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出会い
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しゅん……と肩を落としてしまう水岸がなんとなく可哀想に思えて「別にそこまで言わなくても」なんて助け舟を出してみるが「あんたは黙ってなさい!」と一喝されてしまう。
そこで「はい……」なんて退く俺も俺なんだけど。
「まったく……。あ、そう言えばさかえちゃんとは初めましてよねあんた」
思い出した様に俺と水岸を交互に見ながらポンッと手を叩く。すると下を向いていた水岸が顔をあげて「うん」と大きく頷いた。
「マネージャー科の山梨さかえちゃん。あたしのお友達なの」
なんか今更感満載だけど、せっかくだしとペコリと軽く頭をさげて「初めまして」手を差し出せば、何故か水岸はその掌ではなく俺を見つめたまま「マネージャー科……」とポツリ呟く。
それに首をかしげ「え?」と声をあげれば、
「あ、いいえ。初めまして水岸弦です」
と慌てて握手を返して来た。
「弦とはねぇ、入学式の時に運命の出会いをしてからのお付き合いなの」
「運命の出会い?」
なんだそりゃ、とケタケタ笑い声をもらせば恵が「ええそうよ」と頬に手をあて笑む。
「あたしが初めて抱きしめた男なの」
さらっと言われた言葉に、はい? と眉を跳ねれば、繕う様に水岸が「違いますから!」と両手を顔の前でパタパタ降る。
「木本くん、変な誤解生むような言い方しないでもらえないかな」
「あら、ほんとの事じゃない。この広い肩幅。スラッと伸びた手足。まさにあたし好みの身体してんのよねぇ弦って。衣装の作りがいがあるっての?」
「あーそういう……」
「弦がアイドルデビューする時はあたしがスタイリストでスタッフに入るって約束なのよね」
え、まだ卵なのか?
「俺てっきり……」
「一応アイドル科の修業課程は全部終わってるんです。あとは理事長に卒業認定をしてもらって、半年後にある所属オーディションをパスしたら、って感じで」
「へぇそうなんだ」
さっきの見てた限りじゃ結構人気ありそうな感じなのにそれでも無理なのか。ゲイノウジンって大変なんだなぁ。
「でもねぇ、こいつもこいつで一つだけ最終問題があってさ」
「最終問題?」
「こいつも担当マネージャーがまだ見つかってないのよ。芸能科の学生はマネージャー科と同じで自分をプロデュースしてくれる担当マネージャーを見つけなきゃなんないのよ」
「そうなのか?」
それは初耳だと驚いて見せれば「ちゃんと校則読みなさい」と叱咤されてしまた。
ルート学園にもちゃんと他の学校の様に規則が存在する。まぁ当たり前なんだろうけど、俺が卒業した高校よりもどちらかといえば緩い内容の様で制服さえちゃんと着れば髪色・髪型にアクセサリー類などの身に付ける物に関してはとことん自由らしい。
一応アイドルや俳優といった芸能人を育てる機関なだけあって、ファッション性は生徒個々の趣味に委ねてるんだとか。
それは一応校則規定として1番最初のページに書かれていたから読んだぞ、うん。だけど5ページ目に行った辺りから記憶が…………。
苦笑いを浮かべたまま黙り込んでしまった俺に、恵が仕方ないわねぇと一つため息。
「アイドルも俳優も、芸の世界を志す者はオンリーワンであってはならないってのがこの学校の教えなのよ」
「オンリーワンって、ただ一つのって意味だろ? なんでダメなんだよ」
ただ一つを極める人間、であってはならないってことか?
