1 / 41
【序章】
序鐘〜いつかの記憶〜
しおりを挟むー白の欠片が降り注ぐー
重さを感じさせない軽やかさと、触れる事を躊躇わせる、その儚い存在感。
“彼”はそれを雪だと思った。
“彼”が自身の胸の前で、両の手の平を重ねて作った受け皿。
その上に、欠片のひとつが舞い降りる。
幻想的なまでに儚く、そして、どこか物悲しくある程の切ない美しさ。
“彼”は、受け止めた欠片の白色をただ眺め、見詰めている。
本当に真っ白な欠片だった。
そして、その欠片は、“彼”が始めに思った雪だと言う存在感を否定する。
そこには、冷たく身を凍てつかせてしまうような冷ややかさはなく、体温の温もりに触れれば溶けてしまうような繊細さもなかった。
欠片の持つ、あまりに汚れない白色は、硬質的でありながらも何処か柔らかく、それは、その欠片カケラの内側から滲み出す、沁み入るような仄かな光の為に感じるものだろうか。
ー・・・・・・ー
何時からそうしていたのか、彼方にあるのは、曇っている訳でもないのに、遥かな夕闇の紺青色すらをも飲み込んで、空へと下ろされた漆黒の帳だけ。
青に何重にも青を重ねる。
その果てのようにして、そこにあったのは、微かな光すらも届かなくなってしまったかのような夜の空。
“彼”の見詰める限りの空に広がっている、透明な闇で満たした夜の色。
そこには、煌々と光を放つ月どころか、瞬く星の一欠片カケラすらも輝いてはいなかった・・・・・・
光のない空。
そんな空の一点から、“彼”の存在を目指して舞い降りて来ているかのような白の欠片たち。
震えるようにして舞う夜闇の中。
“彼”の背中側だけが伸ばされた髪が、彼方にある空と同じ色を湛え、視界の端で揺れている。
佇む“彼”の歳の頃は十四歳か、十五歳か、それとももっと下なのかもしれない。
その幼さの残る顔立ちに、覗き込めば、吸い込まれてしまいそうになる程の、深い青色を湛えた双方が空の夜色を映し続ける。
何をするでもなく、“彼”は一人その無彩色な世界に佇んでいた。
地面を覆い隠す一面の白色には誰の足跡もなく、平坦な地平が続く限りの場所には、人影どころか民家の明かりすらもない。
“彼”の視界が続く限りに広がる闇夜の空と、曖昧な境界とが寄り添い在る仄かな白の大地。
“彼”は何時からこの場所にいて、そもそも何処からやって来たのか。
深沈とした空気に、止む事なく降り続ける白の欠片達。
それは“彼”が見聞きし感じる、今在る世界の全てだった。
自分は何処から来たのだろうか。
そして、何処に行こうとしていたのだろうか。
抱いた疑問からか、不意に佇む“彼”はみじろぐ。それは、或いは首を傾げるような仕種だったのかもしれない。
ー見つけた・・・・・・
疑問をそのままに、瞳が映す限りに白の欠片が舞う光景を眺め見ていた。
そんな時、“彼”はそう聲こえを聞いたような気がしたのだ。
静寂に慣れてしまっていた、“彼”の耳朶へとすんなり沁み入り行く響きの余韻。
生じた空気の変化への反応か、“彼”の空を仰ぎ見続けていた身体は、再び身じろぐように振るえた。
息を吸い、吐き出す。そこから更に一呼吸分の間があった。
あまりにもぎこちなく、そして、何かを思い出したかのような緩慢な動き。
動かす首の向きに、視線をさ迷わせて、そうして“彼”は、“誰か”の姿を探していた。
そして、気付く。
白の欠片が舞う世界の向こう側。
その“誰か”は、“彼”が探すまでもなくそこにいた。
そこには、先程までは確かに誰もいなかった。
その筈で、だからこそ、その“誰か”は、“彼”のほんの僅かな意識の空隙を突いたとしか思えないような刹那の間に突然現れたとしか思えない。
けれど、そんなあり得ない出来事の、その全てはどうでも良かった。
どうでも良いと、そう思ってしまう程の存在感を“彼”は感じ取っていた。
そこにいて、けれどそれは決して“此処”ではないかのような不思議な感覚。
“彼”の正面、その視界の中央に、その“誰か”は“彼”と向かい合うようにして佇み立っていた。
ーふわっー
佇む姿の、身体のライン(形)に沿って、流れ靡いた白金の髪。
そんな光景を“彼”はただ見ていた。
その瞬間に、“彼”がいる場所には風は吹いていなかった。
だから、そんな光景に、その“誰か”の存在そのものが、風でも纏っているかのように“彼”は錯覚してしまう。
いや、錯覚等ではないのかもしれない。
白い繊細な光は、今も跳ね回るようにして風の中で煌めいているのだから。
瞬く幾多の光の糸は癖のない髪の流れを形作る。
それはまるで、空にある星々の光を集め編み上げたかのような繊細さに煌めいて、“彼”の目を掠い、釘付けにした。
細く、けれど華奢とまでは表現のし難い、しなやかな身体にゆったりと着込まれた薄藍色のローブコート(外套)。
そのローブコート(外套)の上からでも見て取る事の出来る、男性よりも丸みを帯びた体つきから、目の前に佇む人物は女性なのだと“彼”は意識する。
けれど、何故なのか。“彼”には、その“誰か”の顔が分からなかった。
表情を窺う事が出来ないのではなく、顔そのものが分からなかったのだ。
“彼”とその女性が佇む場所との距離は二メートルもなく、いくら月の光のない夜闇の中であろうと、白い大地からの照り返しに、決して相手の顔が分からないような距離ではない筈だった。
そう、分からない筈がない、その筈だとそう思うのに、だが、どれだけ目を凝らそうとも、“彼”にはその女性の顔が分からなかったのだ。
ー見つけた・・・・・・ー
“彼”の感じている困惑に気付く事はなく、少女の薄い口唇は、そう言葉を刻む。
発した自分自身の言葉の大半を、口の中だけで反芻するかのような声だった。
見えていない表情にも、感じ取れてしまう唇の動きに、先程聞いた言葉が、目の前の少女により繰り返されたのだと“彼”は察した。
けれど、それは誰に対しての言葉だったのだろうか。
考えるまでもないのかもしれない。ここに少女以外には“彼”しかいないのだから。
綴られた言葉の一音一音は音楽的な響きの連なりであるかのように、けれど、紡がれる意思は“彼”の頭の芯へと直接響く不思議な“聲”だった。
向けられているであろう言葉に、目の前の“誰か”が女性であるのは、“聲”から受ける印象からも間違いはなさそうだった。
二十代前半か、十代後半。あるいはもっと若いのかもしれないし、もっとずっと年上なのかもしれない。
声音から受ける印象は酷く落ち着いたもので、“彼”が感じた年齢への判断を曖昧なものへとしてしまっていたのだ。
ー探していた・・・・・・、貴方を、ずっとー
音はなく、止むこともなく白の欠片は降り続いている。
その時、告げられている言葉の意味を考えるよりも先に、“彼”は唐突に気付いた。
瞬く微細な光を、“彼”の深青色の瞳は映している。
その正体は、白の欠片だったものだろう。
舞い降りる真っ白な欠片は女性の身体に触れる直前に砕け、微細な粒子となって煌めきの中へと散って行く。
いや、触れる直前と言ってみたが、目を凝らしていると、厳密には、女性の身体と現象までの間には数センチメートルの間隔があるのが分かった。
だからこそ、その光景はまるで、その女性が薄く透明な光の膜の中にでもいるかのように“彼”には見えていたのだった。
佇む女性の存在と、降り続いている白の欠片。
同じ処に重なりながらも世界から隔てられる。それは神秘的で幻想的なまでに美しい光景を“彼”の瞳に見せていた。
ー・・・・・・ー
“彼”は何かを言おうとした筈だった。
なのに“彼”が小さく開いた口からは、どんな言葉も紡がれ出て来る事がなかった。
声の出し方そのものを忘れてしまったかのように、吸い込んだ息はそのまま微かな吐息となって“彼”自身の口腔から零れ、掠れ消えてしまう。
告げたいと願うもどかしさの衝動のまま、“彼”はただ女性の存在を見詰め続ける事しか出来ない。
ー分から、ない・・・・・・?ー
それはどう言う意味だったのか。
“彼”の感じているもどかしさを知ってか知らずにか、“彼女”から告げられた言葉はある意味その通りで、分からない“彼”には何の事かも分からない問い掛けに、ただただ困惑するしかなかった。
姿はどこか陽炎のように、二歩分の距離を、“彼女”が“彼”へと向け歩み寄って来たのだと意識する。
そして伸ばされて来る、その手の動きを“彼”はただ眺め続ける。
差しのべられた“彼女”の左手が“彼”の前髪に触れるか触れないかのその瞬間だった。
-ヂッ、バチンッ-
音が弾けた。
刹那、拒絶そのものを思わせる鮮烈な白の電磁光が、微かな衝撃を伴い視界に散った。
拒絶そのものを思わせる、いや、それは“思わせる”だけではなく、間違いのない拒絶だった。
