30 / 41
30 国家転覆罪
しおりを挟む
「23年前の事件って何? 王国秘密騎士団が何をしたの?」
疑問だらけの私の言葉に、ルカは「なるほど」とつぶやいた。人差し指を唇に当てて、納得したようにうなずく。
「肖像画のこの少年は、おそらく閣下の兄だな。貴族名簿に載っていないと言うことは、国家転覆罪により、その名を抹消されたのか」
国家転覆罪? また、知らない言葉。
顔で疑問符を表現した私に、ルカは説明してくれる。
「この国で最も重い罪が、国家転覆罪です。それは、主に結界に損傷を与える罪です。結界がなければ、この国の人間は、魔物に襲われて死ぬ。だから、最も重い刑罰として、連座制の死刑と、そして名簿の抹消が適用されます。つまり、その存在自体が消されるのです」
なんか難しい言葉が、いっぱい出てきた。
「たしか、23年前に、王国秘密騎士団が動いたという記録を読んだことが……。そうか、この領地に魔物がやたらと発生するのは……。なるほど、当時の領主は、閣下の兄だったのですね」
ルカの詰問に、ベンジャミンさんは「ぐぬぬ」という音を出した。
「私は何もしゃべりませんよ。罰則が適用されますからね。むち打ちと石投げは恐ろしいです!」
「お嬢様、おそらく、閣下の兄は結界の損傷という罪を犯しています。……そうか、連座か。確か親と配偶者そして、子供に適用されるんだったな。ちょうどその時期に、閣下の両親が亡くなったのは、そういうことだったのか。流行り病により、辺境の民が多数死亡したとも記録されていたが、実際は、連座による処刑だったのか……」
ルカは、一人で納得したように、つぶやいている。
良く分からないけど、父には本当は兄がいて、重罪を犯して死刑になったってことなの? え? でも連座って何? 家族も死刑になっちゃうの? それじゃあ、もしかして、祖父母の死因って?
ベンジャミンさんが汗を拭きながら、ルカを止める。
「その話は、もうやめましょうよ。どこで秘密騎士団の耳に入るか分かりません。それよりも、裁判。そう、離婚裁判の話をしなくては、」
「おそらく、メリッサは、閣下の兄の子供ですよ」
え?
「メリッサの子供に血族眼が現れたなら、それしか考えられません」
「そんなまさか。ありえません!」
「メリッサは、今22歳ぐらいですよね。彼女の母親は、この事件の時に、すでに身ごもっていたのでしょうね」
「そんなこと、ありえない! 若奥様は、チャールズ様と一緒に処刑されたんですよ! お腹の子供も一緒に! 首を切られるのを、この目で見たんですから!」
え?!
「あ……」
あわててベンジャミンさんは、口を押える。
「チャールズというんですね。閣下の兄の名前は。それで、その配偶者が連座で死刑になった時に、お腹に子供がいたと」
ルカの言葉が恐ろしいくらい冷たく響く。
待って。ちょっと待ってよ。
連座で死刑って。
そんなに重い罪なの?
妊婦を殺すほどの?
「では、メリッサは庶子なのでしょうね。チャールズの妻ではなく、浮気相手との間にできた娘だと考えられます。……昨晩、メリッサは男の子を生んだそうですよ。赤い髪に赤い目の、辺境伯の血族眼を持った赤子だと、新聞社が号外を出しています」
ルカは上着のポケットから、折りたたまれた新聞を取り出した。
メリッサと一緒に、小さな赤ちゃんの絵が描かれている。
その赤ちゃんは、赤い髪に赤い目をしている。
ディートだ!
ディートはやっぱり、辺境の子だったんだ……。
「そんなまさか。妻が妊娠中に浮気など……。はっ、もしかして、あの時のメイドか? チャールズ様の部屋から出てくるのを見たことがある……。事件後に行方不明になったと思ったら」
「おそらくそれでしょう。それなら、メリッサは、辺境伯の血をひく娘と言えますね。名簿から抹消された当時の辺境伯の庶子ですがね……」
ルカが語る話に、ついていけない。
じゃあ、メリッサは、わたしの従姉妹になるの? 父の子じゃなくて、父の兄の子供だったの?
罪を犯して存在を消された私の伯父と、浮気相手との間に出来た娘だってこと?
でも、……。伯父の浮気相手とその子供は生き残れたのに、正妻とお腹にいた赤ちゃんは、連座で死刑にされてしまったの?
ひどい。
お腹の赤ちゃんは何の罪も犯していないのに、どうして殺されないといけなかったの?
どうして、そんなにおそろしい判決が降りるの?
国家転覆罪って何? 結界を壊したから? 伯父が、辺境を壊したから?
今、辺境に魔物があふれかえってるのは、伯父のせいだったの? 畑が瘴気で侵されて、作物がぜんぜん取れなくなって。それで、たくさんの領民が死んだ。うちの領地は、食べていけないほど、貧しくなった。
こんな大変なことを、伯父がしたの? だから、家族まで処刑にしないといけなかったの?
「ああ、なんてことだ。じゃあ、メリッサは重罪人の娘じゃないか。これをロンダリング侯爵は、知っているのか?」
「おそらく。ガイウス殿とメリッサは、幼い頃に領地で一緒に育ったと言ってましたので。辺境から逃げて来たメリッサの母を、ロンダリング侯爵が匿ったのでしょう」
「それなら、なぜ、裁判で代理母だなんて言いだしたんだ! 罪人の娘だぞ。せっかく逃げ延びたのに、わざわざ自分から、それを明らかにするとは!」
「メリッサは、自分の父親を閣下だと思っているのではないでしょうか? 罪人チャールズは、存在を抹消されているので、何も知らないのだと思います」
「ああ、なんとも愚かな……」
ベンジャミンとルカが話しこんでいる。私はぼんやりと突っ立ったまま、それを聞いていた。
「すぐに王国秘密騎士団に知らせないと……こんな重大な事を隠していたら、我々も罪に問われてしまう。ああ、もう。こんなことに、関わりたくない。私はただ、離婚裁判で雇われただけなのに……。こんな重大事案を裁判で扱ったことなんてないのに……。いや、そうしたら、裁判は、裁判はどうなるんだ? ああ、こんな大事件になるなんて」
ベンジャミンさんは、頭を抱える。
「名簿の開示請求」
私がつぶやくと、二人はこっちを見た。
「王国秘密騎士団に、名簿の開示請求をしたら?」
夢の中のゲームのヒント。これを見た時には、何のことなのか全然分からなかったけど。
それを今、言わないといけない気がした。
「名簿の開示請求か。なるほど。すぐに手配します」
ルカは、私に青い瞳を向けてうなずく。
「おお! ルカ殿は、王宮に伝手があるんですか? 頼みますよ。私はもう、こんな大事件は手に負えないですよ。しがない経営弁護士なんですよ。もう、裁判なんて、こりごりですよ」
ベンジャミンさんは両手をあげて、お手上げ状態を表現する。本当に、頼りにならない弁護士だ。
「大丈夫ですよ。お嬢様。これできっと裁判に勝てますよ」
ルカはいつものように、にっこり笑って私を励ましてくれる。
でも、彼の「大丈夫」を聞いても、私の不安は消えない。
自分の転生したこの国が、元の国とあまりにも違いすぎているから。
結界の力で守られたこの国は、全然安全なんかじゃない。
障碍者は、産まれてすぐに殺されるし、罪を犯したら、連座制で妊婦までもが処刑される。お腹の中の赤ちゃんには、何の罪もないのに!
ここは、赤ちゃんを殺す国なのだ。
私はこれから先、ずっと、この恐ろしい国で生きていくしかないの?
疑問だらけの私の言葉に、ルカは「なるほど」とつぶやいた。人差し指を唇に当てて、納得したようにうなずく。
「肖像画のこの少年は、おそらく閣下の兄だな。貴族名簿に載っていないと言うことは、国家転覆罪により、その名を抹消されたのか」
国家転覆罪? また、知らない言葉。
顔で疑問符を表現した私に、ルカは説明してくれる。
「この国で最も重い罪が、国家転覆罪です。それは、主に結界に損傷を与える罪です。結界がなければ、この国の人間は、魔物に襲われて死ぬ。だから、最も重い刑罰として、連座制の死刑と、そして名簿の抹消が適用されます。つまり、その存在自体が消されるのです」
なんか難しい言葉が、いっぱい出てきた。
「たしか、23年前に、王国秘密騎士団が動いたという記録を読んだことが……。そうか、この領地に魔物がやたらと発生するのは……。なるほど、当時の領主は、閣下の兄だったのですね」
ルカの詰問に、ベンジャミンさんは「ぐぬぬ」という音を出した。
「私は何もしゃべりませんよ。罰則が適用されますからね。むち打ちと石投げは恐ろしいです!」
「お嬢様、おそらく、閣下の兄は結界の損傷という罪を犯しています。……そうか、連座か。確か親と配偶者そして、子供に適用されるんだったな。ちょうどその時期に、閣下の両親が亡くなったのは、そういうことだったのか。流行り病により、辺境の民が多数死亡したとも記録されていたが、実際は、連座による処刑だったのか……」
ルカは、一人で納得したように、つぶやいている。
良く分からないけど、父には本当は兄がいて、重罪を犯して死刑になったってことなの? え? でも連座って何? 家族も死刑になっちゃうの? それじゃあ、もしかして、祖父母の死因って?
ベンジャミンさんが汗を拭きながら、ルカを止める。
「その話は、もうやめましょうよ。どこで秘密騎士団の耳に入るか分かりません。それよりも、裁判。そう、離婚裁判の話をしなくては、」
「おそらく、メリッサは、閣下の兄の子供ですよ」
え?
「メリッサの子供に血族眼が現れたなら、それしか考えられません」
「そんなまさか。ありえません!」
「メリッサは、今22歳ぐらいですよね。彼女の母親は、この事件の時に、すでに身ごもっていたのでしょうね」
「そんなこと、ありえない! 若奥様は、チャールズ様と一緒に処刑されたんですよ! お腹の子供も一緒に! 首を切られるのを、この目で見たんですから!」
え?!
「あ……」
あわててベンジャミンさんは、口を押える。
「チャールズというんですね。閣下の兄の名前は。それで、その配偶者が連座で死刑になった時に、お腹に子供がいたと」
ルカの言葉が恐ろしいくらい冷たく響く。
待って。ちょっと待ってよ。
連座で死刑って。
そんなに重い罪なの?
妊婦を殺すほどの?
「では、メリッサは庶子なのでしょうね。チャールズの妻ではなく、浮気相手との間にできた娘だと考えられます。……昨晩、メリッサは男の子を生んだそうですよ。赤い髪に赤い目の、辺境伯の血族眼を持った赤子だと、新聞社が号外を出しています」
ルカは上着のポケットから、折りたたまれた新聞を取り出した。
メリッサと一緒に、小さな赤ちゃんの絵が描かれている。
その赤ちゃんは、赤い髪に赤い目をしている。
ディートだ!
ディートはやっぱり、辺境の子だったんだ……。
「そんなまさか。妻が妊娠中に浮気など……。はっ、もしかして、あの時のメイドか? チャールズ様の部屋から出てくるのを見たことがある……。事件後に行方不明になったと思ったら」
「おそらくそれでしょう。それなら、メリッサは、辺境伯の血をひく娘と言えますね。名簿から抹消された当時の辺境伯の庶子ですがね……」
ルカが語る話に、ついていけない。
じゃあ、メリッサは、わたしの従姉妹になるの? 父の子じゃなくて、父の兄の子供だったの?
罪を犯して存在を消された私の伯父と、浮気相手との間に出来た娘だってこと?
でも、……。伯父の浮気相手とその子供は生き残れたのに、正妻とお腹にいた赤ちゃんは、連座で死刑にされてしまったの?
ひどい。
お腹の赤ちゃんは何の罪も犯していないのに、どうして殺されないといけなかったの?
どうして、そんなにおそろしい判決が降りるの?
国家転覆罪って何? 結界を壊したから? 伯父が、辺境を壊したから?
今、辺境に魔物があふれかえってるのは、伯父のせいだったの? 畑が瘴気で侵されて、作物がぜんぜん取れなくなって。それで、たくさんの領民が死んだ。うちの領地は、食べていけないほど、貧しくなった。
こんな大変なことを、伯父がしたの? だから、家族まで処刑にしないといけなかったの?
「ああ、なんてことだ。じゃあ、メリッサは重罪人の娘じゃないか。これをロンダリング侯爵は、知っているのか?」
「おそらく。ガイウス殿とメリッサは、幼い頃に領地で一緒に育ったと言ってましたので。辺境から逃げて来たメリッサの母を、ロンダリング侯爵が匿ったのでしょう」
「それなら、なぜ、裁判で代理母だなんて言いだしたんだ! 罪人の娘だぞ。せっかく逃げ延びたのに、わざわざ自分から、それを明らかにするとは!」
「メリッサは、自分の父親を閣下だと思っているのではないでしょうか? 罪人チャールズは、存在を抹消されているので、何も知らないのだと思います」
「ああ、なんとも愚かな……」
ベンジャミンとルカが話しこんでいる。私はぼんやりと突っ立ったまま、それを聞いていた。
「すぐに王国秘密騎士団に知らせないと……こんな重大な事を隠していたら、我々も罪に問われてしまう。ああ、もう。こんなことに、関わりたくない。私はただ、離婚裁判で雇われただけなのに……。こんな重大事案を裁判で扱ったことなんてないのに……。いや、そうしたら、裁判は、裁判はどうなるんだ? ああ、こんな大事件になるなんて」
ベンジャミンさんは、頭を抱える。
「名簿の開示請求」
私がつぶやくと、二人はこっちを見た。
「王国秘密騎士団に、名簿の開示請求をしたら?」
夢の中のゲームのヒント。これを見た時には、何のことなのか全然分からなかったけど。
それを今、言わないといけない気がした。
「名簿の開示請求か。なるほど。すぐに手配します」
ルカは、私に青い瞳を向けてうなずく。
「おお! ルカ殿は、王宮に伝手があるんですか? 頼みますよ。私はもう、こんな大事件は手に負えないですよ。しがない経営弁護士なんですよ。もう、裁判なんて、こりごりですよ」
ベンジャミンさんは両手をあげて、お手上げ状態を表現する。本当に、頼りにならない弁護士だ。
「大丈夫ですよ。お嬢様。これできっと裁判に勝てますよ」
ルカはいつものように、にっこり笑って私を励ましてくれる。
でも、彼の「大丈夫」を聞いても、私の不安は消えない。
自分の転生したこの国が、元の国とあまりにも違いすぎているから。
結界の力で守られたこの国は、全然安全なんかじゃない。
障碍者は、産まれてすぐに殺されるし、罪を犯したら、連座制で妊婦までもが処刑される。お腹の中の赤ちゃんには、何の罪もないのに!
ここは、赤ちゃんを殺す国なのだ。
私はこれから先、ずっと、この恐ろしい国で生きていくしかないの?
373
あなたにおすすめの小説
【完結】本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。
パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、
クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。
「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。
完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、
“何も持たずに”去ったその先にあったものとは。
これは誰かのために生きることをやめ、
「私自身の幸せ」を選びなおした、
ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。
「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚
きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」
新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。
それもそのはず。
2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。
でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。
美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。
だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。
どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったオノールに、やがてクラウディオの心は……。
すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?
焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。
「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜
水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」
効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。
彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。
だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。
彼に残した書き置きは一通のみ。
クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。
これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。
白い結婚なので無効にします。持参金は全額回収いたします
鷹 綾
恋愛
「白い結婚」であることを理由に、夫から離縁を突きつけられた公爵夫人エリシア。
だが彼女は泣かなかった。
なぜなら――その結婚は、最初から“成立していなかった”から。
教会法に基づき婚姻無効を申請。持参金を全額回収し、彼女が選んだ新たな居場所は修道院だった。
それは逃避ではない。
男の支配から離れ、国家の外側に立つという戦略的選択。
やがて彼女は修道院長として、教育制度の整備、女性領主の育成、商業と医療の再編に関わり、王と王妃を外から支える存在となる。
王冠を欲さず、しかし王冠に影響を与える――白の領域。
一方、かつての夫は地位を失い、制度の中で静かに贖罪の道を歩む。
これは、愛を巡る物語ではない。
「選ばなかった未来」を守り続けた一人の女性の物語。
白は弱さではない。
白は、均衡を保つ力。
白い結婚から始まる、静かなリーガル・リベンジと国家再編の物語。
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる