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第41話 幸福のひととき
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何の夢を見たのかは覚えていない。
しかしとても幸せな気分で、ミカは目を覚ました。
温かい布団のぬくもりも、部屋の静寂も。
自分を取り巻くいつもの環境が、心地良かった。
ミカは、そっと自分の唇に手を当てた。
昨晩の出来事が、鮮明に思い出される。
何だか恥ずかしくなり、布団を顔に被ってしまう。
私……アレクとキスしちゃったんだ……
体にまだ彼が圧し掛かってきた時の重さが残っているような気がして、もじもじと体を動かした。
顔に掛かる彼の吐息も、重なり合った唇の感触も、初めて味わった彼の舌の味も。
彼に温もりはなかったけれど、確かに彼が目の前にいたのだという存在感が、嬉しかった。
あの時、確かにアレクは自分だけのものだったのだ。
「……アレク」
舌の上に彼の名前を転がして、ミカはきゅっと布団を掴む。
彼の微笑み顔を思い出し、それに話しかけるように、呟いた。
「……大好き……」
この切なさが、苦しい。
もっと彼の傍にいたい、彼の存在を近くで感じていたいと思ってしまう。
いてもたってもいられなくなり、彼女は布団を跳ね飛ばして起き上がった。
そして、気が付く。
自分が服を全く着ていない状態だということに。
彼女は狼狽した。
「……な、何で?」
彼女には自分で服を脱いだ記憶はない。
そうなると、誰かが彼女の服を脱がせたということになる。
……まさか、アレクが?
アレクが自分の裸を見たかもしれない、そう思うと、一気に彼女の顔は真っ赤になった。
例え相手が想い人だとしても、彼女も年頃の少女だ、自分の裸を見られるのは恥ずかしいのだ。
「~~~」
テーブルの上に、服と下着が畳まれて置かれているのを発見する。
彼女は慌ててそれを掴み取り、ベッドの上に座ってそれらを身に着けた。
部屋の隅に置かれている姿見に、彼女の姿が映っている。
何となくそちらに目を向けて、彼女は思った。
……子供だって、思ったかな……アレク。
まだまだ小さな胸を揉む仕草をして、ちょっぴりしょんぼりする。
もしも人に自慢できるくらいに胸が大きかったら、ひょっとしたらアレクも喜んだかもしれないのに。
現実のアレクは胸の有無で一喜一憂するような男ではないと分かっていても、そう思わずにはいられない彼女だった。
「……御飯、行こう」
胸中の様々な思いを忘れようとするかのように、彼女は声を出してベッドから降りた。
色々な恥ずかしさはあったが、それに勝って今はとにかく無性にアレクの顔が見たかった。
今の時間なら、フロントか大広間に彼はいるはずだ。
彼に普段のようにおはようと声を掛けてもらうことを楽しみに、彼女は寝癖の付いた髪を手櫛で整えて部屋の扉を開いた。
しかしとても幸せな気分で、ミカは目を覚ました。
温かい布団のぬくもりも、部屋の静寂も。
自分を取り巻くいつもの環境が、心地良かった。
ミカは、そっと自分の唇に手を当てた。
昨晩の出来事が、鮮明に思い出される。
何だか恥ずかしくなり、布団を顔に被ってしまう。
私……アレクとキスしちゃったんだ……
体にまだ彼が圧し掛かってきた時の重さが残っているような気がして、もじもじと体を動かした。
顔に掛かる彼の吐息も、重なり合った唇の感触も、初めて味わった彼の舌の味も。
彼に温もりはなかったけれど、確かに彼が目の前にいたのだという存在感が、嬉しかった。
あの時、確かにアレクは自分だけのものだったのだ。
「……アレク」
舌の上に彼の名前を転がして、ミカはきゅっと布団を掴む。
彼の微笑み顔を思い出し、それに話しかけるように、呟いた。
「……大好き……」
この切なさが、苦しい。
もっと彼の傍にいたい、彼の存在を近くで感じていたいと思ってしまう。
いてもたってもいられなくなり、彼女は布団を跳ね飛ばして起き上がった。
そして、気が付く。
自分が服を全く着ていない状態だということに。
彼女は狼狽した。
「……な、何で?」
彼女には自分で服を脱いだ記憶はない。
そうなると、誰かが彼女の服を脱がせたということになる。
……まさか、アレクが?
アレクが自分の裸を見たかもしれない、そう思うと、一気に彼女の顔は真っ赤になった。
例え相手が想い人だとしても、彼女も年頃の少女だ、自分の裸を見られるのは恥ずかしいのだ。
「~~~」
テーブルの上に、服と下着が畳まれて置かれているのを発見する。
彼女は慌ててそれを掴み取り、ベッドの上に座ってそれらを身に着けた。
部屋の隅に置かれている姿見に、彼女の姿が映っている。
何となくそちらに目を向けて、彼女は思った。
……子供だって、思ったかな……アレク。
まだまだ小さな胸を揉む仕草をして、ちょっぴりしょんぼりする。
もしも人に自慢できるくらいに胸が大きかったら、ひょっとしたらアレクも喜んだかもしれないのに。
現実のアレクは胸の有無で一喜一憂するような男ではないと分かっていても、そう思わずにはいられない彼女だった。
「……御飯、行こう」
胸中の様々な思いを忘れようとするかのように、彼女は声を出してベッドから降りた。
色々な恥ずかしさはあったが、それに勝って今はとにかく無性にアレクの顔が見たかった。
今の時間なら、フロントか大広間に彼はいるはずだ。
彼に普段のようにおはようと声を掛けてもらうことを楽しみに、彼女は寝癖の付いた髪を手櫛で整えて部屋の扉を開いた。
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