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第8話 収穫
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朝食を終えた僕とメネは、神果の収穫のために畑に訪れた。
昨日は何もなかった土の絨毯が、今は緑の絨毯と化している。
青々と生い茂る葉っぱは、荒地に植えたとは思えないくらいの瑞々しさだ。
本当に、一日でこんなに育つんだなぁ。
それじゃあ、収穫をしよう。
籠を手に、僕は畑に入った。
神果は大粒の苺のような見た目をした赤い果実で、茎にぶら下がるようにしてそこかしこに実っていた。
この甘い香り。エルじゃないけどつい食べたくなるね。
神果って、人間が食べるとどうなるんだろう?
「メネ、神果って人間が食べても平気なの?」
果実がなった茎を懸命に引っ張っているメネに声を掛けると、メネは笑いながら答えてくれた。
「うん、大丈夫だよー。ラファニエルは甘くて美味しいって言ってたよ」
ラファニエルも食べたのか。
食べられると聞いたら、食べずにはいられない。
ひとつだけ、貰おう。味見味見。
僕は収穫した神果を口に運んだ。
噛むと、じゅわっと甘い果汁が口の中一杯に溢れてきた。程好い酸味と甘味が混じり合ったこの味は、本当に苺みたいだ。
ついもう一個、って手を伸ばしたくなるね。
でも、我慢。これはレッドのための御飯なんだから。
おかわりしたくなる欲求を抑えて、僕は籠に神果をどんどん摘み取っていった。
神果は、用意した五つの籠が一杯になるくらい収穫できた。
これだけあれば、しばらくは困らないだろう。
「マスター、神果を収穫した後の苗は抜いておいてね。新しい種を植えるから」
「うん、分かった」
抜いた後の苗は、畑の脇に穴を掘ってそこに入れることにした。
こうしておくと、苗が枯れて腐葉土みたくなって、土の栄養になるんだって。
苗を抜いて何もなくなった畑の土をメネの魔法で耕し直して、新しい種を植えていく。
農作業って、大変だけど楽しいね。此処は荒地だし世界はこんなだけど、土いじりをしている間はこの土地も生きてるんだって感じがするよ。
種蒔きを終えた畑を眺めていると、メネが僕に尋ねてきた。
「木を植えるって言ってたけど、何処に植える?」
そうだ。庭を造ろうって考えてたんだった。
僕はメネを連れて家の窓がある辺りに移動した。
此処も荒れてるな。まずは地面の罅割れをどうにかしないと。
「此処を庭にしようって思ってるんだ」
「どんなお庭にしたいの?」
「うーんとねぇ……」
僕はメネに頭の中にある庭のイメージを伝えた。
木がたくさん植わっていて、地面は芝生で、花を植えたプランターが並んでいて、休憩時間にお茶が飲めるようなテーブルと椅子が置かれていて……
僕の話を聞いていたメネが、それならと言った。
「だったら、いいものがあるよ!」
昨日は何もなかった土の絨毯が、今は緑の絨毯と化している。
青々と生い茂る葉っぱは、荒地に植えたとは思えないくらいの瑞々しさだ。
本当に、一日でこんなに育つんだなぁ。
それじゃあ、収穫をしよう。
籠を手に、僕は畑に入った。
神果は大粒の苺のような見た目をした赤い果実で、茎にぶら下がるようにしてそこかしこに実っていた。
この甘い香り。エルじゃないけどつい食べたくなるね。
神果って、人間が食べるとどうなるんだろう?
「メネ、神果って人間が食べても平気なの?」
果実がなった茎を懸命に引っ張っているメネに声を掛けると、メネは笑いながら答えてくれた。
「うん、大丈夫だよー。ラファニエルは甘くて美味しいって言ってたよ」
ラファニエルも食べたのか。
食べられると聞いたら、食べずにはいられない。
ひとつだけ、貰おう。味見味見。
僕は収穫した神果を口に運んだ。
噛むと、じゅわっと甘い果汁が口の中一杯に溢れてきた。程好い酸味と甘味が混じり合ったこの味は、本当に苺みたいだ。
ついもう一個、って手を伸ばしたくなるね。
でも、我慢。これはレッドのための御飯なんだから。
おかわりしたくなる欲求を抑えて、僕は籠に神果をどんどん摘み取っていった。
神果は、用意した五つの籠が一杯になるくらい収穫できた。
これだけあれば、しばらくは困らないだろう。
「マスター、神果を収穫した後の苗は抜いておいてね。新しい種を植えるから」
「うん、分かった」
抜いた後の苗は、畑の脇に穴を掘ってそこに入れることにした。
こうしておくと、苗が枯れて腐葉土みたくなって、土の栄養になるんだって。
苗を抜いて何もなくなった畑の土をメネの魔法で耕し直して、新しい種を植えていく。
農作業って、大変だけど楽しいね。此処は荒地だし世界はこんなだけど、土いじりをしている間はこの土地も生きてるんだって感じがするよ。
種蒔きを終えた畑を眺めていると、メネが僕に尋ねてきた。
「木を植えるって言ってたけど、何処に植える?」
そうだ。庭を造ろうって考えてたんだった。
僕はメネを連れて家の窓がある辺りに移動した。
此処も荒れてるな。まずは地面の罅割れをどうにかしないと。
「此処を庭にしようって思ってるんだ」
「どんなお庭にしたいの?」
「うーんとねぇ……」
僕はメネに頭の中にある庭のイメージを伝えた。
木がたくさん植わっていて、地面は芝生で、花を植えたプランターが並んでいて、休憩時間にお茶が飲めるようなテーブルと椅子が置かれていて……
僕の話を聞いていたメネが、それならと言った。
「だったら、いいものがあるよ!」
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