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第6章 使用人とメイドさんと大切な約束
56. メイドさんと嘘
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56. メイドさんと嘘
そして翌日。私は今、王都ロンダルムの噴水広場にいる。待ち合わせの時間より早く着き、ベンチで休憩しながら空を見上げている。
一応デートという名目だから、いつもよりオシャレに着飾ってみたけど……。大丈夫かな?変じゃないよね?
そう言えばメイド服姿以外でカイル君と会うのは初めてかも知れない。……カイル君、褒めてくれるかなぁ。って何考えてるんだろ。カイル君が好きなのはエルナリア様なのに。でもせっかくだから褒めて欲しいよね、私は女の子だし。
そんな事を考えながらぼーっとしていると、誰かに声をかけられた気がして振り向く。そこには少し息を切らしたカイル君の姿があった。
「お、おはようございます!」
「おはようカイル君」
カイル君は私の姿を上から下まで見たあと、いつものように胸の辺りをガン見し始める。今日はメイド服じゃないから、露出少なめだけど?というか、服装の感想はないのかな?もしかして似合ってない?少し……ショックかも……。
「あのマリアさん。今日の服装よく似合ってますね……」
「本当?ありがとう。私服を見せるの初めてだもんね」
良かった。ちゃんと見てくれていたみたいだ。それにしても私服姿を褒めてくれただけなのに、凄い嬉しいな。それがいくらカイル君だとしても嬉しい。
「あの、そろそろ行きましょうか?」
「うん。楽しみだね」
私の横を歩くカイル君。こうして並んで歩いていると周りからはやはりカップルに見えるのかな……。なんて考えてしまう。それはそれで複雑だけどさ。
「ねぇカイル君?雑貨屋に行かなくていいの?」
「え?あー……その……雑貨屋は最後に行きましょう!」
「ふぅん……そうなんだ」
まぁ今日はカイル君のデートプランに任せるか。もしかしたら今日付き合ったお礼に先に私をもてなそうとしているのかな?
そして、しばらく王都の街並みを楽しんだあと、昼食をとるためにレストランに入る。料理がくるまで何気ない会話をするけど、私はずっと気になって仕方ないから思い切って聞いてみることにする。だってこんな短い期間でエルナリア様と好き同士になるなんておかしいよ。
「カイル君。あのさ……どこが好きなのかな?」
「え?」
「隠さないでいいよ。もう私、気づいてるから。カイル君一人っ子だよね?そんな嘘までついて。昨日から私ずっと考えちゃって。聞かないようにしようと思ったんだけど……」
するとカイル君は顔を赤くする。やっぱり好き同士なのは間違いないみたい。
「マリアさん、ごめんなさい!別に隠そうとしたつもりはなかったんです!ただちょっと照れ臭かったというか……なんと言うか……」
「ううん。私こそごめんね。もっと早く気づくべきだったよね」
「いえ、全然大丈夫です!むしろ気づかれないようにしていたつもりだったんですけど……」
「やっぱりそうだったんだ……それでどこが好きなのかな?」
「それは……全部です。そして一目惚れです!」
あー納得かな一目惚れなら。別に謝らなくてもいいんだけど、少しくらいは相談して欲しかったな。カイル君とは一緒にいることが増えたし。
「それなら最初から教えてくれれば良かったのに」
「すいません……」
「謝らないで。私は嬉しいよ。言ってくれて。カイル君の気持ちわかってたはずなのに知らないふりしてて。本当にごめんね」
「いいんですよ。オレも言う勇気がなかっただけですし……」
「幸せだね。そんなに想っていてくれて」
すごく幸せそうな顔をしているカイル君。この顔を見ると心の底から応援したくなる。きっとエルナリア様も幸せだよね。
「エルナリア様は貴族令嬢だけど、カイル君のこと気に入ってるみたいだし。良かったね」
「へ?エルナリア様?」
「うん。カイル君エルナリア様のこと好きなんだよね?」
「はい?」
カイル君はポカーンとしている。ん?なんか話が噛み合わないぞ?どうなってるの?私の勘違い?でも一目惚れって言ってるよね?
「いやいやいや!違いますよ!」
「えっそうなの?でも2人はすごく仲良さそうだし……」
「どこがですか!?いつも魔法で殺されかけてますよ!?それにオレには他に好きな人がいますから!」
「そうなの?わざわざ嘘までついて雑貨屋でプレゼント買おうとしてたから……勘違いしちゃった。ごめんカイル君。ん?じゃあ雑貨屋で何を買うのかな?」
……あっ!そういう事か!カイル君はきっと女の子っぽい何かを雑貨屋で買いたいんだね。でも買うのは恥ずかしくて嘘をついたのかぁ。うん。可愛いところあるじゃないか。話がやっと理解できた。それならカイル君が一目惚れした雑貨を買いに行かないとね!