“彼”と“彼女”、その間に迸った火花の白い閃光に、驚きに目を見張ったのは“彼”だけ。
“彼女”の顔同様、その表情もまた分からないままなのだが、恐らくはそうなのだろう。
ー・・・・・・っー
堪えようとして、けれど押し殺しきれなかった事を思わせる、微かな呻き声。
“彼”に向かい伸ばされていた“彼女”の手は、受けたであろう衝撃から反射的に引き戻されている。
けれど、“彼”が視界の中央に捉えたその場所に、生じてしまった現象の結果は間違いなく刻まれていたのだ。
“彼女”は弾かれた指先を素早く握り込み“彼”の視界から隠した。
だが“彼”は、その白い肌が僅かに赤く、火傷の様な様相を示し、白煙をたなびかせているのを見てしまっていたのだ。
ーそう、まだ・・・・・・まだ、・・・・・・貴方は、私を“ ”す事が出来ないー
傷付いた筈の、指先の痛みを訴える訳でもないその声に、“彼”は諦めにも似た哀切の響きを聞いていた。
上手く聞き取る事の出来ない、けれど、聞いた“彼”の胸を穿つ、そんな深い慟哭の音。
俯き見詰める先には何もなく、握り込んだままの、傷付いた自身の指先に、“彼女”は緩やかに、力なく首を横へと振った。
ー私は、もう・・・・・・ー
唇はそう音の形を綴り、そしてその先へと続けられて行く。
ーそう、もう、誰も、何も“ ”したくないのに・・・・・・、私を“ ”す事が出来るのは貴方だけなのに・・・・・・ー
ーまだなの・・・・・・、まだ・・・・・・ー
何処か遠くから聞こえて来るかのような聲の響きは、泣いてるような気がした。
そんな“彼女”の姿に、“彼”は何かを言おうと、言わなければと思うのに、なのに、どうしてなのだろう。
どんなに思おうと、どれ程の焦燥を募らせようと、やはりどんな言葉すらも“彼”には声に出すことが出来なかったのだ。
ーああ・・・・・・無理をしなくて良いー
何かに気付いたかのように、俯けていた顔を上げた“彼女”は、始めと同じような声音の静かな響きにそう告げてくる。
それは、“彼”のもどかしさを理解してくれているかのような、そんな言葉だった。
ー・・・・・・大きな、とても大きな力だったから 、その反動だと思うから、きっと・・・・・・ー
体を半身に、首を動かして、辺りを見回すような仕種。
そして、“彼女”は再び“彼”を見詰める。
ー今も、まだ、貴方は答える術を知らないだけなのだから・・・・・・ー
“彼女”が自分を見ているのかは、本当のところ判断出来ていなかった。
告げられる言葉の意味もまた、“彼”には分からなかった。
ただ、心の中を見透かされているかのような、そんな驚きに、“彼”は僅かに見開いた青い双方へと“彼女”の姿を捉え続けている。
なのに、そう、それなのになのだ。
そこにいる筈の“彼女”との間に、“彼女”の視線の向く場所どころか、やはりその相貌は“彼”には分からないままなのだった。
どうして、と思う。
思い、だからこそ“彼”の手は“彼女”の存在を求めて再び伸ばされる。
伸ばしかけ、けれど、その途中で“彼”の身体はビクリと震え、そこまでになった。
寒さを感じていなかった先程まで。
なのに、その指先は酷く冷え、冷たく、光を遠退かせた暗い視界に、今はただ凍えそうな程の凍てつきがあった。
“彼”の脳裏には先程の光景が焼け付いしまっていた。
何故自分がこれ程迄に衝撃を受けているのか、“彼”の身をすくませたのは、本能的な拒まれる事への恐怖だった。
ー誰の事も傷付けない為に、けれど拒絶を恐れる貴方は、いつの時もきっと正しい・・・・・・大丈夫、貴方が私に触れても、まだ貴方は私を“ ”せない-
ー“ ”?ー
何事かを告げるべく、“彼”の唇は声にならないままの言葉の形を綴る。
発する事が出来ない言葉のまま、もて余し募らせた自身の感情。
“彼”はただ“彼女”の姿を見詰めた。
やはり分からない。
分からないのだ。
そこにいるのに、“彼女”の顔がどうしても見えない。
けれど、どうしてなのか、その瞬間、“彼”は“彼女”の微かな笑みを、その表情に感じ取ったような気がした。
そんな笑みへの憧憬が、言葉に出来なかった問い掛けを思う“彼”の表情となる。
ーそう、貴方はずっと探し続けていたから・・・・・・ごめんなさいー
謝られる事への戸惑い。
言われた言葉の意味を心の中だけで反駁し、探し続ける、と、その一言を考えようとする。
探し続ける。誰が?何を?
