23 / 23
阿蘇日和という子供
23
しおりを挟む
それは突然だった。
ジリリリリリリ、とけたたましくなる目覚まし時計の音で浮上を始める意識に「う~……」と唸りながら瞼をこする。
朝、か……。
今日は日曜日。学校も休みだし、惰眠を貪るのが本日の予定だった。
もっかい寝よう、目覚ましの停止ボタン押して布団に潜り直した時だ。
「まだ寝るつもりか。いい加減起きろ」
…………はい?
寮の部屋は個室だ。勿論昨夜誰かを泊めた覚えもないし、ましてや泊まりにくる友人もいない俺はハタリ、と動きを止めた。
「休みだかって眠ってばかりいたらすぐ太るぞ。歳を考えろオッサン」
「……っれがオッサンだこのクソガキ!」
俺はまだ19だ!! と怒鳴りながら飛び起きれば、白いワンピースを纏った美少女がスラリとした足を組んで椅子に腰掛ける姿が視界に映る。
「……なに、やってんだ人の部屋で」
さも当たり前な質問を美少女……もとい阿蘇さんに投げ掛ける。
黒くさらりとした長い髪。色白の肌。調った人形のような顔をしたまるで絵画から飛び出してきた様なその美少女は、女装をした阿蘇日和、その人だった。
ベッドから降りると大きなあくびをしながら優雅にお茶を飲む阿蘇さんの元へと近付いた。
彼が座る横の丸テーブルの上には、なんかのテレビで見たことある三段トレーが置かれていて、その重なるお皿にはサンドイッチにミニサラダ、数枚のクッキーがもられていた。
こんなこんだ朝飯、誰が用意したかなんて想像するのは安易だ。
「美味しいぞ。お前も食べるか?」
はい、と一口大のサンドイッチを差し出され引き攣る俺の口端。
「そんなハイカラなもん朝っぱらから食えるか。男なら米食え米!」
「ジジくさい事言う奴だな……」
まぁいいけど、と行き場の失ったサンドイッチを自分の口へと放り込んだ。
「それでぇ? 理事長さまはなんで俺の部屋で優雅にモーニングなんてなさってるのでしょうか。しかもそのカッコ」
向かいの椅子にどさっと腰を下ろすと、嫌味をたっぷり込めて問う。しかも女装なんぞしやがって。ここは男子寮だぞ、誰かが見てて変な噂立てられたらどうすんだ。
「これは外出用だ。学園の外に出る時はいつもこの姿をする約束なんだ。今日はこの後事務所で会議がある」
「約束ぅ? 誰とだよ」
「親父」
「は? なに、なんで?」
父親が息子に女装強要ってどんな家庭だよ。
「公私混同をわけるため、だとさ。男の姿でいる時の僕はルート学園の一生徒、ただの高校生だ。この姿でいる時は学園理事長兼ルートプロダクションのマネジメントプロデューサー。その役職を決めたのは親父だけど、自分の息子に親の七光りで業務を任せてるなんて思われたくないんだろ」
ただの見栄だよ見栄。迷惑この上ない。
忌々しそうに言い捨てて茶を啜る。本当にこいつ16のガキか? 言うことなすこと全部俺のイメージする高校生と掛け離れすぎてる。
俺がこれくらいの時なんて、バイクとか女の話しかしなかったもんだけど。むしろこいつそんな話をする友人とかいるんだろうか。そう思って想像してみるけど、同じ年頃の奴に囲まれてる姿より茶々さんを隣に控えさせて難しい顔して書類の束と睨み合いしてる姿の方がしっくりくる。
そういや、俺こいつの学園生活見たことなかったなぁなんて。
「……俺もそれ、食っていい?」
指さした先には、さっき阿蘇さんに勧められたサンドイッチ。突然の申し出に彼は「さっきは米食えとか言ったくせに」と文句をいいながらほらよと一切れ渡してくれる。ついでだ、と紅茶つきで。
もらったサンドイッチはキュウリとトマトが挟まれた質素なものだったけど、ふわりとしたパンの感触と程よくきいたからしが個人的に好みの味で、もう一個と皿からとってパクリとかぶりついた。
「そういや、さっきの続きなんだけどさ」
ごくり、と飲み込んでからそう口をひらく。
「俺になんか用あったんじゃないのか?」
「用?」
「わざわざ部屋に入り込んで起きるの待ってたんだ。ただ朝飯を一緒に食べようと思った、なんてふざけた理由じゃないだろ」
もしかして返済金の話だろうか、と内心ドキドキしながら相手の返事を待つ。だけど阿蘇さんはパチクリと瞳を瞬かせ
「その通りだが?」
「はい?」
「今日は久し振りに昼からのスケジュールだったから、たまには誰かと朝御飯を食べようと思った。誰を誘おうかって考えてたらちょうどお前の顔が浮かんだんだ」
だからしゅうたろうに鍵をあけさせてここに食事を用意させた、と普通にいうもんだから俺はぽかんと開いた口を閉めるのを忘れ阿蘇さんを見つめた。
「あの、さ。普通、人の部屋に勝手に入らないだろ」
しかも勝手に朝飯の用意とか。しかも人の部屋に。
お前は付き合いはじめの彼女か!
……いや、流石にそれは言わないでおこう、うん。
「まずはほら、電話なりなんなり連絡入れてさ。そんで時間決めて待ち合わせしてってのが普通だと思うんだけど」
「なんでそんな時間かかることをする必要があるんだ。相手の部屋か自分の部屋に用意して招いた方が早いじゃないか」
そんな無駄な事するのかお前は、と返される。至極不思議そうな顔をされて。
「無駄ってか、いくら友達だからっていきなり自分の部屋に勝手に入られたらそれはちょっとって思うのが普通だろ? お前ももし自分が朝起きて勝手に友達が朝飯用意して待ってたらオイオイって思うだろーが」
「僕の部屋にはいつも誰かしらいるからな。そんな事思った事ない。朝起きれば既にしゅうたろうが部屋に朝御飯を用意して立ってる。他には僕専用のルームメーキングのメイドもいるし、食事をしている間に今日着る服だとか靴を用意する者もいる」
ま じ か よ !!
そりゃ芸能事務所なんて経営してんだ。それなりに金持ちのぼっちゃんかなんかなんだろうとは思ってたけどまさかそこまでだなんて。いや、てか服くらい自分で選べよ!
「あー……じゃああれだ。視点を変えよう、うん。一般人はだな、例え親であっても自分の部屋に入られるのは嫌だったりするんだよ。ほら、見られたくないものとかもあるし」
「僕の親は一度として僕の部屋に来たことはない。小さい頃から一度もな」
くぅーっ!! なんだどうしたら通じんるんだよどう説明すりゃ通じるんだこいつに話が!
「……わかった。もうはっきり言えばいいのか。俺は嫌なんだよ、勝手に知らない奴が部屋にいるのは」
「知らない奴じゃない」
「知ってるよ知ってるけど! そうじゃなくて……あーもうめんどくさい奴だなお前!!」
キィーッと頭を掻きむしりながら叫ぶ。ここまで話が通じない奴なんて近所のルカちゃん(3歳)くらいだっての!
「とにかく今度から勝手に部屋に入るのは禁止! 確かにここの金を出してるのはお前だろうけどそれとこれとは別なの! 何か用がある時は一度電話なりなんなりしてくる事。わかるか? アポイントをとれっつってんだよ俺は!!」
お前も人と会うときはアポイントとってますか? なんて聞いてんだろ。つまりそーゆう事だ。わかったか!?
半ば怒鳴る様に言い切れば、暫し俺の顔を見つめた後「すまない」と俯いた。
「実は僕は……友人と食事をした事が一度もない。だからお前の言う普通がどんな物かわからないけど……でもお前が僕に対して不快な気持ちを抱いているのはみてわかる。だから……ごめん」
な、なんだこいつ。いきなりしおらしくなりやがって。いつもだったらうるさいオッサンだの僕を誰だと思ってるとか返してくるくせに。
でも、まぁ俺もちょっと言い過ぎた……かも?
ジリリリリリリ、とけたたましくなる目覚まし時計の音で浮上を始める意識に「う~……」と唸りながら瞼をこする。
朝、か……。
今日は日曜日。学校も休みだし、惰眠を貪るのが本日の予定だった。
もっかい寝よう、目覚ましの停止ボタン押して布団に潜り直した時だ。
「まだ寝るつもりか。いい加減起きろ」
…………はい?
寮の部屋は個室だ。勿論昨夜誰かを泊めた覚えもないし、ましてや泊まりにくる友人もいない俺はハタリ、と動きを止めた。
「休みだかって眠ってばかりいたらすぐ太るぞ。歳を考えろオッサン」
「……っれがオッサンだこのクソガキ!」
俺はまだ19だ!! と怒鳴りながら飛び起きれば、白いワンピースを纏った美少女がスラリとした足を組んで椅子に腰掛ける姿が視界に映る。
「……なに、やってんだ人の部屋で」
さも当たり前な質問を美少女……もとい阿蘇さんに投げ掛ける。
黒くさらりとした長い髪。色白の肌。調った人形のような顔をしたまるで絵画から飛び出してきた様なその美少女は、女装をした阿蘇日和、その人だった。
ベッドから降りると大きなあくびをしながら優雅にお茶を飲む阿蘇さんの元へと近付いた。
彼が座る横の丸テーブルの上には、なんかのテレビで見たことある三段トレーが置かれていて、その重なるお皿にはサンドイッチにミニサラダ、数枚のクッキーがもられていた。
こんなこんだ朝飯、誰が用意したかなんて想像するのは安易だ。
「美味しいぞ。お前も食べるか?」
はい、と一口大のサンドイッチを差し出され引き攣る俺の口端。
「そんなハイカラなもん朝っぱらから食えるか。男なら米食え米!」
「ジジくさい事言う奴だな……」
まぁいいけど、と行き場の失ったサンドイッチを自分の口へと放り込んだ。
「それでぇ? 理事長さまはなんで俺の部屋で優雅にモーニングなんてなさってるのでしょうか。しかもそのカッコ」
向かいの椅子にどさっと腰を下ろすと、嫌味をたっぷり込めて問う。しかも女装なんぞしやがって。ここは男子寮だぞ、誰かが見てて変な噂立てられたらどうすんだ。
「これは外出用だ。学園の外に出る時はいつもこの姿をする約束なんだ。今日はこの後事務所で会議がある」
「約束ぅ? 誰とだよ」
「親父」
「は? なに、なんで?」
父親が息子に女装強要ってどんな家庭だよ。
「公私混同をわけるため、だとさ。男の姿でいる時の僕はルート学園の一生徒、ただの高校生だ。この姿でいる時は学園理事長兼ルートプロダクションのマネジメントプロデューサー。その役職を決めたのは親父だけど、自分の息子に親の七光りで業務を任せてるなんて思われたくないんだろ」
ただの見栄だよ見栄。迷惑この上ない。
忌々しそうに言い捨てて茶を啜る。本当にこいつ16のガキか? 言うことなすこと全部俺のイメージする高校生と掛け離れすぎてる。
俺がこれくらいの時なんて、バイクとか女の話しかしなかったもんだけど。むしろこいつそんな話をする友人とかいるんだろうか。そう思って想像してみるけど、同じ年頃の奴に囲まれてる姿より茶々さんを隣に控えさせて難しい顔して書類の束と睨み合いしてる姿の方がしっくりくる。
そういや、俺こいつの学園生活見たことなかったなぁなんて。
「……俺もそれ、食っていい?」
指さした先には、さっき阿蘇さんに勧められたサンドイッチ。突然の申し出に彼は「さっきは米食えとか言ったくせに」と文句をいいながらほらよと一切れ渡してくれる。ついでだ、と紅茶つきで。
もらったサンドイッチはキュウリとトマトが挟まれた質素なものだったけど、ふわりとしたパンの感触と程よくきいたからしが個人的に好みの味で、もう一個と皿からとってパクリとかぶりついた。
「そういや、さっきの続きなんだけどさ」
ごくり、と飲み込んでからそう口をひらく。
「俺になんか用あったんじゃないのか?」
「用?」
「わざわざ部屋に入り込んで起きるの待ってたんだ。ただ朝飯を一緒に食べようと思った、なんてふざけた理由じゃないだろ」
もしかして返済金の話だろうか、と内心ドキドキしながら相手の返事を待つ。だけど阿蘇さんはパチクリと瞳を瞬かせ
「その通りだが?」
「はい?」
「今日は久し振りに昼からのスケジュールだったから、たまには誰かと朝御飯を食べようと思った。誰を誘おうかって考えてたらちょうどお前の顔が浮かんだんだ」
だからしゅうたろうに鍵をあけさせてここに食事を用意させた、と普通にいうもんだから俺はぽかんと開いた口を閉めるのを忘れ阿蘇さんを見つめた。
「あの、さ。普通、人の部屋に勝手に入らないだろ」
しかも勝手に朝飯の用意とか。しかも人の部屋に。
お前は付き合いはじめの彼女か!
……いや、流石にそれは言わないでおこう、うん。
「まずはほら、電話なりなんなり連絡入れてさ。そんで時間決めて待ち合わせしてってのが普通だと思うんだけど」
「なんでそんな時間かかることをする必要があるんだ。相手の部屋か自分の部屋に用意して招いた方が早いじゃないか」
そんな無駄な事するのかお前は、と返される。至極不思議そうな顔をされて。
「無駄ってか、いくら友達だからっていきなり自分の部屋に勝手に入られたらそれはちょっとって思うのが普通だろ? お前ももし自分が朝起きて勝手に友達が朝飯用意して待ってたらオイオイって思うだろーが」
「僕の部屋にはいつも誰かしらいるからな。そんな事思った事ない。朝起きれば既にしゅうたろうが部屋に朝御飯を用意して立ってる。他には僕専用のルームメーキングのメイドもいるし、食事をしている間に今日着る服だとか靴を用意する者もいる」
ま じ か よ !!
そりゃ芸能事務所なんて経営してんだ。それなりに金持ちのぼっちゃんかなんかなんだろうとは思ってたけどまさかそこまでだなんて。いや、てか服くらい自分で選べよ!
「あー……じゃああれだ。視点を変えよう、うん。一般人はだな、例え親であっても自分の部屋に入られるのは嫌だったりするんだよ。ほら、見られたくないものとかもあるし」
「僕の親は一度として僕の部屋に来たことはない。小さい頃から一度もな」
くぅーっ!! なんだどうしたら通じんるんだよどう説明すりゃ通じるんだこいつに話が!
「……わかった。もうはっきり言えばいいのか。俺は嫌なんだよ、勝手に知らない奴が部屋にいるのは」
「知らない奴じゃない」
「知ってるよ知ってるけど! そうじゃなくて……あーもうめんどくさい奴だなお前!!」
キィーッと頭を掻きむしりながら叫ぶ。ここまで話が通じない奴なんて近所のルカちゃん(3歳)くらいだっての!
「とにかく今度から勝手に部屋に入るのは禁止! 確かにここの金を出してるのはお前だろうけどそれとこれとは別なの! 何か用がある時は一度電話なりなんなりしてくる事。わかるか? アポイントをとれっつってんだよ俺は!!」
お前も人と会うときはアポイントとってますか? なんて聞いてんだろ。つまりそーゆう事だ。わかったか!?
半ば怒鳴る様に言い切れば、暫し俺の顔を見つめた後「すまない」と俯いた。
「実は僕は……友人と食事をした事が一度もない。だからお前の言う普通がどんな物かわからないけど……でもお前が僕に対して不快な気持ちを抱いているのはみてわかる。だから……ごめん」
な、なんだこいつ。いきなりしおらしくなりやがって。いつもだったらうるさいオッサンだの僕を誰だと思ってるとか返してくるくせに。
でも、まぁ俺もちょっと言い過ぎた……かも?
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
白花の檻(はっかのおり)
AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。
その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。
この出会いは祝福か、或いは呪いか。
受け――リュシアン。
祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。
柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。
攻め――アーヴィス。
リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。
黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。
王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる