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第33話 逆さの塔・二階
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逆さの塔、二階。
一階よりも広い間取りを備えたその部屋は、先程とは打って変わって殺風景な造りをしていた。
城の廊下の一角を切り取ったかのような構造をした空間の中にあるのは、台座の上に飾られた馬の石像がふたつ、それのみ。床にあるシャンデリアも先程のものよりは豪華ではなく、控え目に部屋全体を照らしている。
おそらく、あの石像も部屋に侵入者が訪れたら動き出す仕掛けになっているのだろう。
階段は、石像を挟んだ部屋の反対側にあった。
階段を登ろうとしたら、嫌でも石像の傍を通ることになるというわけか。嫌な配置だ。
「先に石像を壊してしまうのはどうでしょう?」
石像に杖の先端を向けながら、アリスさんが問うてくる。
僕は渋い顔をした。
「そう簡単には壊れないと思うよ」
「……そうですか」
彼女はやや残念そうな顔をして肩を竦めると、一応試してみると言わんばかりに魔術を唱えた。
「アイシクルランス!」
彼女が生み出した氷の槍が、石像の頭に直撃する。
びきっ、と固い破砕の音が鳴り、石像はふたつとも台座から滑り落ちるように床へと落下した。
着地して、足で床を掻く仕草をする石像たち。
そして、僕たちめがけて高速で突っ込んできた!
「わあぁっ!?」
弾丸のような突進を、僕は悲鳴を上げながらも何とかかわした。
風が巻き起こり、アリスさんが纏っているローブの裾を跳ね上げる。
アリスさんは慣れた様子で石像たちから距離を置くと、冷静に魔術を放った。
「ファイアボール!」
石像が駆ける速さに劣らないスピードで、火球が石像の一体に直撃する。
先の魔術で罅の入った頭を吹き飛ばされて、石像はただの石となり床に転がった。
残ったもう一体が、アリスさんに狙いを定めて床を蹴る。
宙高く跳んだ巨体が、彼女に迫る。
それを彼女はぎりぎりまで引き付けて、叫んだ。
「ウィンドボム!」
ぱぁん、と空気が膨張し、弾けた。
まともに魔術を食らった石像は吹っ飛んで、壁に激突し砕け散った。
ばらばらと石の欠片となって床に落ちる石像を見据えて、ふーっと大きく息を吐く。
「……見た目よりも脆い相手で良かったです」
遠巻きに彼女が戦うところを見ていた僕の方を見て、にこりとした。
「此処はもう安全です。次の階に行きましょう」
「君……結構脳筋だね。罠をわざと踏んで壊すとか、普通はやらないよ」
「あのまま進んでも結局は動き出していたでしょうから。先手必勝ですよ」
……確かに、罠は階段に近付こうとすると作動するみたいだから、結局は戦うことになっていたのだろうが。
それにしても、罠をわざと踏むなんて。まるで昔の僕を見ているみたいだ。
当時の僕をフラウやアラグはこういう気持ちで見ていたんだな、と気付かされ、過去の振る舞いをちょっぴり反省する僕なのだった。
一階よりも広い間取りを備えたその部屋は、先程とは打って変わって殺風景な造りをしていた。
城の廊下の一角を切り取ったかのような構造をした空間の中にあるのは、台座の上に飾られた馬の石像がふたつ、それのみ。床にあるシャンデリアも先程のものよりは豪華ではなく、控え目に部屋全体を照らしている。
おそらく、あの石像も部屋に侵入者が訪れたら動き出す仕掛けになっているのだろう。
階段は、石像を挟んだ部屋の反対側にあった。
階段を登ろうとしたら、嫌でも石像の傍を通ることになるというわけか。嫌な配置だ。
「先に石像を壊してしまうのはどうでしょう?」
石像に杖の先端を向けながら、アリスさんが問うてくる。
僕は渋い顔をした。
「そう簡単には壊れないと思うよ」
「……そうですか」
彼女はやや残念そうな顔をして肩を竦めると、一応試してみると言わんばかりに魔術を唱えた。
「アイシクルランス!」
彼女が生み出した氷の槍が、石像の頭に直撃する。
びきっ、と固い破砕の音が鳴り、石像はふたつとも台座から滑り落ちるように床へと落下した。
着地して、足で床を掻く仕草をする石像たち。
そして、僕たちめがけて高速で突っ込んできた!
「わあぁっ!?」
弾丸のような突進を、僕は悲鳴を上げながらも何とかかわした。
風が巻き起こり、アリスさんが纏っているローブの裾を跳ね上げる。
アリスさんは慣れた様子で石像たちから距離を置くと、冷静に魔術を放った。
「ファイアボール!」
石像が駆ける速さに劣らないスピードで、火球が石像の一体に直撃する。
先の魔術で罅の入った頭を吹き飛ばされて、石像はただの石となり床に転がった。
残ったもう一体が、アリスさんに狙いを定めて床を蹴る。
宙高く跳んだ巨体が、彼女に迫る。
それを彼女はぎりぎりまで引き付けて、叫んだ。
「ウィンドボム!」
ぱぁん、と空気が膨張し、弾けた。
まともに魔術を食らった石像は吹っ飛んで、壁に激突し砕け散った。
ばらばらと石の欠片となって床に落ちる石像を見据えて、ふーっと大きく息を吐く。
「……見た目よりも脆い相手で良かったです」
遠巻きに彼女が戦うところを見ていた僕の方を見て、にこりとした。
「此処はもう安全です。次の階に行きましょう」
「君……結構脳筋だね。罠をわざと踏んで壊すとか、普通はやらないよ」
「あのまま進んでも結局は動き出していたでしょうから。先手必勝ですよ」
……確かに、罠は階段に近付こうとすると作動するみたいだから、結局は戦うことになっていたのだろうが。
それにしても、罠をわざと踏むなんて。まるで昔の僕を見ているみたいだ。
当時の僕をフラウやアラグはこういう気持ちで見ていたんだな、と気付かされ、過去の振る舞いをちょっぴり反省する僕なのだった。
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