「は?あと3日だろ?今日は火曜日なんだから。曜日感覚ずれてるぞ桃姉さん」
オレのその言葉を聞いて、みるみる焦りの表情をみせる。あーこの顔は……。この人はいつもこうだ。大事なことを言い忘れて、ギリギリになってから慌てふためくのだ。
「かっ火曜日!?嘘でしょ?ヤバいわよ。どうしよう?まだ何も言ってないんだけど!」
「どっ……どうしたんですか?」
「……いつものことだから放っておいていいよ鈴町さん。どうせ重要な案件とかを伝えるの忘れたとかそういうのだろ?」
まったくこの人のうっかり癖はいつになったら治るのやら。まぁそういうところも含めて、オレの姉なのだから仕方ないけど。
「……ごめん!かのんちゃん!」
「え?」
「明日の19時に公式チャンネルで最近できた温泉宿泊施設の案件の配信があるのよ!しかも泊まりで」
「えええ?……しっ……しかも私ですか?」
今度は鈴町さんが焦りの表情を浮かべている。取材とか鈴町さんにはハードモードすぎるだろ。
「正確には『ましのん』なんだけど、取材とかはかのんちゃんがやるの。公式配信は颯太と一緒で大丈夫なんだけど。だから颯太はマネージャーとして昼間は取材。夜は『姫宮ましろ』としてかのんちゃんと配信する。宿泊する施設、温泉もあるし部屋もいいところだから」
「そういう問題じゃないだろ。週末『ましポん48』だぞ?なんでそんなにスケジュールがタイトなんだよ?」
「仕方ないでしょ。知名度が上がれば上がるほど仕事が増えるの。もう嫌になるくらいにね。それに今世間は夏休みでしょ。少しくらい我慢して」
「しかも泊まりって……」
「ゆっくり休んできなさいよ。あ。部屋は別々だからね?さすがに年頃の男女が同じ部屋に泊まるわけないものね」
そんなこと誰も期待してないが?というより、もし同じ部屋だったとしても別に何かする気はない。……いや本当に。
オレは鈴町さんを見る。彼女はオレと目が合うと顔を赤くして目を逸らす。そんな彼女の態度を見て、オレまで恥ずかしくなり、慌てて彼女から視線を外す。そんなオレ達の様子をニヤニヤしながら見てくる桃姉さん。本当にムカつく。
だが、今は文句を言う暇などなく、ただ明日の準備をするしかない。
「分かったよ。でも取材の間は鈴町さん1人だけど平気?」
「だ……大丈夫です……ましろん先輩が……一緒なら」
オレと一緒だと安心出来るのか?まぁそれならそれでいいんだけれど。
「あっあの……」
「どうかしたか?」
「その……温泉……旅行楽しみです。あっ……あと……卓球やりたいです」
「……そっか。せっかくだし、楽しもうか鈴町さん」
旅行ではないけどな。でも鈴町さんが楽しみならそれでいいか。こうして、オレと鈴町さんは、温泉施設での案件収録が決まったのであった。
そして火曜日。時間は11時。朝配信を終えたオレは鈴町さんとリビングで週末の『ましポん48』の打ち合わせやら準備やらをやっている。すると珍しく遅く起きてきたのか桃姉さんがリビングにやってくる。
「おはよう。朝から仲良いわね?」
「え。あの……その……」
「何が仲良いわね?だよ。ましポんの打ち合わせだろうが」
「そっかそっか。あと4日しかないものね。期待してるわよ颯太、かのんちゃん?」
「は?あと3日だろ?今日は火曜日なんだから。曜日感覚ずれてるぞ桃姉さん」
オレのその言葉を聞いて、みるみる焦りの表情をみせる。あーこの顔は……。この人はいつもこうだ。大事なことを言い忘れて、ギリギリになってから慌てふためくのだ。
「かっ火曜日!?嘘でしょ?ヤバいわよ。どうしよう?まだ何も言ってないんだけど!」
「どっ……どうしたんですか?」
「……いつものことだから放っておいていいよ鈴町さん。どうせ重要な案件とかを伝えるの忘れたとかそういうのだろ?」
まったくこの人のうっかり癖はいつになったら治るのやら。まぁそういうところも含めて、オレの姉なのだから仕方ないけど。
「……ごめん!かのんちゃん!」
「え?」
「明日の19時に公式チャンネルで最近できた温泉宿泊施設の案件の配信があるのよ!しかも泊まりで」
「えええ?……しっ……しかも私ですか?」
今度は鈴町さんが焦りの表情を浮かべている。取材とか鈴町さんにはハードモードすぎるだろ。
「正確には『ましのん』なんだけど、取材とかはかのんちゃんがやるの。公式配信は颯太と一緒で大丈夫なんだけど。だから颯太はマネージャーとして昼間は取材。夜は『姫宮ましろ』としてかのんちゃんと配信する。宿泊する施設、温泉もあるし部屋もいいところだから」
「そういう問題じゃないだろ。週末『ましポん48』だぞ?なんでそんなにスケジュールがタイトなんだよ?」
「仕方ないでしょ。知名度が上がれば上がるほど仕事が増えるの。もう嫌になるくらいにね。それに今世間は夏休みでしょ。少しくらい我慢して」
「しかも泊まりって……」
「ゆっくり休んできなさいよ。あ。部屋は別々だからね?さすがに年頃の男女が同じ部屋に泊まるわけないものね」
そんなこと誰も期待してないが?というより、もし同じ部屋だったとしても別に何かする気はない。……いや本当に。
オレは鈴町さんを見る。彼女はオレと目が合うと顔を赤くして目を逸らす。そんな彼女の態度を見て、オレまで恥ずかしくなり、慌てて彼女から視線を外す。そんなオレ達の様子をニヤニヤしながら見てくる桃姉さん。本当にムカつく。
だが、今は文句を言う暇などなく、ただ明日の準備をするしかない。
「分かったよ。でも取材の間は鈴町さん1人だけど平気?」
「だ……大丈夫です……ましろん先輩が……一緒なら」
オレと一緒だと安心出来るのか?まぁそれならそれでいいんだけれど。
「あっあの……」
「どうかしたか?」
「その……温泉……旅行楽しみです。あっ……あと……卓球やりたいです」
「……そっか。せっかくだし、楽しもうか鈴町さん」
旅行ではないけどな。でも鈴町さんが楽しみならそれでいいか。こうして、オレと鈴町さんは、温泉施設での案件収録が決まったのであった。
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