「何をするにしても、1人の力じゃ何も出来ないって教えです」
はい、と挙手しながら水岸が会話に加わってくる。
「テレビひとつ出るにしても、プロデューサー・スタッフ・構成作家・テレビ局・事務所スタッフその他色んな人が手伝ってくれているからこそ番組が出来上がる。僕らアイドルや俳優はその中のピースの一つにしかならないのだから己をオンリーワンだとおごるなかれ、が阿蘇理事長の教えなんですよ」
「スタッフを大事に出来ない芸能人がスタッフに大事にされると思うなよってね」
「へぇ…………」
相変わらず大人じみた事いうやつだなあいつ……なんて感心してみたり。
「だからナンバーワンになってもオンリーワンにはなるなって事。その為にはまず、学生のうちからスタッフを大事にする事を覚える為にパートナー制度がこの学校にはあるのよ」
そこで「はい……」なんて退く俺も俺なんだけど。
「まったく……。あ、そう言えばさかえちゃんとは初めましてよねあんた」
思い出した様に俺と水岸を交互に見ながらポンッと手を叩く。すると下を向いていた水岸が顔をあげて「うん」と大きく頷いた。
「マネージャー科の山梨さかえちゃん。あたしのお友達なの」
なんか今更感満載だけど、せっかくだしとペコリと軽く頭をさげて「初めまして」手を差し出せば、何故か水岸はその掌ではなく俺を見つめたまま「マネージャー科……」とポツリ呟く。
それに首をかしげ「え?」と声をあげれば、
「あ、いいえ。初めまして水岸弦です」
と慌てて握手を返して来た。
「弦とはねぇ、入学式の時に運命の出会いをしてからのお付き合いなの」
「運命の出会い?」
なんだそりゃ、とケタケタ笑い声をもらせば恵が「ええそうよ」と頬に手をあて笑む。
「あたしが初めて抱きしめた男なの」
さらっと言われた言葉に、はい? と眉を跳ねれば、繕う様に水岸が「違いますから!」と両手を顔の前でパタパタ降る。
「木本くん、変な誤解生むような言い方しないでもらえないかな」
「あら、ほんとの事じゃない。この広い肩幅。スラッと伸びた手足。まさにあたし好みの身体してんのよねぇ弦って。衣装の作りがいがあるっての?」
「あーそういう……」
「弦がアイドルデビューする時はあたしがスタイリストでスタッフに入るって約束なのよね」
え、まだ卵なのか?
「俺てっきり……」
「一応アイドル科の修業課程は全部終わってるんです。あとは理事長に卒業認定をしてもらって、半年後にある所属オーディションをパスしたら、って感じで」
「へぇそうなんだ」
さっきの見てた限りじゃ結構人気ありそうな感じなのにそれでも無理なのか。ゲイノウジンって大変なんだなぁ。
「でもねぇ、こいつもこいつで一つだけ最終問題があってさ」
「最終問題?」
「こいつも担当マネージャーがまだ見つかってないのよ。芸能科の学生はマネージャー科と同じで自分をプロデュースしてくれる担当マネージャーを見つけなきゃなんないのよ」
「そうなのか?」
それは初耳だと驚いて見せれば「ちゃんと校則読みなさい」と叱咤されてしまた。
ルート学園にもちゃんと他の学校の様に規則が存在する。まぁ当たり前なんだろうけど、俺が卒業した高校よりもどちらかといえば緩い内容の様で制服さえちゃんと着れば髪色・髪型にアクセサリー類などの身に付ける物に関してはとことん自由らしい。
一応アイドルや俳優といった芸能人を育てる機関なだけあって、ファッション性は生徒個々の趣味に委ねてるんだとか。
それは一応校則規定として1番最初のページに書かれていたから読んだぞ、うん。だけど5ページ目に行った辺りから記憶が…………。
苦笑いを浮かべたまま黙り込んでしまった俺に、恵が仕方ないわねぇと一つため息。
「アイドルも俳優も、芸の世界を志す者はオンリーワンであってはならないってのがこの学校の教えなのよ」
「オンリーワンって、ただ一つのって意味だろ? なんでダメなんだよ」
ただ一つを極める人間、であってはならないってことか?
「何をするにしても、1人の力じゃ何も出来ないって教えです」
はい、と挙手しながら水岸が会話に加わってくる。
「テレビひとつ出るにしても、プロデューサー・スタッフ・構成作家・テレビ局・事務所スタッフその他色んな人が手伝ってくれているからこそ番組が出来上がる。僕らアイドルや俳優はその中のピースの一つにしかならないのだから己をオンリーワンだとおごるなかれ、が阿蘇理事長の教えなんですよ」
「スタッフを大事に出来ない芸能人がスタッフに大事にされると思うなよってね」
「へぇ…………」
相変わらず大人じみた事いうやつだなあいつ……なんて感心してみたり。
「だからナンバーワンになってもオンリーワンにはなるなって事。その為にはまず、学生のうちからスタッフを大事にする事を覚える為にパートナー制度がこの学校にはあるのよ」
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