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76. 文化祭準備
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76. 文化祭準備
文化祭まで一週間。今日も教室で準備をすすめている。この前採寸した衣装も問題なく出来上がった。『貴族喫茶』というテーマなので、みんなそれなりに気合が入ってるみたい。
「うーん……やっぱり難しいなぁ」
あたしは腕組みしながら首を傾げた。目の前には、さっきから何度も書き直したメニュー表がある。でも、これでいいのかどうかわからない。どうしようかなぁ……。そんな時春菜ちゃんがやってくる。
「凛花ちゃん。メニュー表できた?」
「あ、うん。一応ね……」
「見せて見せて!」
そう言って春菜ちゃんはあたしの手からメニュー表をとると、パラパラとめくった。そして一通り目を通すと、にっこりと微笑む。
「うん。いいと思うよ。それ委員長に出しておいて。私はこのあと部活だからさ!お願いね凛花ちゃん!」
「え?ちょっと待ってよぉ」
「じゃ、よろしくぅ~」
春菜ちゃんはそう言うと、足早に去って行った。
「もう……しょうがないなぁ。あたしも部活あるのに……。」
仕方なくあたしは立ち上がると、委員長のもとへ向かった。色々な作業をまとめているので忙しそうだ。
「一ノ瀬さん。これメニュー表なんだけど、どうかな?」
「あら、ありがとう。どれどれ……」
彼女は一ノ瀬恵那(いちのせえな)あたしたちのクラスの学級委員長だ。一ノ瀬さんは眼鏡を少しずらして、メニュー表を見た。それからしばらくすると、ふっと表情を和らげる。
「うん。よくできてるわね。さすが新堂さんだわ。」
「ほんと!?よかったぁ~」
ほっとしたあたしを見て、一ノ瀬さんがくすっと笑みを浮かべた。
「じゃあ後は私に任せてくれるかしら?みんな頑張ってるんだもの。ここは私がやっておくから、新堂さんも部活でしょ?頑張ってね。」
「えっ……いいの?」
「もちろんよ。ほら早く行かないと、部長に怒られるんじゃないの?」
「いや。怒らないと思うけど。結愛先パイは優しい人だし。」
とりあえず一ノ瀬さんに任せてあたしは小説演劇同好会の部室に向かう。部室の扉を開けると、結愛先輩がいきなりあたしに言う。
「遅い。」
その声を聞いてあたしはびくっとなる。見ると結愛先輩は、腕を組んで不機嫌そうな顔をしていた。けど頬が少し膨れてて可愛い。
「えっとごめんなさい。文化祭の準備が少し長引いちゃって。」
「20分も会えなかったじゃない……。」
結愛先パイはそう言ってため息をつく。なんかすごく寂しかったみたい。そんな結愛先パイの姿を見ると、なんだか可愛くて思わず抱きつきたくなっちゃうけど、ぐっと我慢する。だって今は部活中なのだから。
「そんなに怒らないで下さい。ほら、お菓子あげますから!」
そう言ってあたしは鞄の中からクッキーを取り出す。本当は手作りしたいところだけど、時間がないので市販品である。
「私を子供か何かだと思っているの?」
「このクッキー美味しいんですよ。結愛先パイ食べてみてください。」
「とりあえず凛花がくれるならもらうけど……。」
そう言って結愛先パイは一枚手にとって口に運ぶ。そしてサクッとかじると目を輝かせた。ああ……なんて可愛いんだろう。今すぐ抱きしめたいくらいに可愛い。そんな事を思っているうちに、結愛先パイはどんどんクッキーを食べていく。
「まぁ……美味しいんじゃない?」
「それなら良かった。ところで結愛先パイは文化祭の準備大丈夫なんですか?」
「さぁ?」
「さぁって……自分のクラスのことですよ?ちゃんと準備しないとダメですってば。」
あたしの言葉を聞くと、結愛先パイは小さく笑う。結愛先パイはいつも余裕があって大人っぽい感じだけど、たまにこんな風に無邪気な姿を見せてくれるのだ。そういうところがまた凄く魅力的だと思う。
「別にいいのよ……私は文化祭出ないから。」
「えっ!?結愛先パイ文化祭出ないんですか!?」
「えぇ……。面倒だし。それにあまり人が大勢いるのは好きじゃないから。」
「そうなんだ……。あたし結愛先パイと文化祭見て回れると思ってたのに……。」
そう言いながらあたしはしゅんとする。せっかく結愛先パイと一緒に色々見たかったのに……。仕方ないか……。ちょっと残念だけど、結愛先パイが人が多いところは苦手なのは知ってるし。
だからこの前あたしにメイド服着せたのかな?でもあの時は楽しかったなぁ……。結愛先パイがあんなに積極的になるとは思ってなかったし。
って!?何考えてんだあたし!?違う違う!楽しかったのはコスプレしながら写真撮ったり、プリン作ったことだから!変なこと思い出すなよぉ……。あたしが一人で頭を抱えていると、結愛先パイが言った。
「凛花。顔赤いわよ?また変なこと考えてたでしょ?この前のコスプレしながらのエッチとか?」
「えっ……いや……その……それは……その……。」
あたしが口ごもると、結愛先パイはクスリと笑ってあたしの耳元で囁いた。
「結愛お嬢様じゃないわよ?今日はね?」
「知ってますよ!もう!結愛先パイの意地悪!」
文化祭まで残り一週間。頑張って準備をして成功させないとね!
