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第150話 不可思議に満ちた遺跡
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遺跡の内部は、まるで上から太陽の光で照らしているかのように明るかった。
天井は壁や床と同様に白い石でできており、窓もなければ燭台の類もない。魔光が点っているわけでもないのに、何とも不思議である。
真っ白で継ぎ目ひとつない構造の中を進む感覚は、まるで巨大な生き物の骨の中を歩いているようだった。
まっすぐ伸びた通路の両脇には何もない小部屋が幾つも並んでいた。元は何かがあったのだろうか……宿屋の部屋くらいの広さがある空間は、見事なまでに殺風景で一種の不気味さすら感じられた。
部屋の並びが途切れると、蜂の巣状の石網が通路を塞ぐ形で広がっている場所に出た。
石網の中心には掌サイズの六角形の板が填め込まれており、それには入口の扉と同様に小さな水晶が填まっている。
「行き止まりか?」
石網を見上げてクレハが眉を顰める。
「でも……此処まで一本道だったよなぁ」
石網の向こうには通路が延びているのが見える。遺跡全体の広さを考えても、此処で道が終わりだとは考えづらかった。
石網を見上げていたキクが、小さな声で呟いた。
「ひょっとして……此処も入口と同じ」
「…………」
僕は左手の指輪を見つめた。
すっと息を吸い、石網の中心にある小さな水晶へと指輪を近付けていく。
指輪の宝石と水晶とが重なる。
すると、宝石に例の紋様が浮かび上がり、水晶が青く輝いて──
石網全体が光を帯び、幻影が消えるようにすうっと僕たちの目の前から消えていった。
物質である石が消失するなんて……一体この遺跡を造っているこの石は何でできてるんだ?
気にはなるが、今は内部を探索する方が先だ。
僕たちは通路を更に奥へと進んでいった。
石網は何枚もあり僕たちの行く手を阻んだが、全て僕が指輪を水晶に翳すことによって開くことができた。
そうして、五分ほど通路を進んだだろうか。
通路は終わり、僕たちは広めの部屋に出た。
円形になっている部屋の広さは十メートルほど。部屋の中心に階段が設けられた台座のようなものがあり、正面の壁には大きな石版のような板が貼り付けられている。
石版には黒い塗料で何かの文字が書かれていた。魔術文字でも錬金文字でもない、絵のようにも見える謎の文字だ。
一面真っ白な空間なので、文字の黒は酷く目立っていた。
僕たちは台座の横を通り過ぎ、石版に近付いた。
「何やろな? これ」
石版に書かれた文字を指先でなぞるクレハ。
キクは文字を見て小首を傾げている。
僕はもしやと思い指輪を石版に近付けてみたが、石版からは何の反応もなかった。
どうやら指輪の力は関係なさそうだ。
「解読できれば良かったんだろうけど……」
言いながら、僕は後方の台座に振り返る。
台座は円形の小さな舞台のような作りをしていた。大きさは人が一人乗れるくらいで、装飾の類はない。階段がなければ床の出っ張りのように見える代物だった。
僕は試しに台座に乗ってみた。
平たい台座は立ちやすかったが、それだけだ。何のためにあるものなのかはさっぱり分からなかった。
「これで終いなんかなぁ」
クレハが石版をこんこんと拳で叩く。
その時だった。
石版に書かれていた文字に変化が起きた。
紫色の光を放ちながら、ゆっくりと滑るように石版から抜け出してきたのだ。
文字は宙にふわりと浮かび、その形を紐を編むように複雑に変化させた。
纏っている紫の光が強くなる。
僕たちが注目する中──それは、巨大な雷の球を目の前に生み出した!
「……へ?」
ぽかんとするクレハに雷の球が高速で飛びかかる。
クレハはびくっとして、それを直撃する寸でのところでかわした。
後方の壁に当たり、雷の球は四散した。
文字はなおも形を変化させながら、少しずつクレハに近付いていく。
僕は叫んだ。
「魔術罠だ! そいつは仕掛けられた魔物だ!」
「ほお……」
クレハは唇をぺろりと舐めて、腰に下げていたカタールを手に取った。
「そいつは何とも、楽しい仕掛けやんなぁ」
全身を揺らしてリズムを刻みながら、両手で構えを取る。
文字が再び雷の球を生み出す。
クレハはそれに怯むことなく、真っ向から文字に向かっていった。
天井は壁や床と同様に白い石でできており、窓もなければ燭台の類もない。魔光が点っているわけでもないのに、何とも不思議である。
真っ白で継ぎ目ひとつない構造の中を進む感覚は、まるで巨大な生き物の骨の中を歩いているようだった。
まっすぐ伸びた通路の両脇には何もない小部屋が幾つも並んでいた。元は何かがあったのだろうか……宿屋の部屋くらいの広さがある空間は、見事なまでに殺風景で一種の不気味さすら感じられた。
部屋の並びが途切れると、蜂の巣状の石網が通路を塞ぐ形で広がっている場所に出た。
石網の中心には掌サイズの六角形の板が填め込まれており、それには入口の扉と同様に小さな水晶が填まっている。
「行き止まりか?」
石網を見上げてクレハが眉を顰める。
「でも……此処まで一本道だったよなぁ」
石網の向こうには通路が延びているのが見える。遺跡全体の広さを考えても、此処で道が終わりだとは考えづらかった。
石網を見上げていたキクが、小さな声で呟いた。
「ひょっとして……此処も入口と同じ」
「…………」
僕は左手の指輪を見つめた。
すっと息を吸い、石網の中心にある小さな水晶へと指輪を近付けていく。
指輪の宝石と水晶とが重なる。
すると、宝石に例の紋様が浮かび上がり、水晶が青く輝いて──
石網全体が光を帯び、幻影が消えるようにすうっと僕たちの目の前から消えていった。
物質である石が消失するなんて……一体この遺跡を造っているこの石は何でできてるんだ?
気にはなるが、今は内部を探索する方が先だ。
僕たちは通路を更に奥へと進んでいった。
石網は何枚もあり僕たちの行く手を阻んだが、全て僕が指輪を水晶に翳すことによって開くことができた。
そうして、五分ほど通路を進んだだろうか。
通路は終わり、僕たちは広めの部屋に出た。
円形になっている部屋の広さは十メートルほど。部屋の中心に階段が設けられた台座のようなものがあり、正面の壁には大きな石版のような板が貼り付けられている。
石版には黒い塗料で何かの文字が書かれていた。魔術文字でも錬金文字でもない、絵のようにも見える謎の文字だ。
一面真っ白な空間なので、文字の黒は酷く目立っていた。
僕たちは台座の横を通り過ぎ、石版に近付いた。
「何やろな? これ」
石版に書かれた文字を指先でなぞるクレハ。
キクは文字を見て小首を傾げている。
僕はもしやと思い指輪を石版に近付けてみたが、石版からは何の反応もなかった。
どうやら指輪の力は関係なさそうだ。
「解読できれば良かったんだろうけど……」
言いながら、僕は後方の台座に振り返る。
台座は円形の小さな舞台のような作りをしていた。大きさは人が一人乗れるくらいで、装飾の類はない。階段がなければ床の出っ張りのように見える代物だった。
僕は試しに台座に乗ってみた。
平たい台座は立ちやすかったが、それだけだ。何のためにあるものなのかはさっぱり分からなかった。
「これで終いなんかなぁ」
クレハが石版をこんこんと拳で叩く。
その時だった。
石版に書かれていた文字に変化が起きた。
紫色の光を放ちながら、ゆっくりと滑るように石版から抜け出してきたのだ。
文字は宙にふわりと浮かび、その形を紐を編むように複雑に変化させた。
纏っている紫の光が強くなる。
僕たちが注目する中──それは、巨大な雷の球を目の前に生み出した!
「……へ?」
ぽかんとするクレハに雷の球が高速で飛びかかる。
クレハはびくっとして、それを直撃する寸でのところでかわした。
後方の壁に当たり、雷の球は四散した。
文字はなおも形を変化させながら、少しずつクレハに近付いていく。
僕は叫んだ。
「魔術罠だ! そいつは仕掛けられた魔物だ!」
「ほお……」
クレハは唇をぺろりと舐めて、腰に下げていたカタールを手に取った。
「そいつは何とも、楽しい仕掛けやんなぁ」
全身を揺らしてリズムを刻みながら、両手で構えを取る。
文字が再び雷の球を生み出す。
クレハはそれに怯むことなく、真っ向から文字に向かっていった。
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