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第7話 ビュッフェで楽しい夕食を
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時刻が十八時を回ると、続々と客人たちが大広間に集まってきた。
仲間と連れ添っている少女たち、風呂上がりの青年、その顔ぶれは千差万別だ。
ウェイターとなったホテルマンたちが彼らを席に案内し、食事の説明を始める。
説明を聞いた客人たちは食器置き場に行って各々皿を取り、好みの料理を取り分けていく。
今回用意された料理はオムレツ、トマトソースパスタ、パエリア、ラザニア、ローストビーフ、ハンバーグといった洋食が中心だ。無論色々な野菜を取り揃えたサラダやケーキ、ムースなどのデザートもある。
この旅館に来る客人は君の世界の出身者が多いからね。なるべく馴染みの料理を食べてもらいたいというアカギたちの心遣いからこういうメニューになっているのだよ。
世界渡りを終えてしまったら、彼らはそれまで当たり前だと思っていた馴染みの料理ともお別れになってしまうわけだからね。
「どうぞ」
アレクは大人にワインを注いで回りながら、ちらちらと時計の方を見ていた。
どうやら、あの少女のことが気になっているようだね。
そんなに心配しなくても、彼女はちゃんと来るよ。マイペースな子だから、時間にはちょっとルーズなところがあるかもしれないけれどね。
ほら、来た。
ミカは不安そうにきょろきょろと辺りを見回しながら、大広間に入ってきた。
彼女を見つけたアレクの表情が明るくなる。
彼はワインボトルを持ったまま、ミカの元へ行った。
「お待ちしておりました。カワイ様」
「……あ……」
アレクを見たミカの顔を彩っていた不安の色が、少しだけ和らいだ。
それでも完全に不安の色が消えたわけじゃない。食事を楽しみながら談笑している他の客人たちの方を気にしているようで、両手がきゅっとシャツの裾を掴んでいる。
「お席に御案内します」
アレクはミカを大広間の中央にあるテーブル席に案内した。
「お食事はビュッフェスタイルになっております。お好きな料理をお好きなだけ取り分けて下さい」
ビュッフェスタイル、の言葉に馴染みがないらしい。ミカは目を瞬かせてしばし沈黙した後、小さな声で尋ねた。
「……何を食べてもいいの?」
「はい」
にこり、と微笑むアレク。
食器置き場を手で示して、
「あそこにあるお皿に、お好きな料理をお取り下さい」
「……それは?」
ミカはアレクが持っているワインボトルに目を向けた。
アレクは手元に視線を落として、答えた。
「これは、赤ワインです。大人のお客様に振る舞っております」
「……私もそれが飲みたい」
おやおや。酒だと分かっていて欲しがるとはね。
ミカの突拍子もない申し出に、アレクはぎょっとしたようだった。
彼は小さくかぶりを振って、ワインボトルをミカの視界から隠した。
「これはお酒なので、カワイ様にはお出しできないんですよ。すみません」
「…………」
ミカの表情が暗くなる。
アレクはこめかみの辺りを掻いて、料理が並んでいるカウンターの方をちらりと見た。
「少々お待ち下さい」
彼は飲み物が並んでいる場所に行き、コップをひとつ手に取って葡萄色のドリンクをたっぷりと注いだ。
それを持ってミカの元に戻り、彼女の目の前にコップを差し出す。
「グレープジュースになります。このワインと同じ葡萄で作られたジュースです。甘くて美味しいですよ」
ミカはコップを手に取って、控え目に口を付けた。
ゆっくりと味わい、ふうっと息を吐いて、感想を述べる。
「……美味しい」
どうやら、ジュースはお気に召したようだ。
アレクはほっと肩の力を抜いて、笑った。
「料理の方も、当館の料理人が腕によりをかけて作った自慢の一品ばかりです。どうぞお楽しみ下さい」
「……うん」
ミカは席を立ち、料理の方を目指して歩いていった。
アレクはそれを見送ってから、他の席へと移動した。
彼は随分と彼女に御執心のようだけど、ホテルマンとして特定の客人だけを贔屓するわけにはいかないからね。お勤めはしっかりと果たさないと。
