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始まり
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「どうぞこちらへ」
茶々さんに促されるまま学園の寮だという建物の廊下を歩く。アンティーク調の彫物が施された壁に感嘆の溜息をつきながら後をついていく。
さっきまでいた学園の装飾も凄かったけど、ここのもなかなか……。
ワインレッドの絨毯がひき詰められた床。その両脇には一定の距離で大きな二つ扉が並んでいた。この扉の奥が生徒達の過ごす部屋なんだろう。いかにも女が好きそうな感じの建物だ。
「山梨さんのお部屋は奥になります。全生徒個室になりますので、ゆっくりおやすみ下さい」
「ありがとうございます」
廊下の突き当たり、クリーム色の扉の前に立つと茶々さんが懐から1枚のカードを取り出しドアノブの上に取り付けられた黒い掌大の機械にかざす。
すると、ジーッと機械音が数秒なったあとカチャリと鍵が解錠される音が聞こえた。
「部屋の入口、寮への入口、学園の入口は全てカードキーになっています。このカード1枚で全てまかなえる形になっていますので」
「はい」
「あとこのカードキーが貴方のこの学園での身分証になります。所謂学生証ですね。学生証と言ってもこのカード1枚で学園内に設置してある自販機やレストラン、購買などで物を買ったり食事をする時の支払いをするクレジットの役割も果たします。なので無くさないよう気を付けて下さいね」
「クレジットって、そのお金はどこから?」
まさかそれも借金に加算されるんじゃ……。
訝しげな目で受け取ったカードキーを表、裏、左右と見ていると俺の言いたい事に気が付いたのか茶々さんが「ああ」と手を叩いた。
「大丈夫ですよ。山梨さんのこの学園での衣食住に関する費用は全て日和さんのポケットマネーから支払われます。ご安心ください」
ポケットマネーって。
「そんな高校生にお金を出させるなんて」
「高校生ですがこの学園の理事長でもあります。一生徒の生活費くらいわけありませんよ」
「そうでしょうけど…………」
でも一応大学生としてはそんな高校生に払ってもらうなんてちょっと。いや、かなり後ろめたいというかなんというか。まぁ言っても大学なんてとっくに辞めちまって今はただのプータローではあるんだが。
うーうーと悩んでいると、ふいに茶々さんがポツリと
「1億5千500万」
「え?」
「この学園で幼稚舎から大卒までにかかる学費及び寮費です」
「はい!?」
「この学園は芸能人としての教養は元より社会人としての礼節等も授業に組み込んで生徒に教えています。中には芸能人にする気はないが一つの教養を習得する場として当学園に子供を入学させる親もいるのです。その家柄もピンからキリではありますが……払えますか? 今の貴方に」
勿論、そんな大金逆立ちしても払えるわけが無い。あえてそれは言わず無言になる事で答える。
「この学園の中では貴方は生徒、日和さんは理事長です。我々運営側からすれば生徒は育むべき存在。そこに年齢は関係ないんですよ。例え年下で未成年で高校生だとしても彼がこの学園という会社の社長である限りは」
「……はあ」
「貴方は何も心配せず日和さんとの約束を果たす事だけ考えて下さい」
それだけいうと、茶々さんはそれでは、と踵を返し元来た廊下を歩き去っていく。その後ろ姿を見送った後、俺は軽く溜息を吐いて自室だと与えられた部屋の扉をあけた__。
茶々さんに促されるまま学園の寮だという建物の廊下を歩く。アンティーク調の彫物が施された壁に感嘆の溜息をつきながら後をついていく。
さっきまでいた学園の装飾も凄かったけど、ここのもなかなか……。
ワインレッドの絨毯がひき詰められた床。その両脇には一定の距離で大きな二つ扉が並んでいた。この扉の奥が生徒達の過ごす部屋なんだろう。いかにも女が好きそうな感じの建物だ。
「山梨さんのお部屋は奥になります。全生徒個室になりますので、ゆっくりおやすみ下さい」
「ありがとうございます」
廊下の突き当たり、クリーム色の扉の前に立つと茶々さんが懐から1枚のカードを取り出しドアノブの上に取り付けられた黒い掌大の機械にかざす。
すると、ジーッと機械音が数秒なったあとカチャリと鍵が解錠される音が聞こえた。
「部屋の入口、寮への入口、学園の入口は全てカードキーになっています。このカード1枚で全てまかなえる形になっていますので」
「はい」
「あとこのカードキーが貴方のこの学園での身分証になります。所謂学生証ですね。学生証と言ってもこのカード1枚で学園内に設置してある自販機やレストラン、購買などで物を買ったり食事をする時の支払いをするクレジットの役割も果たします。なので無くさないよう気を付けて下さいね」
「クレジットって、そのお金はどこから?」
まさかそれも借金に加算されるんじゃ……。
訝しげな目で受け取ったカードキーを表、裏、左右と見ていると俺の言いたい事に気が付いたのか茶々さんが「ああ」と手を叩いた。
「大丈夫ですよ。山梨さんのこの学園での衣食住に関する費用は全て日和さんのポケットマネーから支払われます。ご安心ください」
ポケットマネーって。
「そんな高校生にお金を出させるなんて」
「高校生ですがこの学園の理事長でもあります。一生徒の生活費くらいわけありませんよ」
「そうでしょうけど…………」
でも一応大学生としてはそんな高校生に払ってもらうなんてちょっと。いや、かなり後ろめたいというかなんというか。まぁ言っても大学なんてとっくに辞めちまって今はただのプータローではあるんだが。
うーうーと悩んでいると、ふいに茶々さんがポツリと
「1億5千500万」
「え?」
「この学園で幼稚舎から大卒までにかかる学費及び寮費です」
「はい!?」
「この学園は芸能人としての教養は元より社会人としての礼節等も授業に組み込んで生徒に教えています。中には芸能人にする気はないが一つの教養を習得する場として当学園に子供を入学させる親もいるのです。その家柄もピンからキリではありますが……払えますか? 今の貴方に」
勿論、そんな大金逆立ちしても払えるわけが無い。あえてそれは言わず無言になる事で答える。
「この学園の中では貴方は生徒、日和さんは理事長です。我々運営側からすれば生徒は育むべき存在。そこに年齢は関係ないんですよ。例え年下で未成年で高校生だとしても彼がこの学園という会社の社長である限りは」
「……はあ」
「貴方は何も心配せず日和さんとの約束を果たす事だけ考えて下さい」
それだけいうと、茶々さんはそれでは、と踵を返し元来た廊下を歩き去っていく。その後ろ姿を見送った後、俺は軽く溜息を吐いて自室だと与えられた部屋の扉をあけた__。
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