文化祭まで一週間。今日も教室で準備をすすめている。この前採寸した衣装も問題なく出来上がった。『貴族喫茶』というテーマなので、みんなそれなりに気合が入ってるみたい。
「うーん……やっぱり難しいなぁ」
あたしは腕組みしながら首を傾げた。目の前には、さっきから何度も書き直したメニュー表がある。でも、これでいいのかどうかわからない。どうしようかなぁ……。そんな時春菜ちゃんがやってくる。
「凛花ちゃん。メニュー表できた?」
「あ、うん。一応ね……」
「見せて見せて!」
そう言って春菜ちゃんはあたしの手からメニュー表をとると、パラパラとめくった。そして一通り目を通すと、にっこりと微笑む。
「うん。いいと思うよ。それ委員長に出しておいて。私はこのあと部活だからさ!お願いね凛花ちゃん!」
「え?ちょっと待ってよぉ」
「じゃ、よろしくぅ~」
春菜ちゃんはそう言うと、足早に去って行った。
「もう……しょうがないなぁ。あたしも部活あるのに……。」
仕方なくあたしは立ち上がると、委員長のもとへ向かった。色々な作業をまとめているので忙しそうだ。
「一ノ瀬さん。これメニュー表なんだけど、どうかな?」
「あら、ありがとう。どれどれ……」
彼女は一ノ瀬恵那(いちのせえな)あたしたちのクラスの学級委員長だ。一ノ瀬さんは眼鏡を少しずらして、メニュー表を見た。それからしばらくすると、ふっと表情を和らげる。
「うん。よくできてるわね。さすが新堂さんだわ。」
「ほんと!?よかったぁ~」
ほっとしたあたしを見て、一ノ瀬さんがくすっと笑みを浮かべた。
「じゃあ後は私に任せてくれるかしら?みんな頑張ってるんだもの。ここは私がやっておくから、新堂さんも部活でしょ?頑張ってね。」
「えっ……いいの?」
「もちろんよ。ほら早く行かないと、部長に怒られるんじゃないの?」
「いや。怒らないと思うけど。結愛先パイは優しい人だし。」
とりあえず一ノ瀬さんに任せてあたしは小説演劇同好会の部室に向かう。部室の扉を開けると、結愛先輩がいきなりあたしに言う。
「遅い。」
その声を聞いてあたしはびくっとなる。見ると結愛先輩は、腕を組んで不機嫌そうな顔をしていた。けど頬が少し膨れてて可愛い。
「えっとごめんなさい。文化祭の準備が少し長引いちゃって。」
「20分も会えなかったじゃない……。」
結愛先パイはそう言ってため息をつく。なんかすごく寂しかったみたい。そんな結愛先パイの姿を見ると、なんだか可愛くて思わず抱きつきたくなっちゃうけど、ぐっと我慢する。だって今は部活中なのだから。
「そんなに怒らないで下さい。ほら、お菓子あげますから!」
そう言ってあたしは鞄の中からクッキーを取り出す。本当は手作りしたいところだけど、時間がないので市販品である。
「私を子供か何かだと思っているの?」
「このクッキー美味しいんですよ。結愛先パイ食べてみてください。」
「とりあえず凛花がくれるならもらうけど……。」
そう言って結愛先パイは一枚手にとって口に運ぶ。そしてサクッとかじると目を輝かせた。ああ……なんて可愛いんだろう。今すぐ抱きしめたいくらいに可愛い。そんな事を思っているうちに、結愛先パイはどんどんクッキーを食べていく。
「まぁ……美味しいんじゃない?」
「それなら良かった。ところで結愛先パイは文化祭の準備大丈夫なんですか?」
「さぁ?」
「さぁって……自分のクラスのことですよ?ちゃんと準備しないとダメですってば。」
あたしの言葉を聞くと、結愛先パイは小さく笑う。結愛先パイはいつも余裕があって大人っぽい感じだけど、たまにこんな風に無邪気な姿を見せてくれるのだ。そういうところがまた凄く魅力的だと思う。
「別にいいのよ……私は文化祭出ないから。」
「えっ!?結愛先パイ文化祭出ないんですか!?」
「えぇ……。面倒だし。それにあまり人が大勢いるのは好きじゃないから。」
「そうなんだ……。あたし結愛先パイと文化祭見て回れると思ってたのに……。」
そう言いながらあたしはしゅんとする。せっかく結愛先パイと一緒に色々見たかったのに……。仕方ないか……。ちょっと残念だけど、結愛先パイが人が多いところは苦手なのは知ってるし。
だからこの前あたしにメイド服着せたのかな?でもあの時は楽しかったなぁ……。結愛先パイがあんなに積極的になるとは思ってなかったし。
って!?何考えてんだあたし!?違う違う!楽しかったのはコスプレしながら写真撮ったり、プリン作ったことだから!変なこと思い出すなよぉ……。あたしが一人で頭を抱えていると、結愛先パイが言った。
「凛花。顔赤いわよ?また変なこと考えてたでしょ?この前のコスプレしながらのエッチとか?」
「えっ……いや……その……それは……その……。」
あたしが口ごもると、結愛先パイはクスリと笑ってあたしの耳元で囁いた。
「結愛お嬢様じゃないわよ?今日はね?」
「知ってますよ!もう!結愛先パイの意地悪!」
文化祭まで残り一週間。頑張って準備をして成功させないとね!
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