時刻は十九時。食事の時間はまだまだこれからだ。
仲間と連れ添っている少女たち、風呂上がりの青年、その顔ぶれは千差万別だ。
ウェイターとなったホテルマンたちが彼らを席に案内し、食事の説明を始める。
説明を聞いた客人たちは食器置き場に行って各々皿を取り、好みの料理を取り分けていく。
今回用意された料理はオムレツ、トマトソースパスタ、パエリア、ラザニア、ローストビーフ、ハンバーグといった洋食が中心だ。無論色々な野菜を取り揃えたサラダやケーキ、ムースなどのデザートもある。
この旅館に来る客人は君の世界の出身者が多いからね。なるべく馴染みの料理を食べてもらいたいというアカギたちの心遣いからこういうメニューになっているのだよ。
世界渡りを終えてしまったら、彼らはそれまで当たり前だと思っていた馴染みの料理ともお別れになってしまうわけだからね。
「どうぞ」
アレクは大人にワインを注いで回りながら、ちらちらと時計の方を見ていた。
どうやら、あの少女のことが気になっているようだね。
そんなに心配しなくても、彼女はちゃんと来るよ。マイペースな子だから、時間にはちょっとルーズなところがあるかもしれないけれどね。
ほら、来た。
ミカは不安そうにきょろきょろと辺りを見回しながら、大広間に入ってきた。
彼女を見つけたアレクの表情が明るくなる。
彼はワインボトルを持ったまま、ミカの元へ行った。
「お待ちしておりました。カワイ様」
「……あ……」
アレクを見たミカの顔を彩っていた不安の色が、少しだけ和らいだ。
それでも完全に不安の色が消えたわけじゃない。食事を楽しみながら談笑している他の客人たちの方を気にしているようで、両手がきゅっとシャツの裾を掴んでいる。
「お席に御案内します」
アレクはミカを大広間の中央にあるテーブル席に案内した。
「お食事はビュッフェスタイルになっております。お好きな料理をお好きなだけ取り分けて下さい」
ビュッフェスタイル、の言葉に馴染みがないらしい。ミカは目を瞬かせてしばし沈黙した後、小さな声で尋ねた。
「……何を食べてもいいの?」
「はい」
にこり、と微笑むアレク。
食器置き場を手で示して、
「あそこにあるお皿に、お好きな料理をお取り下さい」
「……それは?」
ミカはアレクが持っているワインボトルに目を向けた。
アレクは手元に視線を落として、答えた。
「これは、赤ワインです。大人のお客様に振る舞っております」
「……私もそれが飲みたい」
おやおや。酒だと分かっていて欲しがるとはね。
ミカの突拍子もない申し出に、アレクはぎょっとしたようだった。
彼は小さくかぶりを振って、ワインボトルをミカの視界から隠した。
「これはお酒なので、カワイ様にはお出しできないんですよ。すみません」
「…………」
ミカの表情が暗くなる。
アレクはこめかみの辺りを掻いて、料理が並んでいるカウンターの方をちらりと見た。
「少々お待ち下さい」
彼は飲み物が並んでいる場所に行き、コップをひとつ手に取って葡萄色のドリンクをたっぷりと注いだ。
それを持ってミカの元に戻り、彼女の目の前にコップを差し出す。
「グレープジュースになります。このワインと同じ葡萄で作られたジュースです。甘くて美味しいですよ」
ミカはコップを手に取って、控え目に口を付けた。
ゆっくりと味わい、ふうっと息を吐いて、感想を述べる。
「……美味しい」
どうやら、ジュースはお気に召したようだ。
アレクはほっと肩の力を抜いて、笑った。
「料理の方も、当館の料理人が腕によりをかけて作った自慢の一品ばかりです。どうぞお楽しみ下さい」
「……うん」
ミカは席を立ち、料理の方を目指して歩いていった。
アレクはそれを見送ってから、他の席へと移動した。
彼は随分と彼女に御執心のようだけど、ホテルマンとして特定の客人だけを贔屓するわけにはいかないからね。お勤めはしっかりと果たさないと。
時刻は十九時。食事の時間はまだまだこれからだ。
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