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アメショとノラ猫(5)
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「俺がこの店に行った写真と九の動画で脅されました。それで俺はそいつの要求を聞いて、バラさない代わりに…」
「引退か…」
編集長が椅子の背もたれに寄りかかってため息をついた
「引退って?」
九の声が聞こえた
トワは顔を上げることができなかった
九が、どんな顔で自分を見ているのか知るのが怖かった
タカシが動画を持ってると知っていて止められなかったー
そもそも、自分がプッシールームに行きさえしなければー
謝っても謝りきれないと思った
「九にも言ってなかったのか」
編集長があきれたような表情でトワを見た
「言えなかったので…」
「そりゃ、そうよね」
副編集長が同情の視線をトワと九に走らせた
「それでそのタカシってやつはどんなやつなんだ?」
編集長が読モ担当に促した
「【Joliジョリ】の読モです。【Joliジョリ】での人気はまあまあかな。トワくんの引退を受けて、所属する読モの子達のオーディションが急遽あったんだけど、タカシくんは落ちてますね」
担当者が手帳を繰りながら言った
「なるほどな。大体の状況は把握した。一種のリベンジポルノってわけか」
編集長が腕組みをして唸った
「そのタカシってやつは、トワを脅して引退させれば自分が後釜に座れると思ってたんだろうな。とんだお花畑野郎だな」
編集長が鼻で笑った
その時、会議室のドアををノックする音が聞こえた
編集長がドア越しに「何?いま、緊急MT中!」と声を張り上げた
しかし相手も、「その件でお知らせしたいことがあって」と食い下がった
担当者がドアを開けると、タブレット端末を持った男性スタッフが編集長の元に駆け寄った
タブレットを見た編集長から「へえ~」と声が漏れた
副編集長も横から覗き込み、「ほ~」と声を上げた
「面白い社会実験だな」
編集長がタブレット端末をプロジェクターにつないだ
トワは何が始まるかわからず、不安な気持ちで見守った
※※※※※※※※※※
【九の店いいな!】
【オナってる九でヌいた】
【九ちゃんもオナニーするんだ】
【誰?】
【雑誌買うわ】
【雑誌おかずにするやつ】
【トワと九ちゃん怪しいと思ってた】
【二人はゲイなの?】
【九なら抱ける】
【わたし女だけど九ちゃんなら抱きたい】
【とりあえずカップルではないことが判明した】
【トワは辞めさせに行ったのかな?】
【なんかエモい】
こんなコメントが、拡散した動画に寄せられていた
「悪くない」
タブレットを持ってきたスタッフもうなずいた
「雑誌のコンセプト的にも、それほど困らないのでは?」
副編集長が言った
九とトワは、トゥイッターの個人アカウントで謝罪することとなった
それは、プッシールーム店で働いていることでもなく、プッシールーム店に客として行ったことでもなく、動画が拡散されたことで、未成年や何らかの理由で不快に感じた人への謝罪だった
同時に出版社からも、騒動に関する謝罪文が発表された
だが、その最後の1文が、ただの読モ二人の私生活暴露のネタを社会現象にまで押し上げた
【尚、弊社所属の二人のモデルにつきましては、弊社からの処分は検討しておりません
引き続き、二人の活躍を温かい目で見守って頂けたら幸いです
鷽ウソドリ出版
月刊Toutトゥ編集部】
ホームページで発表されたその謝罪文は、騒動の直後に発売された【Toutトゥ】に全文掲載された
その号は売り切れが続出し、フリマサイトで高値で取引されていることがメディアで報じられた
九とトワのフォロワーは共に2倍に増え、雑誌で特集が組まれた谷根千には、雑誌の特集タイトルに地名を載せない、という配慮がされたが、発売後にはおしゃれな若い観光客が増えた
プッシールームについてもネット上で取り沙汰されたが、オーナーが、【当分新規は受け入れない、プレイヤーの指名は、過去に指名したことがある客のみ】という方針を打ち出したことで、プレイヤーや店に大きな混乱はなかった
「引退か…」
編集長が椅子の背もたれに寄りかかってため息をついた
「引退って?」
九の声が聞こえた
トワは顔を上げることができなかった
九が、どんな顔で自分を見ているのか知るのが怖かった
タカシが動画を持ってると知っていて止められなかったー
そもそも、自分がプッシールームに行きさえしなければー
謝っても謝りきれないと思った
「九にも言ってなかったのか」
編集長があきれたような表情でトワを見た
「言えなかったので…」
「そりゃ、そうよね」
副編集長が同情の視線をトワと九に走らせた
「それでそのタカシってやつはどんなやつなんだ?」
編集長が読モ担当に促した
「【Joliジョリ】の読モです。【Joliジョリ】での人気はまあまあかな。トワくんの引退を受けて、所属する読モの子達のオーディションが急遽あったんだけど、タカシくんは落ちてますね」
担当者が手帳を繰りながら言った
「なるほどな。大体の状況は把握した。一種のリベンジポルノってわけか」
編集長が腕組みをして唸った
「そのタカシってやつは、トワを脅して引退させれば自分が後釜に座れると思ってたんだろうな。とんだお花畑野郎だな」
編集長が鼻で笑った
その時、会議室のドアををノックする音が聞こえた
編集長がドア越しに「何?いま、緊急MT中!」と声を張り上げた
しかし相手も、「その件でお知らせしたいことがあって」と食い下がった
担当者がドアを開けると、タブレット端末を持った男性スタッフが編集長の元に駆け寄った
タブレットを見た編集長から「へえ~」と声が漏れた
副編集長も横から覗き込み、「ほ~」と声を上げた
「面白い社会実験だな」
編集長がタブレット端末をプロジェクターにつないだ
トワは何が始まるかわからず、不安な気持ちで見守った
※※※※※※※※※※
【九の店いいな!】
【オナってる九でヌいた】
【九ちゃんもオナニーするんだ】
【誰?】
【雑誌買うわ】
【雑誌おかずにするやつ】
【トワと九ちゃん怪しいと思ってた】
【二人はゲイなの?】
【九なら抱ける】
【わたし女だけど九ちゃんなら抱きたい】
【とりあえずカップルではないことが判明した】
【トワは辞めさせに行ったのかな?】
【なんかエモい】
こんなコメントが、拡散した動画に寄せられていた
「悪くない」
タブレットを持ってきたスタッフもうなずいた
「雑誌のコンセプト的にも、それほど困らないのでは?」
副編集長が言った
九とトワは、トゥイッターの個人アカウントで謝罪することとなった
それは、プッシールーム店で働いていることでもなく、プッシールーム店に客として行ったことでもなく、動画が拡散されたことで、未成年や何らかの理由で不快に感じた人への謝罪だった
同時に出版社からも、騒動に関する謝罪文が発表された
だが、その最後の1文が、ただの読モ二人の私生活暴露のネタを社会現象にまで押し上げた
【尚、弊社所属の二人のモデルにつきましては、弊社からの処分は検討しておりません
引き続き、二人の活躍を温かい目で見守って頂けたら幸いです
鷽ウソドリ出版
月刊Toutトゥ編集部】
ホームページで発表されたその謝罪文は、騒動の直後に発売された【Toutトゥ】に全文掲載された
その号は売り切れが続出し、フリマサイトで高値で取引されていることがメディアで報じられた
九とトワのフォロワーは共に2倍に増え、雑誌で特集が組まれた谷根千には、雑誌の特集タイトルに地名を載せない、という配慮がされたが、発売後にはおしゃれな若い観光客が増えた
プッシールームについてもネット上で取り沙汰されたが、オーナーが、【当分新規は受け入れない、プレイヤーの指名は、過去に指名したことがある客のみ】という方針を打ち出したことで、プレイヤーや店に大きな混乱はなかった
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