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第166話 天空神殿への道
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翌日の朝。店の前に集合した僕たちは、シャーリーンさんの幻獣に乗ってギゼ砂漠を目指し南へと飛んだ。
今回は砂漠に行くということもあって、熱波にやられないようにとコールドドリンクを人数分用意した。
ギゼ砂漠はアンゴラ砂漠のように高温地帯だという話は聞かないが、念のためというやつだ。
幻獣に乗り、八時間が経過。
広大な砂地の中にぽつんと見える白い建物──その前に、僕たちは降り立った。
風が強い。肌を炙る高温の空気の塊が、辺りの砂を巻き上げながら地を滑っている。
何もしていないというのに汗が噴き出し、息が切れてくる。
長時間此処に滞在していたら熱にやられるという何よりの証拠だ。
……あ、ファイア・スプライトだ。
離れたところを風に乗って飛んでいく茜色の光の玉を見て、僕はふうっと息を吐いた。
ファイア・スプライトは主に高温の地域や火山帯など、気温が高い場所に湧く。
あんなのがいるってことは、やっぱり此処ら一帯は相当気温が高いんだな。
コールドドリンク、準備しておいて良かった。
「ふー。砂漠は暑いのぅ」
クレハはさっさと胴着の上半分を脱いで、引き締められた肉体を晒している。
あそこまで立派な体をしているなら、きっと人に体を見られる抵抗感もないんだろうな。僕にはとても真似はできない。
僕は皆にコールドドリンクを配って、自らも一息に呷った。
全身を取り巻いていた熱気が、すっと引くように薄れていく。
流石、コールドドリンク。効果は絶大だ。
シャーリーンさんは遺跡の入口の前に立ち、遺跡を見上げていた。
遺跡の入口を塞いでいる扉は今までに見てきたものと同じ模様が刻まれた扉で、やはりというか中心部分に小さな水晶が填め込まれている。
「この中に、天空神殿への道を繋ぐ装置があるのか」
「はい」
シャーリーンさんは一歩横にずれて、言った。
「お願いします、シルカさん」
僕は扉に近付いて、指輪を填めた左手を扉の水晶に近付けた。
ヴォン……
扉の模様が青く光り輝き、扉が音を立てて開いていく。
扉の向こうには、広い空間が広がっていた。
継ぎ目のない白い壁に囲まれた円形の空間の中心に、大きな舞台のような台座がある。台座の中心には等身大の女性の石像が立っており、それは両手を広げたポーズを取って天を仰いでいた。
台座の周囲には、水が流れている。まるで、池の上に台座が浮かんでいるような構図だ。
天井は、丸く刳り貫かれており空が見えていた。今は昼間なので、太陽の姿がはっきりと見える。
外は風が強く結構砂が舞っているというのに、建物の中には一切砂粒がない。何とも不思議である。
建物に足を踏み入れた僕たちは、ゆっくりと台座に近付いた。
よく見ると、台座にも扉に刻まれているものと同じ模様が描かれている。
今までの遺跡にもあったこの模様、一体何を表しているのだろう?
「この像に天の蒼玉を置くと、装置が作動します」
二つの天の蒼玉を取り出したシャーリーンさんが、石像に歩み寄った。
こちらを振り向いて、皆の顔を順番に見つめ、前に視線を戻す。
「では、いきますよ」
彼女は石像の左右の手に、それぞれ天の蒼玉を置いた。
すると、足下の模様が光を放ち、その光は波紋のように台座全体へと広がっていった。
柔らかな光が、台座の上にいる僕たちを足下から包み込んでいく。
視界が光に染まる。建物の壁も、目の前の石像も、見えなくなっていく。
全身を浮遊感のようなふわりとした感覚が包み込んで──
視界が元に戻る。
辺りを見回し、僕たちは息を飲んだ。
台座の周囲に広がっているのは、小さな花が咲いた草の絨毯と、何処までも突き抜けたような澄み渡った空の青──
空に浮かぶ巨大な遺跡のような場所に、僕たちは佇んでいた。
今回は砂漠に行くということもあって、熱波にやられないようにとコールドドリンクを人数分用意した。
ギゼ砂漠はアンゴラ砂漠のように高温地帯だという話は聞かないが、念のためというやつだ。
幻獣に乗り、八時間が経過。
広大な砂地の中にぽつんと見える白い建物──その前に、僕たちは降り立った。
風が強い。肌を炙る高温の空気の塊が、辺りの砂を巻き上げながら地を滑っている。
何もしていないというのに汗が噴き出し、息が切れてくる。
長時間此処に滞在していたら熱にやられるという何よりの証拠だ。
……あ、ファイア・スプライトだ。
離れたところを風に乗って飛んでいく茜色の光の玉を見て、僕はふうっと息を吐いた。
ファイア・スプライトは主に高温の地域や火山帯など、気温が高い場所に湧く。
あんなのがいるってことは、やっぱり此処ら一帯は相当気温が高いんだな。
コールドドリンク、準備しておいて良かった。
「ふー。砂漠は暑いのぅ」
クレハはさっさと胴着の上半分を脱いで、引き締められた肉体を晒している。
あそこまで立派な体をしているなら、きっと人に体を見られる抵抗感もないんだろうな。僕にはとても真似はできない。
僕は皆にコールドドリンクを配って、自らも一息に呷った。
全身を取り巻いていた熱気が、すっと引くように薄れていく。
流石、コールドドリンク。効果は絶大だ。
シャーリーンさんは遺跡の入口の前に立ち、遺跡を見上げていた。
遺跡の入口を塞いでいる扉は今までに見てきたものと同じ模様が刻まれた扉で、やはりというか中心部分に小さな水晶が填め込まれている。
「この中に、天空神殿への道を繋ぐ装置があるのか」
「はい」
シャーリーンさんは一歩横にずれて、言った。
「お願いします、シルカさん」
僕は扉に近付いて、指輪を填めた左手を扉の水晶に近付けた。
ヴォン……
扉の模様が青く光り輝き、扉が音を立てて開いていく。
扉の向こうには、広い空間が広がっていた。
継ぎ目のない白い壁に囲まれた円形の空間の中心に、大きな舞台のような台座がある。台座の中心には等身大の女性の石像が立っており、それは両手を広げたポーズを取って天を仰いでいた。
台座の周囲には、水が流れている。まるで、池の上に台座が浮かんでいるような構図だ。
天井は、丸く刳り貫かれており空が見えていた。今は昼間なので、太陽の姿がはっきりと見える。
外は風が強く結構砂が舞っているというのに、建物の中には一切砂粒がない。何とも不思議である。
建物に足を踏み入れた僕たちは、ゆっくりと台座に近付いた。
よく見ると、台座にも扉に刻まれているものと同じ模様が描かれている。
今までの遺跡にもあったこの模様、一体何を表しているのだろう?
「この像に天の蒼玉を置くと、装置が作動します」
二つの天の蒼玉を取り出したシャーリーンさんが、石像に歩み寄った。
こちらを振り向いて、皆の顔を順番に見つめ、前に視線を戻す。
「では、いきますよ」
彼女は石像の左右の手に、それぞれ天の蒼玉を置いた。
すると、足下の模様が光を放ち、その光は波紋のように台座全体へと広がっていった。
柔らかな光が、台座の上にいる僕たちを足下から包み込んでいく。
視界が光に染まる。建物の壁も、目の前の石像も、見えなくなっていく。
全身を浮遊感のようなふわりとした感覚が包み込んで──
視界が元に戻る。
辺りを見回し、僕たちは息を飲んだ。
台座の周囲に広がっているのは、小さな花が咲いた草の絨毯と、何処までも突き抜けたような澄み渡った空の青──
空に浮かぶ巨大な遺跡のような場所に、僕たちは佇んでいた。
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