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水魔法が使える者が振り返る学園!

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藤宮梓は『天才』という言葉が大嫌いである。自分も天才というレッテルを貼られていたから。
藤宮の家はとても厳しかった。遊ぶ暇なんてこれっぽっちも無かった。
頭の良い私立の幼稚園に行って、家に帰れば参考書の山。終わるまで寝かしてはくれなかった。
「勉強なんて大嫌いだ。」
藤宮は呟いていた。皆が言うような勉強きらーい。みたいなのとはレベルが違う。
夏休みは何より酷だった。
幼稚園の宿題で手一杯だと言うのに平日のノルマもこなさなければならない。
「何でこんなことしなくちゃ行けないんだろう……。」
「ちょっと梓!何手を止めてるの!!早く勉強なさい!」
「分かってる。」
もう嫌だ。そう思いながら夜中は泣いていた。ただひたすらに………。
ある日、母親に反抗しようと水をぶちまけた事が始まりだった。その時、母親があり得ない速度で壁に飛んでいった。藤宮は訳が分からなかった。こんなことしたかった訳じゃ無かったから。涙が出てきた。それすらも今の藤宮には武器だったと知るのはもう少し後。
「もう止めなさい。今なら私が救える。」
「うるさいうるさいうるさい!」
藤宮自身にも止め方は分からなかった。
「あまり使いたく無かったが…。『アンチ』」
その瞬間に藤宮の暴走は止まった。一瞬の出来事だった。
「私の学園に連れていく。拒否権はない。では。」
母親は困惑していたが無視してその男は去っていった。
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