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第71話 デュラハンの揺るぎなき想い
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淡い黄金色の空に、雲が浮かんでいる。
丸い円形の床は、二十メートルほどの広さがある。まるで空の中に浮かんだ小さな舞台のようであった。
床の外には、海か空かは分からないが淡い青色をした何かが何処までも広がっている。
門をくぐり抜けたアレクが立っていたのは、そういう場所だった。
「……アルカディアにようこそ、河合美佳さん。そして……お連れの方」
空を見上げるアレクに声を掛けたのは、純白の法衣を身に纏った金髪の女だった。
絶世の美女、その言葉がそのまま形になったような姿の女である。
彼女こそが、世界アルカディアを統括する女神なのだ。
「本来は世界渡りをする者以外は此処には通さない慣わしなのですが……貴方は、私にお話ししたいことがあるそうですね」
「はい」
アレクは女神の翡翠色の目をまっすぐに見つめて、言った。
「お願いします。僕を、ミカさんと一緒に世界渡りさせて下さい」
──それが、アレクが胸に抱いた決意。
彼は、ミカと共に同じ世界に渡るつもりなのだ。
「……それは」
女神はやや困ったように首をことりと傾けて、答えた。
「アルカディアに、本来ならば一人しか降り立たない勇者を二人立たせろということですか?」
「僕は、彼女の傍に居続けたいのです」
アレクは腕の中のミカを見た。
「彼女と約束しました。彼女のことは僕が守ると。僕はその約束を守り続けたい……どうか、お願いです」
「…………」
沈黙することしばし。
女神はふうっと息を吐くと、口を開いた。
「河合美佳さんも、貴方も、亡くなられている身……世界渡りをするとなると、全く別の姿に生まれ直す必要があります」
既に死んでいる彼らは、そのままの形で世界渡りを行うことはできない。
世界渡りを行うためには、その身を命ある生者に変える必要があるのだ。
「姿も、場合によっては名前も変わって、全く別の人間として生きるのです。それでも構いませんか?」
それは、互いの姿が変わり、一目見ただけでは分からなくなるということだ。
生まれ落ちる場所も、遠く離れたところになるかもしれない。
ひょっとしたら、アレクとミカが再び出会うことはないかもしれない。
──それでも、アレクは躊躇わなかった。
「……構いません」
彼は──僅かな可能性に賭けることを選んだのだ。
「どんな姿になっても、絶対に、ミカさんを見つけてみせます。彼女と交わした約束を、必ず果たしてみせます」
「……分かりました」
女神は頷いた。
「そこまで仰られるのでしたら、私から言うことは何もありません。世界渡りの儀式を執り行いましょう」
彼女の手が、静かにアレクたちへと向けられる。
アレクはミカの額を撫で、言った。
「……ミカさん。どんなに時間がかかっても、僕は必ず貴女を探し出す。そして今度こそ、二人で共に生きよう」
彼らの全身が光に包まれる。
彼らの体は輪郭を徐々に失い、光の欠片となって虚空へと散っていった。
「だから……またね」
丸い円形の床は、二十メートルほどの広さがある。まるで空の中に浮かんだ小さな舞台のようであった。
床の外には、海か空かは分からないが淡い青色をした何かが何処までも広がっている。
門をくぐり抜けたアレクが立っていたのは、そういう場所だった。
「……アルカディアにようこそ、河合美佳さん。そして……お連れの方」
空を見上げるアレクに声を掛けたのは、純白の法衣を身に纏った金髪の女だった。
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彼女こそが、世界アルカディアを統括する女神なのだ。
「本来は世界渡りをする者以外は此処には通さない慣わしなのですが……貴方は、私にお話ししたいことがあるそうですね」
「はい」
アレクは女神の翡翠色の目をまっすぐに見つめて、言った。
「お願いします。僕を、ミカさんと一緒に世界渡りさせて下さい」
──それが、アレクが胸に抱いた決意。
彼は、ミカと共に同じ世界に渡るつもりなのだ。
「……それは」
女神はやや困ったように首をことりと傾けて、答えた。
「アルカディアに、本来ならば一人しか降り立たない勇者を二人立たせろということですか?」
「僕は、彼女の傍に居続けたいのです」
アレクは腕の中のミカを見た。
「彼女と約束しました。彼女のことは僕が守ると。僕はその約束を守り続けたい……どうか、お願いです」
「…………」
沈黙することしばし。
女神はふうっと息を吐くと、口を開いた。
「河合美佳さんも、貴方も、亡くなられている身……世界渡りをするとなると、全く別の姿に生まれ直す必要があります」
既に死んでいる彼らは、そのままの形で世界渡りを行うことはできない。
世界渡りを行うためには、その身を命ある生者に変える必要があるのだ。
「姿も、場合によっては名前も変わって、全く別の人間として生きるのです。それでも構いませんか?」
それは、互いの姿が変わり、一目見ただけでは分からなくなるということだ。
生まれ落ちる場所も、遠く離れたところになるかもしれない。
ひょっとしたら、アレクとミカが再び出会うことはないかもしれない。
──それでも、アレクは躊躇わなかった。
「……構いません」
彼は──僅かな可能性に賭けることを選んだのだ。
「どんな姿になっても、絶対に、ミカさんを見つけてみせます。彼女と交わした約束を、必ず果たしてみせます」
「……分かりました」
女神は頷いた。
「そこまで仰られるのでしたら、私から言うことは何もありません。世界渡りの儀式を執り行いましょう」
彼女の手が、静かにアレクたちへと向けられる。
アレクはミカの額を撫で、言った。
「……ミカさん。どんなに時間がかかっても、僕は必ず貴女を探し出す。そして今度こそ、二人で共に生きよう」
彼らの全身が光に包まれる。
彼らの体は輪郭を徐々に失い、光の欠片となって虚空へと散っていった。
「だから……またね」
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