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第72話 二人のその後の話
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アレクが去ったホテル・ミラージュは、普段と変わることなく営業を続けている。
大勢の客人たちの相手をして、最高のもてなしで彼らを迎えて──
アレクがいなくなっても、皆は大丈夫のようだね。
中には、アレクがいなくなった理由を不思議に思う人もいたようだけど……
彼らは彼らで、旅館を盛り上げていってくれることだろう。
私も安心して、旅館の行く末を見守っていることができるよ。
……世界渡りをしたアレクとミカはどうなったのかって?
彼らは女神の力によって、無事に世界渡りを果たしたよ。
今頃彼らは、各々の人生を一生懸命に生きているはずだ。
新しい人生を謳歌している彼らに水を差すのは野暮というものだ。
ここは静かに、彼らの新しい人間としての暮らしを応援してあげようじゃないか。
何、二人のその後が気になるって?
……仕方がないね。ほんの少しだけ、二人の様子を覗いてみるとしよう。
アルカディア。剣と魔法が存在し、自然界に魔物が数多く生息する世界。
人々は各地に街や村を作りながら、魔物と戦い、日々を暮らしている。
ミカは、とある村に暮らす普通の村娘として過ごしていた。
齢、十五。長い金茶の髪を三つ編みにした、純朴な雰囲気の娘。それが今の彼女の姿だ。
「ミカちゃん。森には魔物がいるからね、気を付けるんだよ」
「奥には行かないから、大丈夫。行ってきます」
近所のおばさんに手を振られ、ミカは籠を持って村近くの森へと出かけた。
病気によく効く薬草を摘むために、何日かに一度こうして村の外へと出ているのだ。
歩き慣れた道を歩きながら、ミカは空を見上げる。
よく晴れた空には白い綿毛のような雲が浮かび、鳥の群れが高いところを飛んでいた。
「……いい天気」
呟いて、機嫌良く森の入口へと足を踏み入れる。
森は奥の方は魔物が棲んでいるため足を踏み入れる者はいないが、入口近辺は結構頻繁に人の出入りがあるため道も整備されている。
歩きやすい開けた道を、彼女はいつもの薬草の採集場所を目指して進んでいった。
薬草の採集場所は、森を入ってすぐの場所にある。
薬草以外にも食べられる野草なんかが生えており、そこはちょっとした宝の山なのだ。
すぐに目的の場所に到着したミカは、スカートをたくし上げて草むらの中へと入っていった。
「♪~」
鼻歌を歌いながら、目的の薬草を摘んで籠へと入れていく。
三十分ほどで、籠は薬草で一杯になった。
さて、帰ろう。籠を持ってミカが立ち上がると。
近くの茂みががさがさと揺れて、そこから毒々しい色の花を咲かせた根っこの塊のような生き物が姿を現した。
ポイズンアイビー。小動物や昆虫などを餌としている、毒素を持った植物の魔物だ。
「……!」
ミカはびくっとしてその場を後ずさった。
魔物は、基本的に森の奥に行かないといない。しかし、森の入口付近に決していないというわけでもない。
その万が一の可能性に、彼女は運悪く当たってしまったのだ。
ポイズンアイビーは、ミカに興味を示したのか長い蔓を撓らせながら彼女に近付いていく。
ミカは逃げようと踵を返して──
木の根に足を引っ掛けて、その場にひっくり返ってしまった。
抱えていた籠が宙を飛び、ポイズンアイビーの花に引っ掛かる。
それを危害を加えられたと勘違いしたのか、ポイズンアイビーは蔓を振り上げて彼女との距離を一気に詰めてきた!
「きゃ……」
恐怖に全身を強張らせ、身を竦めて目をぎゅっと閉じるミカ。
しゃああ、と何処にあるかも分からない口から声を発するポイズンアイビー。
彼女を捕らえるべく、蔓が勢い良く振り下ろされて──
ひゅかっ!
横から飛んできたナイフが、蔓に命中して蔓を短く切り落とした。
大勢の客人たちの相手をして、最高のもてなしで彼らを迎えて──
アレクがいなくなっても、皆は大丈夫のようだね。
中には、アレクがいなくなった理由を不思議に思う人もいたようだけど……
彼らは彼らで、旅館を盛り上げていってくれることだろう。
私も安心して、旅館の行く末を見守っていることができるよ。
……世界渡りをしたアレクとミカはどうなったのかって?
彼らは女神の力によって、無事に世界渡りを果たしたよ。
今頃彼らは、各々の人生を一生懸命に生きているはずだ。
新しい人生を謳歌している彼らに水を差すのは野暮というものだ。
ここは静かに、彼らの新しい人間としての暮らしを応援してあげようじゃないか。
何、二人のその後が気になるって?
……仕方がないね。ほんの少しだけ、二人の様子を覗いてみるとしよう。
アルカディア。剣と魔法が存在し、自然界に魔物が数多く生息する世界。
人々は各地に街や村を作りながら、魔物と戦い、日々を暮らしている。
ミカは、とある村に暮らす普通の村娘として過ごしていた。
齢、十五。長い金茶の髪を三つ編みにした、純朴な雰囲気の娘。それが今の彼女の姿だ。
「ミカちゃん。森には魔物がいるからね、気を付けるんだよ」
「奥には行かないから、大丈夫。行ってきます」
近所のおばさんに手を振られ、ミカは籠を持って村近くの森へと出かけた。
病気によく効く薬草を摘むために、何日かに一度こうして村の外へと出ているのだ。
歩き慣れた道を歩きながら、ミカは空を見上げる。
よく晴れた空には白い綿毛のような雲が浮かび、鳥の群れが高いところを飛んでいた。
「……いい天気」
呟いて、機嫌良く森の入口へと足を踏み入れる。
森は奥の方は魔物が棲んでいるため足を踏み入れる者はいないが、入口近辺は結構頻繁に人の出入りがあるため道も整備されている。
歩きやすい開けた道を、彼女はいつもの薬草の採集場所を目指して進んでいった。
薬草の採集場所は、森を入ってすぐの場所にある。
薬草以外にも食べられる野草なんかが生えており、そこはちょっとした宝の山なのだ。
すぐに目的の場所に到着したミカは、スカートをたくし上げて草むらの中へと入っていった。
「♪~」
鼻歌を歌いながら、目的の薬草を摘んで籠へと入れていく。
三十分ほどで、籠は薬草で一杯になった。
さて、帰ろう。籠を持ってミカが立ち上がると。
近くの茂みががさがさと揺れて、そこから毒々しい色の花を咲かせた根っこの塊のような生き物が姿を現した。
ポイズンアイビー。小動物や昆虫などを餌としている、毒素を持った植物の魔物だ。
「……!」
ミカはびくっとしてその場を後ずさった。
魔物は、基本的に森の奥に行かないといない。しかし、森の入口付近に決していないというわけでもない。
その万が一の可能性に、彼女は運悪く当たってしまったのだ。
ポイズンアイビーは、ミカに興味を示したのか長い蔓を撓らせながら彼女に近付いていく。
ミカは逃げようと踵を返して──
木の根に足を引っ掛けて、その場にひっくり返ってしまった。
抱えていた籠が宙を飛び、ポイズンアイビーの花に引っ掛かる。
それを危害を加えられたと勘違いしたのか、ポイズンアイビーは蔓を振り上げて彼女との距離を一気に詰めてきた!
「きゃ……」
恐怖に全身を強張らせ、身を竦めて目をぎゅっと閉じるミカ。
しゃああ、と何処にあるかも分からない口から声を発するポイズンアイビー。
彼女を捕らえるべく、蔓が勢い良く振り下ろされて──
ひゅかっ!
横から飛んできたナイフが、蔓に命中して蔓を短く切り落とした。
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