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第6章 灰の反逆
第74話 帰還①
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「――戻った」
ニシュラブの元へと帰還したのはレオノラであった。
「おや、レオノラ殿。予定より遅いお帰りですね。それに新品同様だった装備もボロボロだ......手こずりましたか?」
ニシュラブの言葉通り、所々破れたローブ、傷の付いた鎧がいかに激しい戦闘があったかを物語っていた。
「あぁ......マツルはいなかったが、それでも強敵は居た......メツセイという名を知っているか?」
「メツセイ......ドワーフの国の元軍団長ですか? 軍団長を退いた後サラバンドにいたとは......それは手強かったでしょう」
「あぁ、本当に......」
レオノラはメツセイとの激戦を思い出す――――
―――――
レオノラの次元魔法でのサラバンド内部への転移は成功し、すぐに魔人による破壊活動が始められた。
そこに彼は現れた。
「なっ......何故大量の魔人がここに!?」
「ハッ!!!! 不味いぞメツセイ! どうする!」
「どうするもこうするもねぇだろ! 騎士団の人間が来るまで俺たちでみんなを守るんだよ!!」
全く予期してなかったであろう事態にもある程度の対応を見せ、魔人と戦闘をしつつ国民の避難を最優先に考える。元軍団長としては100点の回答だった。
だがメツセイは知らなかった。己が相対せねばならない敵がサラバンド最強の男だと言う事を。
「お前がメツセイだな......俺の計画の邪魔をしないで頂きたい」
メツセイは目の前で魔人の指揮をとる人物に驚愕する。
「お前は......騎士団長!? 何をしているんだ!?」
「ハッ!!!! 騎士団長レオノラ!? 彼がもういるなら心強い! 手伝って――――」
「待てパンナ。状況から考えてアイツがこの魔人の指揮を取っている可能性が高い」
「その通りだ。よく分かったな......今の俺は魔王ニシュラブの筆頭指揮官、レオノラだ。サラバンドの国宝を奪う為にこの国を滅ぼしに来た。さて、今逃げるなら殺しはしない。俺には絶対に勝てないから逃げる事をオススメする......」
「はぁ......手の届く範囲で助けられる命がそこにあるのに助けねぇ馬鹿がどこにいるよ!!」
メツセイはレオノラに向けて杖を構える。パンナとヤリナ、モクナも戦う意思を示し、力強く頷いた。
しかし、レオノラから見れば、この時点で勝負は決まっていたのだ。
「【下位灰魔法・ 大空散灰】」
次の瞬間、ヤリナとモクナが咳に混じった血を吹き出しその場に倒れた。
「どうした? 俺の前では数など有利の理由にもならないぞ?」
大空散灰はレオノラが最も得意とする魔法である。
目に見えない微粒子レベルの猛毒の灰を周囲に撒き、吸い込んだ相手の肺を破壊する。
時間差でパンナやメツセイにも効果が出てきたようで、呼吸が荒くなってきていた。
「ゴホッ......こりゃあ次元が違うってのも頷けるな.....パンナ! お前はヤリナとモクナを連れて逃げろ!」
「ハッ!!!! そんな事出来るわけないだろう!! 俺は仲間を! 俺の生まれたこの国を見捨てない!!」
「駄目だ!!!! この事をギルマスや兄ちゃん達に伝えろ! だからお前は生きなきゃならねぇ!!」
メツセイは血を吐きながらパンナに叫び訴えた。
「ッ! すまないメツセイ......」
パンナは二人を抱えて走り去った。それを確認した上でメツセイは立ち上がりレオノラを睨みつける。
「メツセイ......お前も逃げなくて良かったのか?」
「逃げなかった理由はお前が一番よく知ってるだろ?」
「ふっ......そうだな。じゃあ、どちらかが死ぬまでやろう」
「上等だ!」
不敵な笑みを浮かべるレオノラと豪快に笑うメツセイ。
どちらが死んでもおかしくなかった殺し合いを制したのはレオノラであった。
――――
「――という訳だ」
「それは大変ご苦労さまでした。レオノラ殿......それで、今回の侵攻の目的を忘れてはいませんよね?」
ニシュラブは早く差し出せとばかりに手を出す。レオノラはやれやれといった表情で拳大の漆黒の球体を差し出した。
「お前が欲しがっていた国宝とやらはこれだろう? 闇の欠片......中々悪趣味な雰囲気だな」
「あぁ.....ああ! 遂に私が神になる時が来た!! 私が世界を支配する時が訪れたのです!!」
ニシュラブはひとしきり騒いだ後、大事そうに懐にしまった。
「使わないのか?」
「ええ。この欠片だけではまだ不十分ですからね。あとはバカラに盗まれ、マツルに持ち去られた欠片さえあれば! 私は完全な神としてこの世に顕現できます。それまでの我慢ですよ」
