異世界ハードモード!〜持ってるチートスキルが使えなくても強くなれる剣士として努力を続けようと思います!〜

ちょっと黒い筆箱

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第4章 英雄プレリュード

第50話 二人の聖騎士長VS俺③

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「これで僕達は二対二......さぁ、条件共有の時間だ!!」

「ハァ......お前がロージーだな? 多少俺の剣を重くした所で、持てなくなるようなヤワな鍛え方してねぇんだよォ!!」

 嘘だろ!? あの鬼持ち上げやがった!! マズイ! 一回持ち上げられたらその重さも威力に掛け算された一撃が来る!!

「あれ? やっぱり軽いかもしれないな!」

「うぉぉぉ!? 急に軽くッ――」

 振り上げた超重量の大剣の重さがいきなりゼロになる。勢い余った鬼の身体はそのまま後ろへ倒れ込んでしまった。

 これがロージーの......サラバンドギルドマスターの戦い方......

「マツル君、少し動けるなら俺の身体......腕とか足が良いかな。を斬ってくれ!」

「えぇ!? どうしたんですか急に」

 俺は言われるがままにロージーの右腕を薄く斬った。

「ぐおッ!!」

「いったぁ......」

 すると鬼とエルフの右腕の同じ位置に全く同じ傷ができたのだった。

「ギルドマスター......何したんですか?」

「簡単だよ~! 僕の傷を、ユニークスキルで【共有】しただけ! これ自分もめちゃくちゃ痛いからあんまりやりたくないんだよね」

 俺はロージーが相手の武器を重くしたり軽くしたりしている隙に、ロージーの身体を斬り続けた。その度に、相手の身体に傷も増えていく。

 そうだった。ロージーは今回戦犯なだけで基本強いんだった。
 聖騎士長二人相手に押してる感あるし、これ行けるんじゃね!?

「なぁガブリー......これは本気でいっといた方が良いかもな......」

「えぇー......“アレ”やるの疲れるから嫌なんだけどなー......仕方がないか!」

 アレってなんだ......? 
 武器を地面に突き立てた二人が両手を前に突き出し叫ぶ。

「最後に名前を教えてやろう!! “クーガ・クロシェール”だ!」

「ガブリエーラ・トクソーンよ!」

 二人が名前を叫んだ瞬間、とてつもない重圧が俺達を襲う。
 地下牢の天井からパラパラと石の粉が落ちてきて、今にも崩れそうな程空間が震えている。

「「今こそ真の力を示せ!! 神機解ほ――――」」

「全員そこまで!!!!」

 俺達とクーガとの間にフリージアさんが割って入って来た。
 
「そこの聖騎士長二人......あんた達ソレを二人同時に!! こんな狭い所で使って、城ごと崩れたらどうしちゃうつもりだった訳!?」

「すまねぇマスター殿。こいつらが余りにも手強かったもんでつい......」

 幼女に詰められてタジタジの大男。初めてみるな......

「大体なんであんた達は脱獄なんて下らない真似しようとしちゃったの......まだ有罪が確定した訳じゃないんだからどう弁解するか二人で考えちゃったりすればよかったじゃないのよ......」

 今度はこちらに矛先が向いたが、ごもっともすぎる意見だ。
 ぐうの音も出ないのは悔しいので、ぐうの音位は出しておこう。

「ぐう......」

「ほら、それが分かったらみんなさっさと寝ちゃう! 裁判は明日の正午からだからね! 寝坊しないように!!」

 オーバーサイトマスターの一喝により、夜中の戦闘は幕を閉じた。


◇◇◇◇

「――――ではこれより、国際条約違反についての裁判を始める。被告人は前へ」

「はい」

 翌日の正午、ついに裁判が始まった。
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