そして翌日。私は今、王都ロンダルムの噴水広場にいる。待ち合わせの時間より早く着き、ベンチで休憩しながら空を見上げている。
一応デートという名目だから、いつもよりオシャレに着飾ってみたけど……。大丈夫かな?変じゃないよね?
そう言えばメイド服姿以外でカイル君と会うのは初めてかも知れない。……カイル君、褒めてくれるかなぁ。って何考えてるんだろ。カイル君が好きなのはエルナリア様なのに。でもせっかくだから褒めて欲しいよね、私は女の子だし。
そんな事を考えながらぼーっとしていると、誰かに声をかけられた気がして振り向く。そこには少し息を切らしたカイル君の姿があった。
「お、おはようございます!」
「おはようカイル君」
カイル君は私の姿を上から下まで見たあと、いつものように胸の辺りをガン見し始める。今日はメイド服じゃないから、露出少なめだけど?というか、服装の感想はないのかな?もしかして似合ってない?少し……ショックかも……。
「あのマリアさん。今日の服装よく似合ってますね……」
「本当?ありがとう。私服を見せるの初めてだもんね」
良かった。ちゃんと見てくれていたみたいだ。それにしても私服姿を褒めてくれただけなのに、凄い嬉しいな。それがいくらカイル君だとしても嬉しい。
「あの、そろそろ行きましょうか?」
「うん。楽しみだね」
私の横を歩くカイル君。こうして並んで歩いていると周りからはやはりカップルに見えるのかな……。なんて考えてしまう。それはそれで複雑だけどさ。
「ねぇカイル君?雑貨屋に行かなくていいの?」
「え?あー……その……雑貨屋は最後に行きましょう!」
「ふぅん……そうなんだ」
まぁ今日はカイル君のデートプランに任せるか。もしかしたら今日付き合ったお礼に先に私をもてなそうとしているのかな?
そして、しばらく王都の街並みを楽しんだあと、昼食をとるためにレストランに入る。料理がくるまで何気ない会話をするけど、私はずっと気になって仕方ないから思い切って聞いてみることにする。だってこんな短い期間でエルナリア様と好き同士になるなんておかしいよ。
「カイル君。あのさ……どこが好きなのかな?」
「え?」
「隠さないでいいよ。もう私、気づいてるから。カイル君一人っ子だよね?そんな嘘までついて。昨日から私ずっと考えちゃって。聞かないようにしようと思ったんだけど……」
するとカイル君は顔を赤くする。やっぱり好き同士なのは間違いないみたい。
「マリアさん、ごめんなさい!別に隠そうとしたつもりはなかったんです!ただちょっと照れ臭かったというか……なんと言うか……」
「ううん。私こそごめんね。もっと早く気づくべきだったよね」
「いえ、全然大丈夫です!むしろ気づかれないようにしていたつもりだったんですけど……」
「やっぱりそうだったんだ……それでどこが好きなのかな?」
「それは……全部です。そして一目惚れです!」
あー納得かな一目惚れなら。別に謝らなくてもいいんだけど、少しくらいは相談して欲しかったな。カイル君とは一緒にいることが増えたし。
「それなら最初から教えてくれれば良かったのに」
「すいません……」
「謝らないで。私は嬉しいよ。言ってくれて。カイル君の気持ちわかってたはずなのに知らないふりしてて。本当にごめんね」
「いいんですよ。オレも言う勇気がなかっただけですし……」
「幸せだね。そんなに想っていてくれて」
すごく幸せそうな顔をしているカイル君。この顔を見ると心の底から応援したくなる。きっとエルナリア様も幸せだよね。
「エルナリア様は貴族令嬢だけど、カイル君のこと気に入ってるみたいだし。良かったね」
「へ?エルナリア様?」
「うん。カイル君エルナリア様のこと好きなんだよね?」
「はい?」
カイル君はポカーンとしている。ん?なんか話が噛み合わないぞ?どうなってるの?私の勘違い?でも一目惚れって言ってるよね?
「いやいやいや!違いますよ!」
「えっそうなの?でも2人はすごく仲良さそうだし……」
「どこがですか!?いつも魔法で殺されかけてますよ!?それにオレには他に好きな人がいますから!」
「そうなの?わざわざ嘘までついて雑貨屋でプレゼント買おうとしてたから……勘違いしちゃった。ごめんカイル君。ん?じゃあ雑貨屋で何を買うのかな?」
……あっ!そういう事か!カイル君はきっと女の子っぽい何かを雑貨屋で買いたいんだね。でも買うのは恥ずかしくて嘘をついたのかぁ。うん。可愛いところあるじゃないか。話がやっと理解できた。それならカイル君が一目惚れした雑貨を買いに行かないとね!
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