ここでレオノラはニシュラブが何故マツルを目の敵にしているのか。その理由を理解出来た。
ニシュラブの元へと帰還したのはレオノラであった。
「おや、レオノラ殿。予定より遅いお帰りですね。それに新品同様だった装備もボロボロだ......手こずりましたか?」
ニシュラブの言葉通り、所々破れたローブ、傷の付いた鎧がいかに激しい戦闘があったかを物語っていた。
「あぁ......マツルはいなかったが、それでも強敵は居た......メツセイという名を知っているか?」
「メツセイ......ドワーフの国の元軍団長ですか? 軍団長を退いた後サラバンドにいたとは......それは手強かったでしょう」
「あぁ、本当に......」
レオノラはメツセイとの激戦を思い出す――――
―――――
レオノラの次元魔法でのサラバンド内部への転移は成功し、すぐに魔人による破壊活動が始められた。
そこに彼は現れた。
「なっ......何故大量の魔人がここに!?」
「ハッ!!!! 不味いぞメツセイ! どうする!」
「どうするもこうするもねぇだろ! 騎士団の人間が来るまで俺たちでみんなを守るんだよ!!」
全く予期してなかったであろう事態にもある程度の対応を見せ、魔人と戦闘をしつつ国民の避難を最優先に考える。元軍団長としては100点の回答だった。
だがメツセイは知らなかった。己が相対せねばならない敵がサラバンド最強の男だと言う事を。
「お前がメツセイだな......俺の計画の邪魔をしないで頂きたい」
メツセイは目の前で魔人の指揮をとる人物に驚愕する。
「お前は......騎士団長!? 何をしているんだ!?」
「ハッ!!!! 騎士団長レオノラ!? 彼がもういるなら心強い! 手伝って――――」
「待てパンナ。状況から考えてアイツがこの魔人の指揮を取っている可能性が高い」
「その通りだ。よく分かったな......今の俺は魔王ニシュラブの筆頭指揮官、レオノラだ。サラバンドの国宝を奪う為にこの国を滅ぼしに来た。さて、今逃げるなら殺しはしない。俺には絶対に勝てないから逃げる事をオススメする......」
「はぁ......手の届く範囲で助けられる命がそこにあるのに助けねぇ馬鹿がどこにいるよ!!」
メツセイはレオノラに向けて杖を構える。パンナとヤリナ、モクナも戦う意思を示し、力強く頷いた。
しかし、レオノラから見れば、この時点で勝負は決まっていたのだ。
「【下位灰魔法・ 大空散灰】」
次の瞬間、ヤリナとモクナが咳に混じった血を吹き出しその場に倒れた。
「どうした? 俺の前では数など有利の理由にもならないぞ?」
大空散灰はレオノラが最も得意とする魔法である。
目に見えない微粒子レベルの猛毒の灰を周囲に撒き、吸い込んだ相手の肺を破壊する。
時間差でパンナやメツセイにも効果が出てきたようで、呼吸が荒くなってきていた。
「ゴホッ......こりゃあ次元が違うってのも頷けるな.....パンナ! お前はヤリナとモクナを連れて逃げろ!」
「ハッ!!!! そんな事出来るわけないだろう!! 俺は仲間を! 俺の生まれたこの国を見捨てない!!」
「駄目だ!!!! この事をギルマスや兄ちゃん達に伝えろ! だからお前は生きなきゃならねぇ!!」
メツセイは血を吐きながらパンナに叫び訴えた。
「ッ! すまないメツセイ......」
パンナは二人を抱えて走り去った。それを確認した上でメツセイは立ち上がりレオノラを睨みつける。
「メツセイ......お前も逃げなくて良かったのか?」
「逃げなかった理由はお前が一番よく知ってるだろ?」
「ふっ......そうだな。じゃあ、どちらかが死ぬまでやろう」
「上等だ!」
不敵な笑みを浮かべるレオノラと豪快に笑うメツセイ。
どちらが死んでもおかしくなかった殺し合いを制したのはレオノラであった。
――――
「――という訳だ」
「それは大変ご苦労さまでした。レオノラ殿......それで、今回の侵攻の目的を忘れてはいませんよね?」
ニシュラブは早く差し出せとばかりに手を出す。レオノラはやれやれといった表情で拳大の漆黒の球体を差し出した。
「お前が欲しがっていた国宝とやらはこれだろう? 闇の欠片......中々悪趣味な雰囲気だな」
「あぁ.....ああ! 遂に私が神になる時が来た!! 私が世界を支配する時が訪れたのです!!」
ニシュラブはひとしきり騒いだ後、大事そうに懐にしまった。
「使わないのか?」
「ええ。この欠片だけではまだ不十分ですからね。あとはバカラに盗まれ、マツルに持ち去られた欠片さえあれば! 私は完全な神としてこの世に顕現できます。それまでの我慢ですよ」
ここでレオノラはニシュラブが何故マツルを目の敵にしているのか。その理由を理解出来た。
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