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猫たち忍び足(3)
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「もうっ!肝を冷やしました!」
タキが内側からドアを開けると、リン、コタロー、トワ、鮭児、アットがなだれ込んできた
「ごめんごめん。ムカついたからさあ」
タキが両手を合わせて謝った
「わかりますけど、失敗したらどうするつもりだったんですか!」
さっきから小声で怒っているのはリンだ
「大丈夫だったでしょ?」
タキは、ハセのポケットからとっておいたキーケースと、使っていた盗聴器をリンに渡した
「しっかりやれよ」
リンはまだ何か言いたげだったが、アットに急かされて渋々部屋を出ていった
タキは、コタローや鮭児たちと共に作業にとりかかっているトワに声をかけた
「トワさん、ありがとうございます」
「ロビーや通路にウチのを配置してあるから、不審なやつがいたらすぐに連絡くるようになってる。こっちには2人連れてきたけど、もっと足すこともできるから…」
口が固くて、やばい計画のために人を動かすことのできる人間なんて、トワしかいなかった
それに、ハセみたいなタイプには、【虎】のような存在が効くものだ
協力するにあたって、九には内緒にすることなどいくつか条件があったようだが、それはリンとマサトしか知らない
トワが連れてきた屈強な男たちによってベッドに運ばれたハセは、出荷される動物のように四肢を縛られた
タキがウイスキーに入れた睡眠導入剤は、その名の通り、導入にはいいが覚醒は早い
作業は迅速に行わなければならない
「コタローくん」
拘束を確認した鮭児がコタローに声をかけた
コタローはうなずくと、ハセにVRゴーグルを装着した
アットは、リンをバイクの後ろに乗せて、上落合のマンションに向かった
バイクなら10分とかからない距離だ
初めてリンをバイクの後ろに乗せた
本当なら、こんなことのために乗せたくなかった
もっと、時間も10分とかじゃなくて、道も、こんな小汚ない都会の道じゃなくて…
その時、アットの頭にある風景が浮かんだ
昔、家族で行ったあの場所
あの場所がいい
リンもきっと気に入る
マンションの前ではマサトと長谷川が待っていた
アットは、ヘルメットを外したリンのおでこにキスをすると、「全部終わったら、お前と行きたいところがあるんだ」と言った
突然の誘いに、リンは驚いてヘルメットを落としそうになった
だが、しっかり抱き抱えると、無傷のままアットに渡し「どこへでも」と笑顔で言って、マサトたちの方へ走っていった
タキから受け取ったカギを、部屋の鍵穴に差し込んだ
カチリと鍵の開く手応えを感じた
ここまで、他の住人と顔を合わすこともなく、スムーズにいっている
「どこだ?」
マサトが一番に部屋に入った
「…」
長谷川は、玄関で立ちすくんだまま、部屋に入ろうとしない
「おい!長谷川!」
マサトが小声で呼んだ
「長谷川さん?」
リンに声をかけられて、やっと我に返った
「俺は知らない」
「はぁ?!」
マサトがすっとんきょうな声を出した
「おまっ…いまさら…」
マサトが詰め寄ろうとするのを、長谷川は手で制した
そして、リンに向き合うと、
「リン、お前が隠したはずだ」
と言った
芳賀は長谷川に証拠品を処分をするよう言ってきた
だが、下手に捨てて見つかったらと思うと怖くて捨てられず、かといってずっと持っているのも不安だった
だから、あるべき場所に戻そうと思ったのだ
上落合の物件は、当時はリンのものになっていたが、実質誰が使うわけでなく事故物件として宙に浮いていた
リンを巻き込めば自分だけ地獄に落ちなくて済む
そう思ったことは否めない
※※※※※※※※※※※※※
「俺がお前に華さんの遺品だと言って、このくらいのネックレスケースを渡したのを覚えていないか?」
長谷川は両手で20センチくらいの四角い枠を作った
「あ」
「それを俺は、お前に誰にも見つからないところに隠しておけと言って渡したよな?」
「はい」
「それはどこだ?」
リンはダイニングキッチンを横切り奥の扉を開けた
そこはベッドルームだった
リンは迷うことなく隣接している洗面所のドアを開けた
リンが言っていた通り、洗面所とバスルームは四方がガラス張りだった
リンはまっすぐに洗面台の前に立つと、陶器の洗面器の下に手をかけて引っ張った
「そんなところに引き出しがあったのか…」
「継母が、ここにピルケースをいれてて…俺も初めて見たとき、驚いたから覚えてたんです。だから大事なものを隠すならここなのかなって…」
その時のリンの姿をマサトは想像した
シャワーを浴びるリン
ピルケースをとるという名目で、洗面所にやってくる華
華は横目でリンを見ただろうか
すべてマサトの想像に過ぎないが
引き出しから出てきたのは紺のビロード張りの細長いネックレスケースだった
リンは、その箱を長谷川に渡した
中には、シルバーゴールドの細いチェーンにダイヤモンドが一粒ついたネックレスが入っていた
長谷川が、ネックレスの土台を取り外した
皆が顔を寄せあって覗き込んだ
ネックレスの下に、細い注射器が入っていた
タキが内側からドアを開けると、リン、コタロー、トワ、鮭児、アットがなだれ込んできた
「ごめんごめん。ムカついたからさあ」
タキが両手を合わせて謝った
「わかりますけど、失敗したらどうするつもりだったんですか!」
さっきから小声で怒っているのはリンだ
「大丈夫だったでしょ?」
タキは、ハセのポケットからとっておいたキーケースと、使っていた盗聴器をリンに渡した
「しっかりやれよ」
リンはまだ何か言いたげだったが、アットに急かされて渋々部屋を出ていった
タキは、コタローや鮭児たちと共に作業にとりかかっているトワに声をかけた
「トワさん、ありがとうございます」
「ロビーや通路にウチのを配置してあるから、不審なやつがいたらすぐに連絡くるようになってる。こっちには2人連れてきたけど、もっと足すこともできるから…」
口が固くて、やばい計画のために人を動かすことのできる人間なんて、トワしかいなかった
それに、ハセみたいなタイプには、【虎】のような存在が効くものだ
協力するにあたって、九には内緒にすることなどいくつか条件があったようだが、それはリンとマサトしか知らない
トワが連れてきた屈強な男たちによってベッドに運ばれたハセは、出荷される動物のように四肢を縛られた
タキがウイスキーに入れた睡眠導入剤は、その名の通り、導入にはいいが覚醒は早い
作業は迅速に行わなければならない
「コタローくん」
拘束を確認した鮭児がコタローに声をかけた
コタローはうなずくと、ハセにVRゴーグルを装着した
アットは、リンをバイクの後ろに乗せて、上落合のマンションに向かった
バイクなら10分とかからない距離だ
初めてリンをバイクの後ろに乗せた
本当なら、こんなことのために乗せたくなかった
もっと、時間も10分とかじゃなくて、道も、こんな小汚ない都会の道じゃなくて…
その時、アットの頭にある風景が浮かんだ
昔、家族で行ったあの場所
あの場所がいい
リンもきっと気に入る
マンションの前ではマサトと長谷川が待っていた
アットは、ヘルメットを外したリンのおでこにキスをすると、「全部終わったら、お前と行きたいところがあるんだ」と言った
突然の誘いに、リンは驚いてヘルメットを落としそうになった
だが、しっかり抱き抱えると、無傷のままアットに渡し「どこへでも」と笑顔で言って、マサトたちの方へ走っていった
タキから受け取ったカギを、部屋の鍵穴に差し込んだ
カチリと鍵の開く手応えを感じた
ここまで、他の住人と顔を合わすこともなく、スムーズにいっている
「どこだ?」
マサトが一番に部屋に入った
「…」
長谷川は、玄関で立ちすくんだまま、部屋に入ろうとしない
「おい!長谷川!」
マサトが小声で呼んだ
「長谷川さん?」
リンに声をかけられて、やっと我に返った
「俺は知らない」
「はぁ?!」
マサトがすっとんきょうな声を出した
「おまっ…いまさら…」
マサトが詰め寄ろうとするのを、長谷川は手で制した
そして、リンに向き合うと、
「リン、お前が隠したはずだ」
と言った
芳賀は長谷川に証拠品を処分をするよう言ってきた
だが、下手に捨てて見つかったらと思うと怖くて捨てられず、かといってずっと持っているのも不安だった
だから、あるべき場所に戻そうと思ったのだ
上落合の物件は、当時はリンのものになっていたが、実質誰が使うわけでなく事故物件として宙に浮いていた
リンを巻き込めば自分だけ地獄に落ちなくて済む
そう思ったことは否めない
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「俺がお前に華さんの遺品だと言って、このくらいのネックレスケースを渡したのを覚えていないか?」
長谷川は両手で20センチくらいの四角い枠を作った
「あ」
「それを俺は、お前に誰にも見つからないところに隠しておけと言って渡したよな?」
「はい」
「それはどこだ?」
リンはダイニングキッチンを横切り奥の扉を開けた
そこはベッドルームだった
リンは迷うことなく隣接している洗面所のドアを開けた
リンが言っていた通り、洗面所とバスルームは四方がガラス張りだった
リンはまっすぐに洗面台の前に立つと、陶器の洗面器の下に手をかけて引っ張った
「そんなところに引き出しがあったのか…」
「継母が、ここにピルケースをいれてて…俺も初めて見たとき、驚いたから覚えてたんです。だから大事なものを隠すならここなのかなって…」
その時のリンの姿をマサトは想像した
シャワーを浴びるリン
ピルケースをとるという名目で、洗面所にやってくる華
華は横目でリンを見ただろうか
すべてマサトの想像に過ぎないが
引き出しから出てきたのは紺のビロード張りの細長いネックレスケースだった
リンは、その箱を長谷川に渡した
中には、シルバーゴールドの細いチェーンにダイヤモンドが一粒ついたネックレスが入っていた
長谷川が、ネックレスの土台を取り外した
皆が顔を寄せあって覗き込んだ
ネックレスの下に、細い注射器が入っていた
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