意味の分からない言葉の端々にも感じた微笑みの気配。
“彼”の意識を惹き付けるその“聲”はただただ柔らかく、けれど何故そう思ってしまうのか、“彼”にはそんな笑みの残滓すらも切なくあって・・・・・・
ー私は“ ”ー
直感する。
それは、先程の“彼”が発する事が出来なかった問い掛けの答えだと。
(あなたは、だれ?)
あの時、そう問い掛けたかった、その言葉への答えなのだと。
けれど、答えを得たと思ったその瞬間には、耳鳴りがする程の不自然な認識の空白を意識させられていた。
顔だけではなかった。
声すらも“彼”には聞く事が出来ないのかもしれない。
告げられた筈の名前。
自分が確かに聞いた筈の“彼女”の名前。
“彼”は声には出せなかったが、聞いたのだ。
“彼女”が“誰”なのかと言う事を。
そして今、確かに“彼女”は答えてくれた。
だから、聞き取れなかった事への焦燥感に、“彼”は“彼女”を強く見詰める。
どうしてなのか、どうして自分には、“彼女”の声が上手く聞き取る事が出来なかったのか。
もう一度答えて欲しいと願い、だが・・・・・・
ー覚えなくて良いよ、いずれまた、私と貴方は・・・・・・きっと・・・・・・ー
覚える、覚えないではなく、“彼”にはそもそも聞き取る事自体が出来ていない。
それを分かって欲しくて、なのにどうしても言葉にはならないのだ。
いずれまた、とその一言を聞いた瞬間に生じる意識の空白。
そこに去来した“次”があるのだと言う期待は、“彼”の心を何とも名状し難い感情で満たした。
そして、今はこれで終わりなのだと言う理解が、満ちた感情をそのままに凍てつかせる。
ーほら、もうじき貴方を迎えに来てくれる人が来るよ・・・・・・ー
促すように、緩やかな所作で、“彼女”の左手の人差し指が指し示した彼方の方角。
その動きにつられて“彼”はそちらへと視線を向ける
た。
突風の如き一陣の風が、“彼”のすぐそばを吹き抜けて行った。
跳ねる髪の向こ側で、無数に散る白の欠片に覆われた“彼”の視界。
反射的にか、思わず閉ざしてしまっていた双眸。
再び“彼”が目を開いた時、そこには既に誰の姿もなかった・・・・・・
ーだから、おやすみー
※ ※ ※ ※ ※
青白い閃光を帯びた月の光に照らされて、“彼女”はひとりそこに佇む。
そこは、何処かの森を眼下の背景にして佇立する、木々が途切れた丘の上。
渇いた光を湛える真紅の瞳。
そこには既に涙の跡すらもなく、白き少女は独りきり。
膝を折り、そのまま抱えるようにして身を小さくし、丘の先端に少女は座る。
僅かに首を上方へと傾け、虚ろな双方が仰いだ遠い空。
ー私は・・・・・・私はまだ、世界に拒まれる。拒まれ続けて・・・・・・ー
ーいつまで・・・・・・ー
それは抱ける限りの感情の尽き果てた先にある、それでも擦り切れてしまう事のない想いの声だった。
願い続ける事に、疲れる事にすら思いは至らず、忘れる事も出来ず、歪んでしまっているのかもしれない感情の果てに、何かを恨む事も憎む事も知らず、ただ一つだけの望みを抱き続けた少女の“聲”・・・・・・
そして、
ーその日、一夜にして世界を滅ぼす程の力を持った黒き獣は倒された。
それを成し遂げたのはまだ幼い一人の少女だったという・・・・・・
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる