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34 結審1
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ハンナに買ってきてもらった新聞には、連日、私達の裁判記事が載せられている。
ちらっと見ただけでも、
「美人弁護士は語る。メイドの娘こそが、本物の跡継ぎ! 赤毛のメイドと主人の関係は?!」
「『赤ちゃんって、卵から産まれるの』美少女妻の実態。異母姉への壮絶ないじめ。『代わりに子供を生め』と命じられて」
「早く子供を作りましょ♡ メイドと主人の熱い夜。その時、妻は嫉妬で異母姉を!」
下品な煽り文句であふれている。
本文を読もうとしたら、ルカに取り上げられた。
「お嬢様。こんな低俗な記事を読むと、品位が下がります」
ちょっとだけ読みたかったんだけどな。あれだよ。ほら、エゴサーチとおなじ。見たら後悔するんだけど、でも見てしまう……。
そして、延期になっていた裁判が再開された。
私たちは、万全の対策をして臨む。
裁判所前は、野次馬と新聞記者であふれているから、こっそりと裏口から入れてもらう。今回は、同行者がいるから、融通が利くみたい。
「本当に、うまくいくでしょうかね?」
ベンジャミンさんが、冷や汗を流しながら聞いてくる。
「もちろん。彼らがいると、心強いですね」
ルカは後ろを振り向いて、同行者に笑顔を贈る。
私達3人の後ろを、背の高い仮面の男が付いてきている。真っ黒のマントを羽織って、顔には黒い仮面をつけている。見るからに怪しすぎる男だ。
彼は、王国秘密騎士団員だそうだ。
「さあ、さっさと裁判を終わらせましょう」
ルカは私の手を取った。
※※※※※※※
「それでは、前回の続きから始めましょう。証人のメリッサさん。体調はいかがですか? 無理はしないでくださいね」
裁判長が、証人席に座るメリッサを気遣って、声をかける。
メリッサは、甘ったるい声でそれに答えた。
「大丈夫でーす。ちょっとおっぱいが張って痛いけどぉ、あ、授乳休憩をくださいね。ディートちゃんは、1時間おきに授乳が必要なの。あの子、パパに似て、おっぱいが大好きなんだから」
そう言って、被告人席のガイウスに手をふる。
彼はちょっと困った顔をして、照れたように微笑んだ。
キモイ!
「ええ、では進めましょう。前回の原告弁護人の質問からですね。メリッサさんが辺境伯の娘という証拠はあるのか、と問われていましたね。それに答えてください」
「はぁーい。証拠はありまーす! ディートよ。私とガイ様の赤ちゃん。今は、隣の部屋で寝てるけど、裁判長さんも見たでしょう? 赤い髪に赤い目をしているの。間違いなく、辺境伯の孫なのよ!」
メリッサの答えに、観客席からささやき声がもれる。
「やっぱりな」
「あのメイドは、辺境伯の愛人の子か」
「それじゃあ、代理母って言うのは、本当のことなの?」
「新聞に書いてあった通りだわ。あの金髪の妻は、おとなしそうな顔をして、異母姉をいじめてたのね!」
観客たちが、私をにらみつける。
「質問を続けます」
ベンジャミンさんは、ドアの前に立つ仮面の男を気にしながら、メリッサに質問する。
「メリッサさんは、今22歳でしたね」
「ええ、そうよ。まだ若いの。これからもガイウス様の子供をいっぱい生めるわ。辺境伯の血筋をたくさん増やせるわ」
メリッサは誇らしげに、赤い髪をかき上げる。
「もし、メリッサさんが辺境伯の娘だとしたら、アーサー様が18歳の時に生まれた子になります」
「それが何? 充分子供を作れる年齢でしょう? まさか辺境伯も、子供の作り方を知らないとか? 赤ちゃんは卵から生まれるなんて、言わないでちょうだいね。ふふふっ」
メリッサの言葉に、観客席からも失笑がもれた。
笑っていられるのも、今のうちよ。
ちらっと見ただけでも、
「美人弁護士は語る。メイドの娘こそが、本物の跡継ぎ! 赤毛のメイドと主人の関係は?!」
「『赤ちゃんって、卵から産まれるの』美少女妻の実態。異母姉への壮絶ないじめ。『代わりに子供を生め』と命じられて」
「早く子供を作りましょ♡ メイドと主人の熱い夜。その時、妻は嫉妬で異母姉を!」
下品な煽り文句であふれている。
本文を読もうとしたら、ルカに取り上げられた。
「お嬢様。こんな低俗な記事を読むと、品位が下がります」
ちょっとだけ読みたかったんだけどな。あれだよ。ほら、エゴサーチとおなじ。見たら後悔するんだけど、でも見てしまう……。
そして、延期になっていた裁判が再開された。
私たちは、万全の対策をして臨む。
裁判所前は、野次馬と新聞記者であふれているから、こっそりと裏口から入れてもらう。今回は、同行者がいるから、融通が利くみたい。
「本当に、うまくいくでしょうかね?」
ベンジャミンさんが、冷や汗を流しながら聞いてくる。
「もちろん。彼らがいると、心強いですね」
ルカは後ろを振り向いて、同行者に笑顔を贈る。
私達3人の後ろを、背の高い仮面の男が付いてきている。真っ黒のマントを羽織って、顔には黒い仮面をつけている。見るからに怪しすぎる男だ。
彼は、王国秘密騎士団員だそうだ。
「さあ、さっさと裁判を終わらせましょう」
ルカは私の手を取った。
※※※※※※※
「それでは、前回の続きから始めましょう。証人のメリッサさん。体調はいかがですか? 無理はしないでくださいね」
裁判長が、証人席に座るメリッサを気遣って、声をかける。
メリッサは、甘ったるい声でそれに答えた。
「大丈夫でーす。ちょっとおっぱいが張って痛いけどぉ、あ、授乳休憩をくださいね。ディートちゃんは、1時間おきに授乳が必要なの。あの子、パパに似て、おっぱいが大好きなんだから」
そう言って、被告人席のガイウスに手をふる。
彼はちょっと困った顔をして、照れたように微笑んだ。
キモイ!
「ええ、では進めましょう。前回の原告弁護人の質問からですね。メリッサさんが辺境伯の娘という証拠はあるのか、と問われていましたね。それに答えてください」
「はぁーい。証拠はありまーす! ディートよ。私とガイ様の赤ちゃん。今は、隣の部屋で寝てるけど、裁判長さんも見たでしょう? 赤い髪に赤い目をしているの。間違いなく、辺境伯の孫なのよ!」
メリッサの答えに、観客席からささやき声がもれる。
「やっぱりな」
「あのメイドは、辺境伯の愛人の子か」
「それじゃあ、代理母って言うのは、本当のことなの?」
「新聞に書いてあった通りだわ。あの金髪の妻は、おとなしそうな顔をして、異母姉をいじめてたのね!」
観客たちが、私をにらみつける。
「質問を続けます」
ベンジャミンさんは、ドアの前に立つ仮面の男を気にしながら、メリッサに質問する。
「メリッサさんは、今22歳でしたね」
「ええ、そうよ。まだ若いの。これからもガイウス様の子供をいっぱい生めるわ。辺境伯の血筋をたくさん増やせるわ」
メリッサは誇らしげに、赤い髪をかき上げる。
「もし、メリッサさんが辺境伯の娘だとしたら、アーサー様が18歳の時に生まれた子になります」
「それが何? 充分子供を作れる年齢でしょう? まさか辺境伯も、子供の作り方を知らないとか? 赤ちゃんは卵から生まれるなんて、言わないでちょうだいね。ふふふっ」
メリッサの言葉に、観客席からも失笑がもれた。
笑っていられるのも、今のうちよ。
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