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第64話 天上の道
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神界の入口を通り抜けた先は、白く光り輝く雲に覆われた登り階段が天に向かって伸びている不思議な世界だった。
階段の果ては、此処からでは見えない。光に包まれて、まるで果てのない道のように見える。
これが……神界?
「……此処が神界?」
「此処は神界じゃないわ。下界と神界の狭間にある世界……私たちは『天上の道』と呼んでいる場所よ」
僕の後ろを付いて来たカエラが説明した。
「神界の者でない存在が下界から神界に行く時は、此処を通らないといけないの。神界に行く覚悟と資格があるかどうかを試す、言わば試練のようなものよ」
「試練……」
ただで行けるほど甘くはないということか。
僕はすっと息を深く吸って、一歩を踏み出した。
カエラはそんな僕の様子を見つめながら、横に並んで付いて来る。
「此処には神たちが用意した『試練』があるわ。それを超えなければ神界に行くことはできない。覚悟しておくことね」
「覚悟はできてるよ。僕は逃げたりしない」
僕は自分にも言い聞かせるつもりで言葉を口にして、階段をどんどん上がっていった。
階段を上がり始めて三十分が過ぎた。
階段の果ては、まだ見えない。
足がちょっと痛くなってきた。
僕は一旦立ち止まり、膝を掌で叩いた。
それを見ていたカエラが、腕を組みながら尋ねてくる。
「もう疲れたの? 軟弱ね」
「大丈夫だよ。ちょっと足が痛いだけだ」
「そう」
彼女はふいっと前を向いて、
目を細めて、前を見据えたまま言った。
「来たわ。『試練』よ」
彼女が見る方に目を向けると──
真っ白な石でできた甲冑の上半身のようなものが、宙に浮かびながらこちらに迫ってくるのが見えた。
手に、刃の長い剣を持っている。それも石でできているようなので切れ味は分からないが、殴られたら痛そうだということだけは伝わってきた。
あれが、試練。
どうにかしてあれを撃退しろということか。
僕が身構えると、カエラが掌を僕に向けて翳した。
そのまま念を込める。
すると、僕の目の前にカエラの魔力が収束して──それは一本の剣となった。
「肝心の貴方が丸腰だと意味がないものね。特別に武器を貸してあげるわ。感謝しなさいよ」
「ありがとう、カエラ」
僕は剣を手に取った。
魔力で作られた剣は、重さはなく、まるで長年使ってきたもののように手に馴染んだ。
僕は剣なんて使ったことはないけれど、そんな弱音は吐いていられない。
石像が剣を振りかぶりながら、突進してくる。
僕は剣を構えて、それを真正面から受け止めた。
階段の果ては、此処からでは見えない。光に包まれて、まるで果てのない道のように見える。
これが……神界?
「……此処が神界?」
「此処は神界じゃないわ。下界と神界の狭間にある世界……私たちは『天上の道』と呼んでいる場所よ」
僕の後ろを付いて来たカエラが説明した。
「神界の者でない存在が下界から神界に行く時は、此処を通らないといけないの。神界に行く覚悟と資格があるかどうかを試す、言わば試練のようなものよ」
「試練……」
ただで行けるほど甘くはないということか。
僕はすっと息を深く吸って、一歩を踏み出した。
カエラはそんな僕の様子を見つめながら、横に並んで付いて来る。
「此処には神たちが用意した『試練』があるわ。それを超えなければ神界に行くことはできない。覚悟しておくことね」
「覚悟はできてるよ。僕は逃げたりしない」
僕は自分にも言い聞かせるつもりで言葉を口にして、階段をどんどん上がっていった。
階段を上がり始めて三十分が過ぎた。
階段の果ては、まだ見えない。
足がちょっと痛くなってきた。
僕は一旦立ち止まり、膝を掌で叩いた。
それを見ていたカエラが、腕を組みながら尋ねてくる。
「もう疲れたの? 軟弱ね」
「大丈夫だよ。ちょっと足が痛いだけだ」
「そう」
彼女はふいっと前を向いて、
目を細めて、前を見据えたまま言った。
「来たわ。『試練』よ」
彼女が見る方に目を向けると──
真っ白な石でできた甲冑の上半身のようなものが、宙に浮かびながらこちらに迫ってくるのが見えた。
手に、刃の長い剣を持っている。それも石でできているようなので切れ味は分からないが、殴られたら痛そうだということだけは伝わってきた。
あれが、試練。
どうにかしてあれを撃退しろということか。
僕が身構えると、カエラが掌を僕に向けて翳した。
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すると、僕の目の前にカエラの魔力が収束して──それは一本の剣となった。
「肝心の貴方が丸腰だと意味がないものね。特別に武器を貸してあげるわ。感謝しなさいよ」
「ありがとう、カエラ」
僕は剣を手に取った。
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僕は剣なんて使ったことはないけれど、そんな弱音は吐いていられない。
石像が剣を振りかぶりながら、突進してくる。
僕は剣を構えて、それを真正面から受け止めた。
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